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「人生の最期に心を揺らす歌を歌いたい」 元介護福祉士の歌手 澤みのり #推し名鑑

元介護福祉士のシンガーソングライター、澤みのりさん。子守唄のような優しい歌からパワフルなロックまで、その小柄な体からあふれんばかりの愛とエネルギーで歌い上げます。

特別養護老人ホーム勤務を経て、3年前から演劇の世界へ。1年前からバンドで活動、ソロでの歌手活動スタートからわずか3ヶ月でワンマンライブ開催。チケット販売目標80枚を超え、大盛況のうちにライブは終了。「今、人生で一番幸せです」と語る澤さんに、その活動力の秘密をお伺いすることができました。(聞き手:アーティスト応援ライター あゆみむ)

#推し名鑑とは:あゆみむ的推しアーティスト様(音楽、ファッション、パフォーマー、ハンドメイド作家等、ジャンル不問)をご紹介し応援するインタビューシリーズです

「歌手になる夢」は諦めて介護の仕事へ

小さい頃から歌が好きで、ディズニーアニメを見て育ちました。みんな踊っていて、王子様お姫様がいて動物がしゃべって、最後は必ずハッピーエンド。そんな世界がすごく好きで。歌が好きな母と楽しく歌っていた記憶もあります。ただ母は体調がなかなか優れず楽しいとは言えない日々も続きました。

私は自分に自信がない子で、こんな私にお金をかける価値なんかないと思っていて。両親は「何になりたいの?」と聞いてくれましたが、裕福な家ではないとわかっていたので「歌手になりたい」とは言えませんでした。
進路選択では、いつか家族を助けられたらと思い介護の仕事を選びました。5年間働くことで返済できる東京都の奨学金で介護の学校へ行けたのも大きかったですね。
老人ホームで介護福祉士として働きながら、歌手になる夢は諦め「私は見る側でいいや」って思ってたんですよね。

死ぬ前に後悔しないために

不思議なもので、ホームのおじいちゃんおばあちゃんを見ていると、しっかり行動してきた人と悔いがいっぱい残っている人と、見てて分かるんですよ。自分なりに行動して答えを見つけた人は素敵な年の取り方をされていて、私も「そっち側になりたい」って思ったんです。

歳をとると、人は楽しかった記憶が甦って来るんですよね。一番自分が忙しくて楽しかった時期に戻って、そこにい続けたり。(新曲「ノスタルジック・アワー」より)
ダンサーだったおばあちゃんは、いつもスパンコールのついた服を姿勢良く着て「私はどこどこで若い頃踊ってたのよ」ってずーっと繰り返しているんですけどね、「この人困ってるから助けてあげなさいよ!」とか他の利用者さんのために私を呼んでくれたりしてね。認知症ではありますが、しゃんとしてて自分を持ってる姿がすごくかっこいいんです。

ニコニコ笑顔のかわいいおばあちゃんになりたい

素敵な方といえば、元鰻屋の女将さんだった、135cmくらいの小さなおばあちゃん。苦労も多かったのにずっとニコニコしてた方です。その方が亡くなる間際、意識朦朧としていて私のことは覚えていない様子でした。「私だよー!」って言ったら「知り合いかな」とは思ってくれたみたいで、苦しいのに「あ、お名前は…なんでしたっけ…?」と聞いてくれました。「みのりだよー!」と言ったら「のりちゃんね、思い出したわ、のりちゃん」って…。
思い出せてないのに、気を使ってくれて。本当に優しいんですよね。
私もこんなニコニコ笑顔のかわいいおばあちゃんになりたい。怒ってばっかりのおばあちゃんには絶対になりたくない。死ぬ前に振り返った時に「体が動いて頭がはっきりして元気なうちにこれだけのことができてよかった、やったああ!!!!」って死にたいんですよ。

演技の世界へ。人の繋がりでここまできました。

地域の公民館で見かけた、ミュージカルのアンサンブル(名前のない役)に「これだ!」と、思い切って応募しました。プロのミュージカル役者さんやプロのオペラ歌手の方との場に、上手も下手も緞帳(どんちょう)の意味すら知らずに単身で飛び込んだのですが… 終演後に「次これ出てみない?」と次の舞台が決まり、その後も毎回次へ繋がっていき…。本当に人が繋がりでここまできたなあって実感しています。
最初の公民館が人生最後の思い出だと思っていたのに…もう感謝しかできません。私がこの道を歩いているのは出会ってくれた人たちのおかげ。一人でも欠けていたら私はここにはいないです。

いくつかの舞台に立たせてもらった後「前の私はこれで満足だったけど、今の私がおばあちゃんになったらこれじゃまだ満足できないな」って思い始めまして(笑)このままだと単なる「いい思い出」に終わってしまう、と思い切って介護の仕事を退職しました。半年前、2021年11月末のことです。

私の歌で、誰かの心が少しでも動いてくれたら

手も足も動かない、ただ息をして、自分が誰かもほとんどわからない、家族も来ないし生きてる意味あるのかなって、それすらも考えられないおじいちゃんおばあちゃんはたくさんいらっしゃいます。
そんな方も「ふるさと」や「北国の春」などを歌うと、ニコニコして口をパクパクして歌おうとしてくれたり昔のことを思い出してくれたり、それがすごく嬉しくて。人の心の奥まで響く「歌」っていいなってすごく思うんです。
私の歌で一番救われるのは、おそらく将来の自分自身なのですが、今私の歌を知ってくれている誰か一人でも、生きがいを見失ったいつかのある日、私の歌を思い出してくれる人がいたら幸せです。

何かを特別に伝えたいってわけではありません。ただ、聞いてくれた人の心が、聞いた時にでも、ずーっと先でも、少しでも動いてくれたら嬉しいなって思います。

歌を作り歌うことで、乗り越えられた心の傷

会社を辞めたあと、自分としっかり向き合って、奥の奥… 根っこの部分からこそぎ取った思いで歌を作る中で、自分でも目を向けてなかった傷に初めて気づきました。

例えば「愛で塞いで」という歌について。MVには傷がついた林檎が出てきます。林檎(自分の心)の傷に気づかず放置していたら腐って穴があいてしまった、その穴を塞ぐのは誰かではなく自分自身なんだよ、という歌です。

私は、ずっと誰かに心の穴を塞いでほしくて、自分のこともそっちのけで人を優先する癖がついていました。 でも、見返りを求め続ける私に空いた穴は結局誰も塞いでくれませんでした。その心の穴は、自分で塞ぐものだったんです。

1番と2番のサビは「愛していこう 私"の"世界の全て」、ラスサビは「自分を最初に 愛していこう 私"が"世界の全て」です。自分の外側の世界(周りの人)を愛していこうと一生懸命だったとき、傷はむしろ膿むばかりでした。

私が(愛で)その穴を塞いだら…つまり、自分自身を愛すことができたとき、むしろその愛情は自分の心を超えて広がり、初めて人を見返りなく愛する感覚がわかりました。世界は私が縋る対象ではなく、むしろ私が主体的に関わり、切り開いていくものなんだと気づいたんです。

きっと普通に生きていたら掘り起こさなかった感情です。でも歌にしたりライブで歌うことで乗り越えられて、本当によかったと感じています。


お休みの日の過ごし方♪

お休みの日は、ティータイムやお風呂などリラックスする時間を楽しんでいます。あとはお料理も。作りがちなのはチャーハンですね。 あとは浅漬け。あっ…. 映えない、ダサい(笑)浅漬け、特に夏はオクラがおすすめですよ♪
料理配信もたまにやってます。私が作って食べるだけですが、よかったら気軽に遊びに来てもらえたら嬉しいです。


インタビュー前のランチから1枚


こうして活動できて、今関わったり応援いただいている皆さんと出会えて、今が人生で一番幸せです。とても好きに生きさせてもらってるので、私の姿を見てくれた人が「好きに生きようかな」って思ってくれたら、もっと幸せです。


澤みのりさん、素敵なお話をお聞かせいただきありがとうございました!!


さわちゃん(澤みのりさんの愛称)の配信ライブは本当にすごいです。聞き手あゆみむ、最近正社員をやめる決断をしたのですが、前回の配信ライブを聞いたのもきっかけの一つでした。まさに「好きに生きようかな」って思ってしまったんです…!あなたの人生変わってしまうかもしれませんので、要注意!♡

🍎 澤みのりさんからのお知らせ 🍎

無料配信ライブVol.2 アーカイブ(7/15配信)

Youtubeから無料でどなたでも見ることができます。全7曲、あっという間です…。インタビューに登場した新曲「ノスタルジック・アワー」は必見です。あゆみむはリアタイできたのですが、思わず涙でした….!


劇団宇宙キャンパス 舞台『不幸論』

澤さんは8/23〜8/27 、Bキャストで出演予定。お芝居も気になります!

詳細・チケット→https://stage.corich.jp/stage/57455

『残響散歌』Aimer【歌ってみた】鬼滅の刃 Coverd by SAWA

澤さんのパワフルな歌声がものすごく映えています。ぜひ一度聞いてみてください♬


その他、7/30~7/31のたりほん(多力本願)フェス(音楽ライブ)8/7の献血オフ会、これから告知予定のツーマンライブ、チケット販売予定の舞台などなど、今後のご活躍予定が盛りだくさん!

オンラインショップ みのりや

インタビューにも登場した1stシングル「愛で塞いで」のCDや「愛で塞いで」のMVフォトブック、オリジナルチャーム(キーホルダー、ストラップ)、それから「6/26 ワンマンライブ配信チケット」(90枚販売済)もまだ買えます!

SNSはこちら!ぜひさわちゃんワールドを覗いてみてくださいね♪
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澤みのりさんとのご縁はここから♪

「しんえん」

音楽・踊り・ファッションなどなど、エンタメ異業種交流会。『仲の良い他人、親しい隣人を作る』をコンセプトとした、人と繋がる出し物つきの宴会。毎月、何かしらの宴会イベントが企画されており、ステージに立ちたい人も見ていたいだけの人も大歓迎。言葉にしきれないですが、ステージもおしゃべりも、面白かったですよ。

客席とステージの垣根が世界一低いライブであり、もはや村のどんちゃん騒ぎ

前回のしんえんの様子を覗いてみる → しんえんTwitterアカウントへ
お問合/申込は、主催しんろくさん、あるいはあゆみむ経由でも歓迎♪

今後のしんえんスケジュール
・2022/08/19(金)新宿御苑ROSSO 
→詳細はこちら→参加お申し込みフォーム
・2022/09/16(金)渋谷womb 
→詳細はこちら→参加お申し込みフォーム


この記事を書いた人:あゆみむ

応援ライター。あなたのお話をお伺いし、読んだ人をファンにする文章に仕立てます。お話するのが苦手な方でも大丈夫です。積極的に質問しますが、嫌なことを無理には聞きません。活動を発信したい方、お気軽にお問い合わせください。記事掲載場所はあゆみむnote( #推し名鑑)でもご自身のHPやnoteなどでも可能です。


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