「宮廷女官チャングムの誓い」の続編ストーリーを勝手に考えてみた [第二話]
第二話を妄想す考えるにあたり、あらためて「大長今」の最終回を見返してみました。
すると、チャングムとチョンホの身分回復がなされるのは中宗が死去した8年後(1552年)ですが、調べてみるとその時点で既に明宗は即位しており、妄想第一話で登場する身分を隠した貴人を明宗とすると年齢的にも合わない(当時16歳ぐらい)ことが判明💦
というわけでWikiで当時の朝鮮王族を漁り、年齢的にドンピシャでかつ、のちに息子が宣祖として即位するという人物、中宗の9番目の王子、徳興君(トグングン)に設定変更しました。
この徳興君、残っている記録から想像するにどうもヤンチャな人っぽいので、ストーリー的にも面白い絡ませ方ができるかもしれません。
それでは妄想第二話、行ってみましょう〜。
***
翌日、チャングムとソホンは予定より1日遅れて漢城に入りました。
通行する人々に尊大な態度を取っていた門番たちも、チャングムが戸牌(ホペ:身分証)を見せると、とたんに愛想良くなります。
チャングムは大妃様直々の計らいで、いつでも自由に漢城や宮廷に入ることが許されているからですが、そんな母を見てソホンはとても誇らしく思う反面、貧しい者からは治療費を取らず、ずっと質素な生活を続けている両親の気持ちがよく分かりません。
ソホン「お母さんは腕のいいお医者さんなんだから、両班とかお金持ちを沢山診てあげたらもっといい暮らしが出来るのに。」
チャングム「そうかもね。でもお母さんは治療してもらえなくて苦しんでいる人たちを放っておけないし、そういう人たちにはつい『お代はいりません』って、言っちゃうのよね。」
少し笑ってチャングムは続けます。
「でも、昨日の両班からはたっぷり貰うわよ。😉
さあ、急ぎましょう。」
一方、クミョンの旅籠。
怪我の男(徳興君)は治療の甲斐あって、2日もすると傷の状態も随分と落ち着きました。そこで宿の主人が宿代とチャングムの治療費を請求すると、なんと怪我をした際のどさくさで金子(きんす)を全て失くしてしまったというのです。
それなのに怪我をした経緯も自らの名前や身分すら明らかにしようとしません。
そんな男の様子に当然ながら不信感を持つクミョンの夫。
漢城に戻った後に改めて払うとは言うのですが、名前も連絡先も明かさないままでは本当に払ってくれるのかどうか怪しいものです。
しかし二人を留め置いてもこれでは報狀使(日本でいう飛脚)に手紙を託すことも出来ず、一向に埒が明かないので、いったん従者が一人で漢城の男の家族に知らせに行くことになりました。
クミョンから船賃を借りて従者が出て行った後、一人で食事をする男の様子を見ているうち、クミョンはその男が長年使えた中宗に面差しが似ていることに気づきます。
もしやこの男は中宗の王子の中の誰かなのでは。。?
だとしたらなぜ開城に来たのかしら。
***
その頃、開城の妓楼では人目につかない奥の座敷で、やはり怪我をした男を妓生(キーセン)が手当していました。男は誰かの護衛役をしているらしく、屈強そうな体格です。その座敷に両班風の男が周りを気にしながら入っていきます。
両班風の男「梅香(メヒャン)、徳興君の行き先について新しい情報は入ってないか。」
梅香「使用人に今探させているのだけど。。まだ何も。あまりおおっぴらに探して噂になったりしても困るし。。難しいわね。」
護衛役「すまない。襲われたとはいえ、主人を見失うなど護衛として失格だ。」
梅香「彼が無事ならあなたとはぐれても必ずここに来るはずだけど。。」
両班風の男「怪我をしている可能性も考えて医者や薬屋にも当たらせたが、それらしい人物をみかけた者はいなかったようだ。」
護衛役「明日には俺も探すよ。。(体を起こそうとして)痛たた。。」
梅香「あなたみたいな大男が包帯巻いてウロウロしてたら目立ってしかたないでしょ。怪我が治るまで大人しくしてなさいよ。」
両班風の男「そうだな。梅香の言うとおりだ。お前はここから下手に動かない方がいいだろう。」
梅香「今頃、都正宮(トジョングン:徳興君の屋敷)はきっと大騒ぎになってるわね。。(ため息)」
どうやら徳興君は開城への道中、何者かに襲われ、護衛役が応戦している間に離れ離れになってしまったようです。
襲ったのは盗賊なのか、あるいは。。
両班風の男と妓生も徳興君と何らかの関係がありそうです。
***
漢城のチャングムとソホンはミン尚宮の実家で彼女の母親を往診した後、恵民署(ヘミンソ:庶民に医療を施すために設立された官庁)に向かいます。
ミン尚宮の母親はこの半年ほど体調が思わしくないのですが、都の医師では原因がわからず、藁にもすがる思いでチャングムに往診の依頼をかけたのでした。
恵民署では相変わらずチャンドクが忙しそうに働いています。
チャングム「チャンドクさん、チャンドクさん!」
チャンドク「もう誰なの?今手が離せないから後にして。。。チャングム?チャングムじゃないの!」
チャンドクの仕事が一区切りした後、チャングムはミン尚宮の母親の病状について相談します。
チャンドク「あなたでも捉えられない脈とは手強いわね。話だけ聞いてると結脈か代脈のように思えるけど、お年も召していらっしゃるし。。針は打ったの?」
チャングム「ええ、まずは膻中(ダンチュウ:ツボの名称)に打って。。それで息苦しさをは少し楽になったみたいです。」
チャンドク「そうね。とりあえずはそれしかないわね。脈については最近、明から新しい医学書が内医院(ネイウォン:王族の医療を担当する官庁)に入ってきたみたいだから調べてみたら?あなたなら読ませてもらえるでしょうし。」
チャングム「はい、そうしてみます。」
ソホン「やっぱりお母さんは特別なんだ!」
チャングム「ソホン!😤」
チャンドク「ふふ、そうよ、ソホン。チャングムは特別なのよ。」
さっそく王宮に向かうチャングムとソホン。
途中、人を探している一行とすれ違いますが、それが徳興君を探している都正宮の使用人達だとはチャングム親子は知る由もありません。
水剌間でミン尚宮とチャングムは久しぶりに再会し、喜びあいました。
お互いの近況をひとしきり話した後、チャングムは最高尚宮という立場上、王宮をおいそれと出るわけにいかないミン尚宮のために、母親の病状と治療の可能性について説明します。
ミン尚宮「色々ありがとう。だったら私も一緒に内医院に行くわ。ただ、いくらチャングムでもさすがに王宮内ではそれなりの格好しないとね。監察尚宮(カムチャルサングン:女官を監督・調査する役職)にいちいち呼び止められるのも面倒だし。」
チャングムは尚宮に借りた女官服に着替え、ソホンを水剌間に残してミン尚宮と内医院に向かいました。
内医院へ通じる廊下を二人で歩いていると、向こうから何やら羽振の良さそうな上級役人とその取り巻き数人がやってきます。
彼らに道をゆずり、頭を垂れるミン尚宮とチャングム。
二人をちらっと見て役人達は通り過ぎていきます。
彼らが角を曲がり姿が見えなくなったところでチャングムが小声で聞きます。
チャングム「あの人は?」
ミン尚宮「あれはユン・ウォニョン(尹元衡)。大妃様の弟にあたる人で、今、王宮を牛耳っているのは彼なのよ。」
チャングム「ユン・ウォニョン。。」
一方、ユン・ウォニョンの方もチャングムが気になったようです。
ユン・ウォニョン「今、水剌間の最高尚宮の隣にいた女を知っているか?」
取り巻き(若)「さて。。私は見覚えありませんが。。どこの女官でしょうか。」
取り巻き(中年)「私は昔、王宮内のどこかで見た気がします。」
ユン・ウォニョン「ふん、妙に気になるな。ちょっと調べてみてくれ。」
***
ミン尚宮とチャングムが内医院で明の医学書を調べている頃、ミン尚宮の部屋に残されたソホンは、すっかり退屈していました。
母に似て好奇心旺盛なソホン。
部屋を出てこっそり王宮を見てまわることにしました。
水剌間を出て司饗院(サオンウォン:食材などの管理をする部署)にさしかかった時、扉に鍵がかけられた小さな部屋から助けを呼ぶ女の子の声が聞こえてきます。
ソホン「誰かいるの??」
女の子「あなたは誰?お願い、ここから出して。」
ソホン「閉じ込められているのね?分かった。ちょっと待ってね。」
しかしソホンが扉を開けるため鍵に手をかけたその時。。
続く(笑)
***
妄想第二話、いかがでしたか?
今回も「源氏名が梅香(メヒャン)という妓生」、「妓楼に匿われている男」、「好奇心旺盛な子供が起こしがちな騒動」という韓流時代劇あるあるを盛り込んでみました。
ソホンの行動は、かつてチャングムとヨンセンが見習い時代に起こした「王の夜食差し替え事件」をヒントにしています。(歴史は繰り返す?😆)
なお第一話同様、部署の名前と位置関係、実在の人物の年齢差や医術に関することは厳密に考証していませんので大目に見てくださいね。
とはいえ調べ物がそれなりに多いのと、過去の韓国旅行で撮った大量の画像の中から、ここで使えそうなものを整理したりしてるうち、気がついたら半年も開いてしまっていました😅
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ありがとうございます。m(_ _)m
どこまでネタが続くか、書いてる本人もわかりませんが、良かったら第三話も読んでくださいね。
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