忍殺TRPGソロシナリオ【ラン・イントゥ・ダークネス】

◇前置きな◇

 ドーモ。しかなです。当記事はニンジャスレイヤーTRPGの非公式ソロシナリオ……つまりダイスとメモするものさえあれば一人で楽しめるタイプのものとなっております。

 このソロシナリオは非ソウカイヤのニンジャ向け……すなわち今の時点だと『ドラゴン・ドージョーの所属者』または『フリーランス(まだどの組織にも所属していない)』用のシナリオだ。ニンジャでもか弱い市民を守りたい……そうしたセンチメンタルへ……

 とりあえずやってみよう。ヨロシクオネガイシマス。



◇オープニングな◇

 ネオサイタマを支配するヤクザ組織、ソウカイヤ。お前はこのご時世には珍しく、ソウカイヤと距離を置き、細々と奥ゆかしく日銭を稼いで生きているフリーランスのニンジャだ。ある日のこと、どうやってたどり着いたか、一人の女がお前の元を訪れた。
 まだ顔つきにあどけなさの残るその女はドラゴン・ユカノと名乗り、お前に協力を依頼した。依頼の内容はこうだ。
 彼女が懇意にしていたスシ・バーがソウカイヤ傘下のヤクザクランによってジアゲされた。生活の立ちいかなくなったスシ職人は、やむなくふわふわローンで当面の生活費を工面した。愚かなことだ。ある程度事情通のお前は、ふわふわローンの経営元がネコソギ・ファンド……すなわちソウカイヤであることを知っている。案の定、法外な利子をふっかけられたスシ職人は期間中にローンを返済することができなかった。滞納だ。
 本来であれば話はこれで終わりだ。ローン滞納者のもとには遅かれ早かれソウカイヤのニンジャが回収に来る。しかしあろうことか、そのニンジャを撃退してしまった者がいた。それがこのユカノだ。そのバストは豊満であった。
 だがソウカイヤは多くのニンジャを抱えている。もっと腕の立つニンジャが送り込まれてくる日も遠くあるまい。そのイクサの最中、果たしてスシ職人を守りきることができるかどうか……そこでお前に声がかかったというわけだ。今回の依頼は『スシ職人の夜逃げ手伝い』である。ユカノと協力し、スシ職人をひとまず安全な場所まで避難させるのだ。
 面倒なビズだが、仕事を選り好みできるほどお前には余裕がない。前金として【万札】10を受け取ってしまったお前は重い腰を上げ、準備を始めた……



◇本編な◇

 ……ウシミツ・アワー! お前はネオサイタマ国立自然公園近くの廃アパートを訪れた。例のスシ職人が身を潜めているからだ。だがお前はすぐにエマージェントが発生していることに気づく。廃アパートの前に止まるヤクザベンツ。そして入り口に立つクローンヤクザ アナヤ! デイリだ!
 悠長にしている暇はない! スリケンを投擲しクローンヤクザを排除したまえ。【ワザマエ】の値と同数のダイスを振り、出目が4以上のダイスが一つでもあれば成功だ。
 成功した場合「イヤーッ!」「アバーッ!?」お前のスリケンは見事クローンヤクザの額に突き刺さり、即死せしめる。ワザマエ! 死体から【万札】1を回収し、廃アパートへと突入せよ。
 失敗した場合、スリケンは虚しく空を切る! どころか「ナンテメッオラーッ!」それでこちらの存在に気づいたクローンヤクザがチャカガン発砲! 【カラテ】【ニューロン】【ワザマエ】のうち最も高い値と同数のダイスを振り【回避】判定だ。目標出目は4以上。もし失敗した場合、お前は被弾して【体力】が1減少する。【体力】が0以下になれば爆発四散(ゲームオーバー)だ。
 必要であれば、お前はダイスと【精神力】1を使い判定に自動成功することができる。精神力を消費した自動成功は、これ以降の判定においても使用可能だ。ただし、目標出目が6の判定については自動成功ができないので注意せよ。
 回避に成功、あるいは銃撃に耐え切ったお前は「イヤーッ!」「グワーッ!?」カラテ反撃しクローンヤクザを排除! その勢いのままに廃アパート内に突入した!(この場合、【万札】1は獲得できない)


◇◆◇◆◇


 廃アパートに入るとまず目に飛び込んできたのは階段付近に倒れるクローンヤクザどもの死体だ。お前はすぐにユカノから事前に聞いた情報……すなわち、スシ職人の避難場所にもしものときのために仕掛けてあったナリコ・トラップのことを思い出す。ヤクザに突き立った矢から見て、トラップ設置は功を奏したらしい。
 「ザッケンナコラーッ!」「アイエエエエ!?」だがまだ安心はできぬ! 上階から聴こえてくるのはヤクザスラングと悲鳴! 例のスシ職人が危機的状況にあるのは間違いなし! お前は風めいて階段を駆け上がる!
 4階に到達したそのとき「チェラッ!?」お前はクローンヤクザと鉢合わせになる。ヤクザに引きずられているのはスシ職人。間に合ったのだ! カンイッパツ!「スッゾコラーッ!」クローンヤクザがドス・ダガーで斬りつけてくる! 【回避】判定せよ! 目標出目は4以上。失敗すれば【体力】を1失う!
 回避、ないし斬撃を耐え切ったお前はクローンヤクザにカラテを仕掛ける! 【カラテ】判定(目標出目4以上)せよ。成功すれば「イヤーッ!」「アバーッ!?」クローンヤクザは死亡! 手早く【万札】1スシ職人を回収だ。
 失敗した場合、クローンヤクザは再度攻撃を行ってくる。相手をカラテで仕留めるか、お前が爆発四散するまで【回避】判定と【カラテ】判定を繰り返すのだ。撃破できれば【万札】1スシ職人だ。


◆◇◆◇◆


 「ニンジャ!? ニンジャナンデ……エッ、ユカノ=サンの協力者!?」お前は迅速に事情を説明し、スシ職人がNRSに陥るのを防いだ。安堵の表情を浮かべかけたスシ職人は、しかしすぐに慌て始める。「助けに来てくれてアリガトゴザイマス。けど、ここは早く離れないとヤバイ! さっき、そこのクローンヤクザが携帯IRC端末で連絡を取ってたんです! 『センセイ』がどうこう……きっとニンジャに報告してたんだ!」
 のっぴきならない事態である。お前はこの後の段取りを思い出す……スシ職人を連れ、ユカノと合流。合流地点はネオサイタマ国立自然公園の中心部。自然公園は広大であり、また相手はすでにクローンヤクザを手配している。スシ職人を伴って徒歩で移動するのはリスクが高いだろう。お前はすぐに廃アパート入口に止められているヤクザベンツを思い出す。アレを使うべきだ。
 だがその前に……お前はクローンヤクザの懐から携帯IRC端末を取り出す。もしこの端末をハッキングできれば、『センセイ』とやらを撹乱できるかもしれない。だが曲がりなりにもソウカイ・ネットワークに繋がっていると思しき端末。セキュリティは堅牢だろう。ハッキングしない場合は早急に1階へと向かい、ヤクザベンツに乗り込みたまえ
 お前は端末にハッキングを……
1. 試みる(【ニューロン】判定、目標出目6以上
2.試みない
 ハッキングに挑戦し成功した場合、お前はロックの解除された端末から『突然現れたニンジャがスシ職人を攫い、アワビ・ディストリクトの中へと逃げ込んだ』という偽の情報を送り込むことに成功する。果たしてこれが吉と出るか凶と出るか。お前はスシ職人の手を引き、入り口で死んだクローンヤクザの死体から鍵を奪うとヤクザベンツへと乗り込んだ。
 ハッキングに挑戦し失敗した場合、「グワーッ!?」お前は想像以上に強力なセキュリティに阻まれたばかりか、ハッキング対抗用のウイルスによってニューロンを焼かれ【精神力】が2減少してしまう! もし【精神力】がマイナスとなった場合、お前はここで爆発四散だ。耐え切ったのならば気を取り直し、ヤクザベンツを奪いに行け。


◇◆◇◆◇


 スシ職人を助手席に乗せたお前は、ヤクザベンツを運転し自然公園へと向かう(免許の有無はこの際気にしない。非常時だからだ)。もしお前が携帯IRC端末へのハッキングを成功させていた場合、そのまま無事に自然公園へと到着することができる。【エンディングへ
 そうでなかったら……? 「ア、アイエエエエ!? 後ろ! 後ろに!」スシ職人の叫びに、運転中のお前はバックミラーを覗き込み目を剥いた。はるか後方から駆けてくるのは防寒着めいてモコモコとしたニンジャ装束を身にまとうビッグニンジャ! 恐ろしいことにぐんぐんとその差を縮めてくる! 追いつかれるのも時間の問題だ!
 お前は状況判断する。そして……
1. 窓から身を乗り出し、スリケン投擲で牽制する【ワザマエ】判定、目標出目5以上) 
2. スシ職人に運転を任せ、ヤクザベンツを降りて時間稼ぎに徹する
(1を選び、成功した場合)
イヤーッ!」お前は一瞬だけスシ職人にハンドルを握らせ、窓から身を乗り出してビッグニンジャ向けスリケンを投擲! 「ヌゥーッ!」その精緻な狙いに、ビッグニンジャは足を止めてスリケン防御に徹さざるを得ない! お前はその隙に全速力でアクセルを踏み、距離を離すことに成功する! 急げ! 自然公園へ! 急げ! 【イクサ回避成功】
(1を選び、失敗した場合)
イヤーッ!」お前が投擲したスリケンは、まっすぐに向かってくるビッグニンジャへと確かに命中した。しかし! 「イヤーッ!」そのビッグニンジャは速度を緩めるどころかさらに加速! 己のニンジャ耐久力に頼り、最初から防御を捨てていたのだ! そして! CRAAAASH! 「「グワーッ!?」」そのタックルが無慈悲にヤクザベンツを跳ね飛ばし、自然公園入り口脇の壁に衝突させる! 衝撃でお前は【体力】を2失う。なんとか運転席から這い出した君のもとに、ビッグニンジャのあざ笑うようなアイサツが届いた。「ドーモ。バッティングラムです」 【イクサへ】
(2を選んだ場合)
 お前はスシ職人を運転席に座らせる(「アイエッ!?」)と、助手席側のドアを蹴り開けて道路に着地! そのまま向かってきたビッグニンジャへアイサツを繰り出した。ビッグニンジャは足を止め、オジギを返す。「ドーモ。バッティングラムです。私にイクサを挑むとはいい度胸だ」 【イクサへ】


◇イクサな◇

 アイサツを終えたお前はカラテを構え、バッティングラムと対峙する。敵は7フィートを超える長身。頭に生えるのはバイオサイバネと思しき巻きツノであり、そのバストは豊満だ。そのアトモスフィアは確実に手練れのものであり、まともに相対すれば爆発四散するだろう。それほどのカラテだ。
 お前は……
1. 敵のカラテの防御・回避に専念し、隙をついて逃げを打つ
2. ドゲザし、ソウカイヤに恭順を誓う(【名声:ドラゴン・ドージョー】が0の場合のみ
(1を選択した場合)
 お前は敵を挑発し、カラテを促す。バッティングラムは「ナメてんじゃねぇぞこのサンシタがァーッ! イヤーッ!」一瞬でワン・インチ距離に踏み込み、滅多打ちを仕掛けてきた! 恐るべき三連続攻撃である! ダイスを三分割し【回避】判定(目標出目3以上)せよ。【精神力】使用による自動成功は一回の攻撃しか回避できないことに注意だ。回避に失敗するたびお前は【体力】2を失う。三回連続で失敗すれば失われる【体力】は6だ!
 なんとか生き延びたお前は攻撃後の隙をつき「イヤーッ!」連続側転で離脱に成功! すでに自然公園へ逃げ込んでいたスシ職人の後を追う! 「チィーッ! コシャク!」 バッティングラムも即座に追跡態勢! 【エンディングへ
(2を選択した場合)
 お前は相手よりも先んじて動いていた。地に膝をつき、額を道路になすりつける。「ゴメンナサイドゲザ! ドゲザである! バッティングラムのカラテアトモスフィアに心折られたか、それとも「死んだら終わり」と悟ったのか。どんな思惑にせよ、お前のドゲザはバッティングラムを戸惑わせるのに充分だった。「エッ……? エート……ちょ、ちょっと待ってろ! 逃げたらカラテだからな!」断りを入れた彼女は、慌てたように携帯IRC端末を引っ張り出し、通話を始める。「ドーモ、フラッフィーのオニイサン……ええ、例のローン滞納者に協力してたニンジャの件です……その、いきなりドゲザしてきたんですけどどうすれば……エ? とりあえず連れてこい? はあ……」ひとまず命は拾えたらしい。よかったね! 【ゲーム終了。以後、キャラクターを『ソウカイヤ』所属として扱う


◇エンディングな◇


 ……スシ職人とともに、お前は合流地点へと急ぐ。背後が騒がしい。追っ手が迫っている。スシ職人の体力はもはや限界。走れるまい。ここで立ち向かわねばならぬか。お前がそう判断しようとしたそのときだ。
 「ロウオオオオーン!」凄まじい嘶きとともにお前の前に現れたのは巨大なバッファロー! それが牽く牛車で手綱を引くのはドラゴン・ユカノ! 「こちらへ!」彼女の導きに従い、お前はスシ職人を抱え上げて回転ジャンプ! 牛車車両後部座席へと飛び込んだ!
 「ロウオオオオーン!」バッファロー爆走! 「「「アバーッ!?」」」自然公園入り口に終結し始めていたクローンヤクザたち無残!「イヤーッ!?」その指揮官と思しき、防寒着めいたモコモコのニンジャ装束を着込んだビッグニンジャが危うく回避。驚きの目でこちらを見やる。それを振り切るようにして巨大バッファロー牛車はネオサイタマの闇へと飛び込んだ。
 「感謝します。よくここまでご無事で」手綱を握りながら、ユカノはお前に微笑を向けた。「すみませんが、追加の報酬はドージョーに到着してからです。ほとぼりが冷めるまでしばらくお泊まりください。お爺さまもきっと快く迎えてくれますよ」極度のニューロン緊張が解けたお前は、その柔らかな声に誘われるように眠りに落ちた。(【万札】10および【名声:ドラゴン・ドージョー】を5獲得



◇あとがきな◇

 あなたは生き延びることができただろうか。ドラゴン・ドージョーに所属するか、それともソウカイヤに入るか……それはあなた次第である。無論、ほとぼりが冷めるのを待ってフリーランスとして活躍しなおすのありだろう。

 ちなみに、作中で出てきたソウカイヤのビッグニンジャ『バッティングラム』の想定ステータスは以下のようなもの。自身のある人は真正面からイクサを挑んでもいいかもしれない。

ニンジャ名:バッティングラム(NPC)
【カラテ】:12
【ニューロン】:2
【ワザマエ】:2
【ジツ】:2(ビッグカラテ)
【体力】:16
【精神力】:2
【脚力】:8
持ち物など:
▲バイオサイバネヘッド(軽微)
●突撃
●頑健なる肉体
◉常人の三倍の脚力
◉滅多打ち

 しかなはソロシナリオプレイの感想や、修正のご指摘などをお待ちしています。ここまで読んでくださったみなさま、ありがとうございました! 気が向いたらまたやるよ!


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