忍殺TRPGソロリプレイ【キャット・インバイト・ビッグマウス】エピローグ

◇前置き◇

 ドーモ。しかなです。当記事はしかながニンジャスレイヤーTRPGのシナリオを遊んだ結果を元に書き上げたテキストカラテ(訳注:二次創作小節)です。いわゆるリプレイだ。気楽に読めるよ。

 そして続き物でもある。前回のお話はこれです。

 恐るべきバイオニンジャ、プレイグを激戦の末に爆発四散させたエスコートたち。今回描かれるのはリザルトと彼らの余暇になります。

 ではいってみよう。よろしくおねがいします。



◇リザルトな◇

「……というわけで、病毒を操るバイオニンジャは我々の手で爆発四散させました。これはその生体情報となります」

「ドーモ。……またぞろヨロシサンですか。そろそろ慰謝料を取れるかもしれませんね……」

 イクサの翌朝。キキコミ社の社長室にて、エスコートらは上司への報告を終えていた。ヨロシサンのシャナイヒ級データ入りフロッピーを受け取った女ニンジャ……ディスグレイスは溜息とともにそれを眺める。

 彼女こそがディスグレイス。エスコートらを束ねるグレアリング・オロチ・ヤクザクランの女オヤブン。加えてこのキキコミ社の社長でもある。普段とは違い、今日は他所行きのスーツ姿。そのバストは豊満であった。

「ともあれ貴方がたの働きはよくわかりました。よく頑張ってくれましたね。アリガトゴザイマス。……さて、廊下の件ですが」

「ハ……その、あれは私の独断でしてな。ケジメでしたら私一人で」

「いりませんよそんなもの……保険が降りたのでそれで修理を行います。なので気にしないように、と言いたかったのです」

 ディスグレイスは心外そうな様子で言った。エスコートはオジギし、内心胸を撫で下ろす。その立場に反して、ディスグレイスのヤクザ意識はそれほど高くない。なので被害を最小限に留められればそれほど厳しいお叱りはないだろう……というのが彼の見立てだった。幸運にもそれは的中した。

 オジギ姿勢を保つエスコートの横、カテドラルがいそいそと進み出る。その手には古めかしいマネキネコ。

「あの、ディスグレイス=サン。遅れてしまって申し訳ありません。社長ご就任、オメデトゴザイマス」

「あら、まぁ! ウフフ、アリガトゴザイマス。わざわざ引き出物を持参してくれたのですか?」

「いや、もともとこっちがオレらの本題だったンスよ。あのバケモノネズミはそのついでというか……」

 シングルラブルが複雑そうにそう付け加える。ディスグレイスは微笑とともに彼女を見た。

「ついででもなんでも、労働には対価で報いなければ。後で皆さんの口座にボーナスを振り込んでおきます。受け取ってくださいな」

「「「アリガトゴザイマス!」」」

 三人は揃って120度オジギ! ディスグレイスは微笑を浮かべたまま、受け取ったマネキネコをデスクの脇に置く。どこかアルカイックなマネキネコの視線が、ニンジャたちをいつまでも見据えていた。

■リザルトな■
②評価A:アジトでプレイグ撃破+「シャナイヒ級バイオニンジャ生体情報」入手
 【万札:20】、【名声+3】
■余暇前の模様替えタイム■
グレアリング・オロチ【万札】80 → 133
オイランパブにオイランドロイド一体導入 【万札】133 → 103
キキコミ社でハッカー一人雇用 【万札】103→93
■分配な■
グレアリング・オロチ【万札】93 → 0
エスコート【万札】6 → 37
カテドラル【万札】1 → 31
シングルラブル【万札】7 → 38


◇余暇1日目◇


「フム」

 ネオサイタマ某所。非合法銃器店にて、エスコートは前から目をつけていた品を手に取った。結局引き取ってもらったスダチカワフ社のバズーカとは違い、細身でシャープなシルエット。

 こうした場ではなかなかお目にかかれない、ミハル社のカスタム・スナイパーライフルである。ディスグレイスの口利きもあり、どうにか確保してもらっていたのだ。ようやく手元に入った。

 エスコートのカラテは決して低いわけではない。だが忙しなく動くよりはじっと機を待つ方が性に合う。

「あとは私自身の精度を高めるだけか。テッコの導入も考えるかな……」

 支払いを滞りなく終えた彼は、憧れのトランペットをようやく手に入れた少年めいて軽い足取りで帰路についた。

エスコート:ブラックマーケット
スダチカワフ・バズーカ売却【万札】37 → 43
*ミハル社製カスタム・スナイパーライフル*購入
【万札】43 → 8


◇◆◇◆◇


 一方その頃。ネオサイタマ某所のヨロシ研究所にて。

「お気分いかがですか? カテドラル=サン」

 濃緑色の艶やかな髪に染み一つない白い肌。ヨロシ研究員ソラン・イゾセは目覚めた施術者へにこやかに笑いかける。内心、少しばかりの警戒を行いながら。

 バイオサイバネの置換手術。今回は依頼人……愛すべきディスグレイスが事前に用意していたバイオサイバネを彼女の部下に取り付けるというものだった。この施術により、カテドラルなるこのニンジャはバイオニンジャ一歩手前までその身にヨロシDNAを染み込ませた。

 そうなると多かれ少なかれ拒絶反応を起こす者も現れる。無論そうした事態を想定して手飼いの培養バイオニンジャを潜ませてはいるものの……この瞬間が一番危険であることに変わりはない。

 純白ニンジャ装束の巨躯の女はゆっくりと身を起こし、自らの足元を見やる。新たに置換され、鳥めいて鋭い蹴爪を備えた脚を。数度その足が伸び、縮まる。試運転を終えた彼女はそのまま起き上がり、ソランへ奥ゆかしくオジギした。

「アリガトゴザイマス、ソラン先生。天にも昇る気持ちとはこのような心境を言うのでしょうね」

「お気に召したようで何よりです」

「フフッ、ハイ。私、より近づけた気がします」

「といいますと?」

「夢で見たあの雄大な御姿に。きっとあれこそ私の……というより、私に宿ったニンジャソウルの祖たる存在なのでしょう」

 莞爾とした笑みとともにカテドラルは言った。その眼には一点の曇りもない。どうやら彼女は神がかりになるタイプらしい。ソラン研究員はそう結論づけた。

「それはようございました」

 彼女は端的な祝福を送る。ヨロシサンのジーンを継ぐ新たなセンシに。

カテドラル:バイオサイバネ手術
持ち込み→▲バイオサイバネ脚(鳥人)置換
(5,5) ジツ減少なし
狂気判定
(6,6) 狂気の中の真実 獲得


◆◇◆◇◆


「イヤーッ! イヤーッ! イヤーッ!」

 そしてそれとほぼ同時刻! グレアリング・オロチ・ヤクザクランに併設されたドージョーで、シングルラブルは無心に木人へカラテ・パンチを繰り出し続けていた。

 今回のイクサで、彼女は自身のカラテの未熟さを痛感させられていた。元より彼女の持ち味はブンシン・ジツと、そこからの連撃だ。しかし今回はどうだ? あのコクシ・ジツとかいうどうしようもないジツのために自分のブンシンは封じられ、何度もブザマを見せる羽目になった。

「イヤーッ! イヤーッ! イヤーッ!」

 故にカラテだ。ジツに頼らずとも、あのクソネズミ程度は殴り飛ばせるくらいのカラテを身につけねばならない。パァン! クリーンヒットを入れられた木人がぐらぐらと揺れた。

シングルラブル:カラテトレーニング(累積)
【万札】37→31
1d6 → 5 成功
【カラテ】4→5 【体力】4→5 【脚力】2→3



◇余暇2日目◇


「なあカテドラル=サン、マジでそれ買うのか?」

「ハイ。なにか変でしょうか?」

「いや……いいんだけどさぁ」

 真っ直ぐな眼差しを変えられ、シングルラブルは居心地悪げに視線を逸らす。その口元を覆うのはシンプルな金属製のメンポ。オーダーメイドだ。

 不思議そうに小首を傾げたカテドラルは、微笑を浮かべたままに買い求めた得物を振り回し、演舞めいてカラテを試す。しなり、風を巻き起こすのはヤリだ。シングルラブルからすれば時代錯誤な代物。

「ま、使いこなせりゃいいか……それよりさ、その新しい装束似合ってんじゃん」

「そうですか? アリガトゴザイマス!」

 カテドラルは嬉しげに笑う。8フィート越えの巨体にも関わらず、その姿はどこか子どもめいていた。シングルラブルは小さく苦笑を漏らす。

エスコート:ワザマエトレーニング(累積)
【万札】8→2
1d6 → 1 振り直し
1d6 → 3 失敗
次回ワザマエ出目+1

カテドラル:ブラックマーケット
『伝統的ニンジャ装束』『ヤリ』購入
【万札】32→7

シングルラブル:ブラックマーケット
『パーソナルメンポ』購入
【万札】31→21



◇余暇3日目◇


 カチャ、カチャ……カチャリ。

「ヒラケ・ゴマ……と。これでどうだろう?」

 オオー、と周囲から静かな歓声が上がる。金庫を開いて見せるエスコートへ、グレーターヤクザが勢いよく頭を下げた。

「アリガトゴザイマス! 実際助かりました。なンせ、ワカガシラしかパスコードを把握してねえもんで……このままじゃウチもどこかに身売りするしかねェところでしたよ」

「いやはや、不幸というのはどこから舞い込んでくるかわからないものだね。幸運も同じだが」

 差し出された茶封筒を恭しく受け取ってから、エスコートはしみじみと言った。ここはツチノコ・ストリートのとあるソウカイヤ傘下ヤクザクラン事務所。ワカガシラが敵対ヤクザクランのテッポダマにより落命し、事務所の資金を納めた金庫が開けられなくなる緊急事態が発生していたのだ。

 そこに派遣されたのがエスコート。彼は元より錠前破りを専門としていた男である。なにが役に立つかわからない。レッサーヤクザたちのオジギを背後に、彼は悠々と仕事を終えて立ち去った。


エスコート:モータルハント
1d6 → 4
【万札】2→6

カテドラル:カラテトレーニング
【万札】7→4
1d6 → 6
【カラテ】5→6 【体力】14→15

シングルラブル:ワザマエトレーニング
【万札】21→18
1d6 → 2 振り直し
1d6 → 3 成功
【ワザマエ】2→3



◇余暇4日目◇


「ドージョーがいくつもあるってのはいいよなァ」

「ウム。だが、そのいずれもがディスグレイス=サンの私有物。感謝せねばならんな」

 グレアリング・オロチ・ヤクザクラン事務所にて。トレーニングを終えたシングルラブルは上機嫌にエスコートと会話を楽しんでいた。一方のエスコートも、ナダ邸……要はディスグレイスの今の自宅だ……の掃除ついでに地下ドージョーで鍛えてきた帰りである。

 微笑していたエスコートは、ふと眉をひそめる。

「さて、となるとカテドラル=サンは」

「キキコミ社でディスグレイスの護衛ついでに向こうのドージョー借りてるみたいだぜ。……大丈夫かねェ」

「妙なところで心配するね、きみは」

「いや、まあ……爺さんは関係ないかもしれねーけど……」

 シングルラブルは言葉を濁す。カラテや振る舞いともにソンケイできる上司であるディスグレイスだが、唯一困り物なのがその性的嗜好である。その対象となったこともある彼女としては、つい心配してしまうのだ。

 一方のエスコートは平然たるもの。静かにチャを啜る。

「まあ、あまりその手の事情に首を突っ込むのも奥ゆかしくないが……カテドラル=サンは返って平気なのではないかね。ディスグレイス=サン、むしろああした純真な手合いには奥手になると見た」

「えぇーッ……?」

 シングルラブルが疑わしげな声を上げる。その様子に思わずエスコートは吹き出した。先日のイクサが嘘のような、実に平穏な昼下がりであった。

エスコート:ワザマエトレーニング(累積)
【万札】6→0
1d6 → 3 振り直し
1d6 → 5 成功
【ワザマエ】4→5

カテドラル:ワザマエトレーニング
【万札】4→1
1d6 → 4 成功
【ワザマエ】3→4

シングルラブル:ワザマエトレーニング
【万札】18→15
1d6 → 5 成功
【ワザマエ】3→4
アガリ徴収
オイランパブ
(2,2,2,2,3,3,4,5,5,6)
出目6を0とし、【万札】28
キキコミ社
(1,1,1,2,3,4) 【万札】12
プレジデントルーム
(28 + 12) / 4 → 10
​グレアリング・オロチ【万札】0→50


【キャット・インバイト・ビッグマウス】終わり



◇後書き◇

 アジトにおびき寄せネズミ退治は成功。さすがにカテドラルのように回避ダイスが少ないものがいると、囲んでボーで叩かれる可能性のある洞窟戦は避けざるを得なかった。状況判断だ。

 さて、余暇を経て三名は以下のように成長した。

ニンジャ名:エスコート
【カラテ】:4            【体力】:4/4
【ニューロン】:5       【精神力】:5/5
【ワザマエ】:5          【脚力】:3
【ジツ】:3(ムテキ)      【万札】:0
近接攻撃ダイス:4
遠隔攻撃ダイス:7
回避ダイス:5
ハッキングダイス:11

【特筆事項】:
 【名声】:4

【装備】:
 *ミハル社製カスタム・スナイパーライフル*
 家族の写真

【サイバネ】:
 ▶︎サイバネアイ
 ▶︎▶︎生体LAN端子+

【スキル】:
 ○錠前破り

【説明】
 かつてはスラッシュ&ハックの錠前破りとして名を馳せた男。
 ニンジャ器用さで障害を取り除き、ムテキ・アティテュードで味方の盾となる。
 そのニンジャネームは彼のワザマエから来たものだ。
ニンジャ名:カテドラル
【カラテ】:6        【体力】:15/15
【ニューロン】:5      【精神力】:5/5
【ワザマエ】:4       【脚力】:5
【ジツ】:3         【万札】:1
近接攻撃ダイス:7
遠隔攻撃ダイス:4
回避ダイス:4

【特筆事項】
 【名声】:4
 『狂気の中の真実(軽度)』

【ジツ】:
 ビッグカラテ
  【体力】に+【ジツ】値、『回避ダイス』に−【ジツ】値の補正
  『●連続側転』使用不可

【アイテム】:
 オーガニック・スシ

【装備】:
 ヤリ
 伝統的ニンジャ装束

【サイバネ】
 ▲バイオサイバネ胴体
 △バイオ飛行翼
 ▲バイオサイバネ脚(鳥人)​

【スキル】:
 ●頑強なる肉体、●突撃、●薙ぎ払い、●飛行移動
 ●不屈の精神
 『滑空攻撃』
 ○信心深い

【説明】
 ニンジャとなった折の肉体変化を奇跡と見做され、
 弱小カルト団体の巫女として担ぎ上げられていた。
 隔離した生活を送らされていたため世情には疎い。
ニンジャ名:シングルラブル
【カラテ】:5                【体力】:5/5
【ニューロン】:4           【精神力】:5/5
【ワザマエ】:4           【脚力】:3
【ジツ】:3(ブンシン)      【万札】:15
近接攻撃ダイス:5
遠隔攻撃ダイス:4
回避ダイス:5

【装備】:
 パーソナルメンポ

【スキル】:
 ○テッポダマ
 ◉滅多打ち

【説明】
 小規模ヤンクチームの元チームリーダー。抗争の果てにニンジャとなる。
 ジツを頼りに無鉄砲な殴り込み行為を繰り返していたところをスカウトされた。
 同じジツを操り、自分より高いカラテを持つディスグレイスにソンケイを抱く。

 いずれも高水準なサンシタとなってきた。そろそろ古株のチェインドッグやフィアーレスにもスポットを当てたいなあと思いつつも、彼らの成長にも力を入れたいところ。

 さて、改めて。ここまで読んでくださった皆様方! そして楽しいシナリオを書き上げてくださった黒鷺あぐも=サン! ありがとうございました! 気が向いたらまたやるよ!

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