県立大洗学園戦車隊 メモ



(2020/03/29 1731)


みほ が学校へ向かう最中、1機の大型ヘリが大洗の左舷へと接近していた。ダックスフントを思わせる長い胴体に機体前後巨大なローター。陸上自衛隊のCH-47だ、しかし、そのキャビンに乗っているのは日本の気候帯に合わせた迷彩服を着こんだ陸上自衛官ではなかった。
 この日、この機体に乗り込んでいた乗客たちはおおよそ現代の軍用ヘリの乗客としては不釣り合いな姿であった。泥だらけになった学ランを思わせる野戦服と制服を兼ねた黒い軍服上下。脚には巻ゲートル。武器と防護装備だけは近代的な自動小銃(64式)と迷彩覆いのない88式鉄帽(てっぱち)に戦闘用防弾チョッキといういで立ちである。
 加えて、彼らの平均年齢は自衛隊に比べて極めて若かった。軍曹など下士官の階級章を付けている者こそ壮年といったところだが、兵卒や彼らに挟まれるように座る将校はまだ20歳にも満たないものがほとんどであった。特に、将校―全員少尉―たちの年齢は、はたから見てもまだ子供と言って差し支えなかった。
 窓から外を眺めていた、少尉の階級章を付けた少年の一人が言った。
「見えてきたぞ!久ぶりの学校船だ」
 背は低いが顔立ちは悪くない。
「何度みても現実離れした光景だな、船の上に何万人もの人が住む町があるなんて......」向かい側の席に座っていた細見で蛇を思わせるような鋭い顔に眼鏡の少尉が応じた。ローターの音のせいで見かけによらず声が大きくなっている。
「なんでも元々は船の上で菜園をしていたのが起源らしい。2000年も前の話だ」
年の割に眉が太く掘りの深い顔立ちの少年将校が解説した。
「俺もオヤジの仕事について行って何度も見たことがあるが、さすがにあれは規格外だぁ」
恰幅のある体格をした将校が会話に加わる。

将校や兵士たちがそうした何気ない会話を続ける中、一人だけ窓の外の光景を眺めている将校がいた。

(2019/3/20)


新城を始めとする彼ら特別留学生はこの大洗学園において二つの意味で異種族といってよかった。ひとつは少女たちの庭と言ってもいい学園内での(教師を除く)唯一の“男”という異種族。そして、もうひとつはこの学園だけに拘らずおおよそ戦後日本という社会の中で醸成された空気の中に存在しえなかった“軍人”と呼ばれる異種族としてであった。戦後の平和教育の中で現在こそ薄れたものの“軍人”という存在はまさに得体の知れない異種族だった。その特殊環境の中で独自の歪な進化を遂げた亜種ともいうべき“自衛官”ですら一時期は平穏な市民生活を脅かす侵略者のように扱われていた。現在こそ彼らは


(2020/03/30)


から降りた彼女は戦車から降りると出迎えのために整列していた新城たちの前にやってきた。
全員が敬礼を解いた直後、彼女は新城に向き直った。
「久しぶりね新城君」
「お久しぶりです。大尉殿」


(2020/03/29/ 1804)

彼女たちが使っているのであろうシャンプーやリンスにボディ・ソープ、そして制服に使われた洗剤のにおいが鼻を突いた。
幼さと初々しさを感じさせるそれらの匂いは新城を若干であるが動揺させていた。



新城は一見して知的に見える顔立ちを歪めまくし立てる川嶋をみて思った。可哀想に、自分が知的で完璧な人間ではないと認めたくないばかりに、自分が理想とかけ離れた言動をしていることに気付いていないのだ。
こうした手合いは軍隊において彼が出会ってきた上官にも何人かいたが、なまじ階級が上で能力もそこそこある分たちが悪かった。
こうした種類の人間は大抵自分の能力に疑いを持たないか、あるいは敢えて持とうとしない。
そして、自分が理想とする有能かつ完璧な人物を演じることによって自尊心を守っているのだ。



(2019/4/15)


勘当という思い切った行動に出ながらも五十鈴家は名家としてのふるまいを忘れなかった。娘とその友人たちを人力車で送らせたのだ。人力車を引くのは新三郎青年だ。
 ちなみに定員の問題とレディファーストという暗黙の了解により新城たちは歩きである。
 少女たちが人力車に乗り込んでいく中、新城たちはその隣で背筋を伸ばしながら立ち尽くしていた。
 客人である みほ達を優先し最後に乗り込もうした華はは乗り込もうとした直前に振り向いた。
 

(2019/09/28)


「あなたが新城さんですか?」
ゆかりの父が恐る恐るという様子で尋ねてきた。
新城は一瞬、自分の見かけにいるものかと思ったがどうやら違うらしい。彼の恐れが得体の知れない人物に対するものではなく単純に、「人違いだったらどうしよう」という不安に対するものだと気付いたからだ。
 気分を和ませようと柔らかい物腰を心掛けた。
「いかにも新城です。何か?」
 表現は柔らかくなるように、半分自然半分冷静な演技に努める。

(2020/03/29)


「まさか、この戦車の最大の取り柄がいきなり使えなくなるとはな」
古賀は三号戦車通信(H)がたのアンテナに視線を向けながらぼやいた。
わざわざ応じるのは羽鳥だ
「道術と同じだ、仕組みが分かれば裏なんていくらでもかける。完璧な通信手段なんかねえってことさ」




(2020/03/30)


 彼女は戦車から降りると出迎えのために整列していた新城たちの前にやってきた。
全員が敬礼を解いた直後、彼女は新城に向き直った。
「久しぶりね新城君」
「お久しぶりです。大尉殿」


(2020/03/29/ 1804)

彼女たちが使っているのであろうシャンプーやリンスにボディ・ソープ、そして制服に使われた洗剤のにおいが鼻を突いた。
幼さと初々しさを感じさせるそれらの匂いは新城を若干であるが動揺させていた。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?