黒江徹との遭遇:マギレコ×デビル17

戦いの中、ユウと見滝原の魔法少女たちは〈エンジェル〉という女性だけの戦闘部隊と彼女たちを率いる黒江徹と名乗る少年から接触を受ける。なんでも彼はユウの正体を知っているという。その言葉を信じて、彼らに附いて行き、彼らの拠点である民間軍事会社所有のフィリピン領海にある孤島に案内される。

 そこで、ユウは自分と黒江徹の正体について知ることになる。

 かつて〈アウトフィット〉という私設研究機関があった。莫大な資金により世界中から優れた頭脳を持つ科学者を集めた彼らは、禁忌無き研究を進め、混乱した世界を統治できる優れた新人類を生み出そうとする研究に没頭した。その成果こそが黒江徹ことD(ディクタトル=独裁官)17と彼を取り巻く美しき戦士たち〈エンジェル〉だった。Dシリーズは並外れた身体能力と頭脳、そして不老不死の肉体をもち人類に何らかの危機が訪れれば火種のうちにそれを解決し、時には強権を持って世界を支配することすら求められていたが、多くの先進国首脳部はその構想と存在を危険視しアウトフィットの抹殺を謀った。

 各国の諜報機関と特殊部隊の攻撃を受け研究施設やその成果、人員がすべて失われたかの思われたが、その残党や遺産は密かに破壊を免れ存続した。黒江とエンジェルたちはそれらの一つだったのだ。

 アウトフィットの残党は、持ち出した技術により密かに研究を続けていた。

 どこで知ったのかあ不明だが、彼らは人類の歴史の裏に居た魔法少女とそれを生み出す〈インキュベーター〉の存在に気付いたらしい。

 彼らは、インキュベーターと魔法少女にあらたな人類を導く存在、社会と世界を変革する存在としての価値を見出し、インキュベーターの力を持つD(ディクタトル)シリーズを生み出そうとした。魂を対価に契約することからゲーテ作の演劇「ファウスト」に登場する悪魔「メフィストフェーレス」より名前をとりこの新たな人造人間シリーズは〈メフィスト〉と名付けられた。アウトフィット残党はいくつかの試験体を作ったが、何者かの襲撃を受け今度こそ本当に壊滅してしまった。しかし、生き残った試験体はかつての黒江のようにどこかに逃がされ生き延びていた。

その正体が赤木ユウことM(メフィスト)13だったのだ。

自分の正体をしりただ衝撃を受けるしかないユウに徹は問いかける。

「君はこれからどうしたい?」

既に魔法少女の真実を知り、一人の少女を運命に巻き込んでしまったユウの心は決まっていた。

「魔法少女たちを助けたい!それには力が必要だ」

 それを聴いた黒江は彼に戦い方を教え、更には武器なども提供してくれることを約束した。

 こうしてユウは一緒に来ていたほむら、杏子、さやか と共にエンジェルたちから武器や戦術に関する訓練を受けることになる。

 とくに ほむら はエンジェルたちから火器の扱いについて徹底的な教育を受けてそのスペシャリストと言えるだけの実力を身に着けた。

 やがて、訓練を終えて日本に帰る去り際、突然ユウは徹に抱き着いた。うれしかったのだ。育ての親を無くして以来、自分は一人で家族がいなかった。しかし、今ここに自分と同じ方法で生まれた過去を持つ存在がいた。彼にとって徹は兄弟だったのだ。


「おいおい...」
困惑した何も、同性に抱きつかれているからではなかった。
抱きつかれているだけで奇妙な安らぎを覚えたからだ。それはフェンリル達とベッドの上で愛し合っているときに感じるものとは別のものだった。
 こうしているだけでいつか感じたある寂しさが埋め合わされていく。
 確かあれは自分が覚醒した間も無い頃だ。
 夏休みが始まると言うことで全寮制の学校に生徒たちの親が迎えに来た時、公邸で両親達と会う他の生徒を自分は、学校の屋上からただ眺めていたあの時感じた「同族がいない」と言う寂しさ。
 あの時自分は「ゴジラが暴れていたのは同族が居なかった寂しさからじゃないか?」などと下らないことを思ったものだが。今なら初めてミニラやベビーゴジラに出会ったゴジラの気持ちがわかる気がする。
「ああ!また会おう、弟よ」
透も彼を抱きしめた。

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