忍殺TRPGソロリプレイ【プリペア・トゥ・ハング・ゼム・ウィズ・ロープ】前編
◇前置き◇
ドーモ。しかなです。当記事はしかながシナリオを遊んだ結果をもとに作成したテキストカラテ……一般的にはリプレイと呼ばれるものとなります。気楽に読めるよ。
今回はマップ付きのシナリオに挑戦しました。公式のシナリオ【横浜御縄談合】です。
サンプルシナリオ1と2は成長の壁を超えたニンジャたちで挑みましたが、今回はニュービー四名で挑みました。詳細はダンゴウにて発表します。
ニュービーたちははじめてのミッションをうまくこなすことができるのか? ではやってみよう。よろしくおねがいします。
◇ダンゴウ、あるいはオープニング◇
ツチノコ・ストリートのとある雑居ビル13階。そこにはヤクザ事務所が居を構えている。かつてはブラッドカタナ・ヤクザクランの所有だったが、今はもはやその痕跡すら残っていない。ニンジャがここを訪れ、殺し尽くし、奪い取ったのだ。
それを為した張本人……恐るべきソウカイニンジャにしてグレアリング・オロチ・ヤクザクランの女オヤブン、ディスグレイスは今、新たな略奪の命を下そうとしている。
「ドーモ。今日はお集まりいただきありがとうございます」
ミコー装束の彼女は奥ゆかしくオジギ。その前に横一列に並んだ四人もまたオジギを返す。驚くべきことに、その全員がニンジャなのだ!
ディスグレイスは微笑する。この者たちは彼女がスカウトし、管理することとなったニュービーたちだ。名目だけでもオヤブンとなった以上、彼女らにも積極的にミッションを割り振るべきだろう……そう考えた彼女は、上役たるニンジャ、ソニックブームから送られてきたオリガミ・メールを見て決断したのである。
「楽しい休暇は取れましたか? ブレイクダウナー=サン」
「まあ、それなりに仕上げてきました。新しいオモチャも手に入れましたし」
金のメッシュが入った髪を弄りながら答えたのは、オーバーオール装束のニンジャ。その背にはロングボウ。彼女の言うオモチャとはこれのことだろう。
ニンジャ名:ブレイクダウナー
【カラテ】:2 【体力】:2/2
【ニューロン】:6 【精神力】:6/6
【ワザマエ】:6 【脚力】:3
【ジツ】:2 【万札】:3
近接攻撃ダイス:2
遠隔攻撃ダイス:6
回避ダイス:6
【ジツ】:
★デン・ジツ
【装備品】:
ロングボウ
家族の写真
【スキル】:
○サイバネ賞金稼ぎ
【説明】
ニンジャとなって得たジツを頼りにサイバネ賞金稼ぎへ
転向した元ストリートチルドレン。サイバネを軽視し、
バイオサイバネに特殊な偏愛を見せる。
「バイオサイバネ入れようかとも考えたンスけど、カテドラル=サンみたいに」
「……あれ、話しましたっけ?」
不思議そうに首を傾げるのは身の丈8フィート以上の巨体を誇る、純白ニンジャ装束の女ニンジャ。カテドラルだ。
ニンジャ名:カテドラル
【カラテ】:3 【体力】:12/12
【ニューロン】:5 【精神力】:5/5
【ワザマエ】:2 【脚力】:3
【ジツ】:3 【万札】:6
近接攻撃ダイス:3
遠隔攻撃ダイス:2
回避ダイス:2
【特筆事項】
ローンあり(【万札】12)
【ジツ】:
ビッグカラテ
【体力】に+【ジツ】値、『回避ダイス』に−【ジツ】値の補正
【アイテム】:
オーガニック・スシ
【サイバネ】
▲バイオサイバネ胴体
【スキル】:
●頑強なる肉体
●突撃
●薙ぎ払い
○信心深い
【説明】
ニンジャとなった折の肉体変化を奇跡と見做され、
弱小カルト団体の巫女として担ぎ上げられていた。
隔離した生活を送らされていたため世情には疎い。
「見りゃわかるし! 身体のラインとか微妙に変わってるしさ。たぶん鱗とか……そういうんだろ?」
「まあ! そこまでわかってしまうのですね!」
「いろいろ調べてるからな! 後で触らせてくれよな」
「ハイ。いいですよ」
笑顔で言うブレイクダウナーにカテドラルは微笑で答える。彼女のバストは豊満であった。
ディスグレイスが咳払いし、二人の私語を戒める。慌てたように姿勢を正す二名を見やってから彼女はため息をついた。
「……今がダンゴウの最中だと忘れないように。特にカテドラル=サン。バイオサイバネを入れる際にローンを組んだと聞いています。返済が滞ればどうなるか……わかるでしょう?」
「も、申し訳ありません……」
「謝罪は成果で返せばよろしい。で、スムーストーン=サン」
「ハイ!」
背筋を伸ばして返事をするのは、灰色コケシカットが特徴的な安物スーツの女ニンジャ。その様子にディスグレイスはくすりと笑う。
ニンジャ名:スムーストーン
【カラテ】:3 【体力】:3/3
【ニューロン】:4 【精神力】:4/4
【ワザマエ】:3 【脚力】:2
【ジツ】:3 【万札】:8
近接攻撃ダイス:3
遠隔攻撃ダイス:3
回避ダイス:4
【ジツ】:
★ヤルキ・ジツ
【アイテム】:
オーガニック・スシ
【スキル】:
○言いくるめ
【説明】
元サラリパンクスにして営業オーエル詐欺師。
その活動が小規模ヤクザクランにも及んだため
ソウカイヤに露呈。一転してソウカイヤ入りを選ぶ。
「今回の仕事はむしろ貴女の働きが重要になるでしょう。ソウカイニンジャとしてのステップを踏むためにも、誠心誠意尽くしてくださいね」
「は、ハイ! ディスグレイス=サンの期待に応えられるよう、尽力します!」
スムーストーンは緊張した様子で答える。潤んだ瞳でディスグレイスを見つめ、その頬を赤らめながら。この両者の間になにがあったか。それはここで触れるべき事柄ではあるまい。
その様を好ましげに眺めてから、ディスグレイスは最後の一人に目をやった。
「……貴女方には以前ニュービーのスカウトで組んでもらったことがありますが、今回はそこにサイバンブー=サンも加えます。準備はできていますね、サイバンブー=サン?」
「恙無く。頂いたサイバネアイの調子も良好です」
誇示するかのように瞳を赤色に発光させ、サイバーゴスめいた女ニンジャが答える。彼女のサイバネアイはかつてディスグレイスがこの事務所を攻め落とした際に取得したものだ。使い途がなかったためサイバンブーに譲られることとなった。
ブレイクダウナーが揶揄するような目を向けたものの、なにも言わない。ダンゴウ中だからだ。
ニンジャ名:サイバンブー
【カラテ】:3 【体力】:3/3
【ニューロン】:4 【精神力】:4/4
【ワザマエ】:3 【脚力】:2
【ジツ】:3(ドドン) 【万札】:11
近接攻撃ダイス:3
遠隔攻撃ダイス:4
回避ダイス:4
【特筆事項】:
【DKK】4
【アイテム】:
ZBRアドレナリン注射器
【装備品】:
LAN直結型ハンドガン
【サイバネ】:
▶︎サイバネアイ
▶︎生体LAN端子
▷無線LAN攻撃用ユニット
【スキル】:
○サイバーゴス
【説明】
過剰搭載満員電車により圧縮死しかかったサイバーゴスにニンジャソウルが憑依。
ニンジャとなった経緯のため人の集まる場所が苦手であり、もっぱら土中で過ごす。
地面から無線LANユニットのみ伸ばしている様子からそのニンジャネームをつけられた。
「ヨロシイ。では改めて今回のミッションを説明します。今回のターゲットはネオサイタマ第三埠頭にアジトを持つ新興ギャングスタ・ヤクザクラン。ヨコハマ・ロープウェイ・クランです」
「皆殺しにするンスか?」
気怠げにブレイクダウナー。ディスグレイスは微笑し、首を横に振った。
「いいえ。売り込みですよ。……そのギャングスタたちのシノギは漁船強盗行為とメン・タイです。そして、かつてここにあったブラッドカタナ・ヤクザクランと取引がありました」
ディスグレイスの笑みが深まる。その瞳が妖しく輝いた。
「ですがもはやブラッドカタナはなし。代わりに我々グレアリング・ヤクザクランがあります。となれば、ねえ? 我々と取引をしていただくのが筋というものでしょう?」
「つまり、ソウカイヤからメン・タイを仕入れさせて捌かせる」
「その通りです。流石に理解がハヤイですね、スムーストーン=サン」
つまりはそういうことだ。顧客名簿からヨコハマ・ロープウェイ・クランがブラッドカタナと取引をしていたことは明白。がら空きになった取引相手にとって代わりネコソギする。シンプルなミッションと言えた。
「あの……もし向こうが拒否してきたらどのようにすれば?」
「いい質問ですね、カテドラル=サン。逆に問います。なんのために貴女方ニンジャを送り込むと思っているのです?」
カテドラルは困ったように閉口する。物わかりが悪いようならばカラテ。すぐに伝わった。サイバンブーがさらに質問を投げかける。
「追加の質問を。『わからせる』ために消費していいギャングどもは何人までです?」
「ある程度ならば好きなように。ただ、オヤブンであるスミス=サン。彼だけは決して始末しないこと。チャブを囲む相手がいなくては売り込みができません。わかりますね?」
四人のニンジャは黙って頷く。ディスグレイスは満足げに彼女らを見渡し、付け加えた。
「現場周辺はアーソン=サンの管轄です。ソニックブーム=サンが既に話を通してくださっていますし、わたくしもフェイス・トゥ・フェイスでアイサツを済ませています。なにかあればまず彼に連絡を」
「ソニックブーム=サンではなく?」
「あの方は岡山県にオンセン旅行だそうですよ」
ニュービー急増による過重労働を見咎められ、強制的にIRC通信ができない地域へ投げ込まれた……というのは、彼の名誉のために黙っておくべきだろう。ディスグレイスはそう判断した。
かくして四人のニンジャたちは迎えの家紋タクシーに乗り込んだのである。
◇到着な◇
……数時間後! ヨコハマ第三埠頭! 家紋タクシーからカテドラルを引っ張り出す(ビッグニンジャは乗り降りに苦労するのだ)ブレイクダウナーを尻目に、スムーストーンは伸びをした。
そこは廃倉庫が立ち並ぶ寂れたエリア。ニンジャ聴力を持たずとも、そこかしこから銃声や悲鳴、怒号が聴こえてくる。ハッカーカルトやギャングに占拠されているのだ。ヨコハマ・ロープウェイ・クランのアジトもそのような廃倉庫であった。
「サイバンブー=サン、事前調査でわかったことをおさらいしてくれる?」
サイバンブー:【ニューロン】判定
(1, 1, 2, 2, 5, 6) 成功2
「構成員数は2桁台。ここ以外にもアジトがあるようだから、仮にこの場でスミス=サン以外の構成員を全滅させても問題はない」
「……ンなことしたら私たちの査定に差し障りがあるけどね。ソウカイヤのアガリが減るわけだし。他には?」
「暗黒メガコーポとの関わりは不明。だけど武装レベルは大して高くない。チャカ・ガンやマシンガンがせいぜい」
「重サイバネのクズもいねェんだな? そいつはちょっと残念だ」
ようやくカテドラルを引っ張り出したブレイクダウナーが会話に乱入。額の汗を拭いつつ、彼女はスムーストーンを見やる。
「で? 取引がメインってことはお前が仕切るんだろスムーストーン=サン。どうする?」
「ああ、いいのかい? ありがたいね! じゃあしばらく入り口のあたりでのんびりしてて。まず私が様子見してくる」
「一人で? その……私もついていったほうが」
「ダイジョブダッテ。むしろカテドラル=サンがいると警戒させちゃうもの。まずは油断してもらわないとね」
ウインク一つを残し、カテドラルは無造作に廃倉庫の敷地内へと足を踏み入れた。出迎えるのは積み上げられたジャンクの山。その向こうからはイカやモチの焼けるいい匂いが漂ってくる。ギャングが何名かいるということだ。
そして『ナイシュードスエ』右手からは艶めかしい合成マイコ音声。見るとそこはバスケットコートとなっており、何名かのギャングスタたちがバスケに興じている。無断に立ち入ったこちらに気づく様子はない。
左手を見やる。マシンガンを持ったギャングが一人、倉庫の前に立ち塞がっている。奥に何があるかはわからないが……オヤブンがいそうな気配だけは漂ってきた。
入り口付近から覗き込む仲間たちに軽く手を振ってから、スムーストーンは深く息を吸い込む。そして。
「オジャマシマス! ソウカイヤです!」
敷地中に響き渡るほどの大音声でアイサツ! あっけにとられたような沈黙の後、ドタバタと周囲から寄り集まってくるギャングスタたちを前にスムーストーンは満面の笑みだ。
「ワッザ?」「なんだテメエ?」「誰かオイラン呼んだのか?」「後ろにもいんぞ」「ソウカイヤってなんだ」「知らねえ」「おい、オヤブン呼んでこい、オヤブン!」
まずはよし。あと数分もしないうちに取引相手が現れるだろう。スムーストーンはリラックスした様子で訝しげなギャングたちを見渡す。
「お騒がせして申し訳ありません! メン・タイの取引についてお話があって参りました!」
物怖じしない様子のオーエルめいた女にギャングスタたちが訝しむ。どう見てもこの場にそぐわないアトモスフィアの持ち主を前に、どう振る舞うべきかを図りかねているのだ。
「メン・タイなら間に合ってるぜ、ウチは。他所をあたんな」
左手から声! スムーストーンは笑みを維持して振り向く。倉庫側からやってきたのはスキンヘッドの黒人ギャングだ(といっても、集まったギャングたちも似たような外見の持ち主である)。その背後には金属バットを担いだ巨漢の姿。スムーストーンは奥ゆかしくオジギを繰り出した。
「ドーモ。貴方がスミス=サンですね? はじめまして。私はスムーストーンです」
「スムーストーン(滑らかな声音)? ホー、ホー、ホー! ぴったりな名前じゃねえか! バカにしてんのか?」
睨めつけるスミスに、スムーストーンは余裕を崩さない。ソウカイヤに取り入る前からやっていたように、滑らかに言葉を紡ぐ。
「お聞きになっていたかもしれませんが、メン・タイの取引についてお話したいことがありまして。少しお時間をいただければと」
「……そっちの連中もテメエの連れか?」
入り口に姿を表したブレイクダウナーらを見て、スミスが眉根を寄せる。スムーストーンは笑顔のままに頷いた。彼は低く唸り、無造作にバスケットコートを指し示す。
「ならオトモダチも呼んでこい。広い場所で話をしようじゃねえか」
◇◆◇◆◇
「ボーシッ! トーリー、ボーシッ!」
スムーストーンの切り出した用件……即ち、ブラッドカタナの消滅に伴うメン・タイ取引を聞いたスミスは激昂した。スムーストーンは笑みを絶やさず、やや後ろで並ぶブレイクダウナーたちは無言。
「冗談も休み休み言えやコラー! ブラッドカタナは腕利きのヨージンボを雇ってんだ。そう簡単に無くなるかよ!」
「そうは言っても事実です。仕入れ先がなくなると困るのはそちらでしょう? いち早く情報を手に入れたのもなにかのご縁。特価で取引させていただきますよ」
(よくまああそこまで口が回るよな)(ぶっつけ本番、あれ?)(ミッションの詳細がわかったの、今日だぜ。台本用意してる暇もねえだろ)
彼女のニンジャ聴力は仲間たちの囁きを捉える。微笑ましいことだ。この程度のことに台本など用意する必要もない。
一方のスミスはといえば不意に怒りを収め、口の端を吊り上げた。そしてギャングたちとともにバスケットコートを囲んでいた巨漢を顎で呼びつける。
「……オハギの一つも持ってきやがらねえナメた連中にやれるのはこいつのバットくらいだな」
「ははあ?」
「アンドレは元野球選手だ。まあ見てやってくれよ」
「ハッハァー! ハッハァー!」
◆ギャングスタ・ヤクザ 「アンドレ」 (種別:モータル/ヤクザ) 「ア」
カラテ 5 体力 5
ニューロン 2 精神力 2
ワザマエ 2 脚力 3
ジツ ー 万札 5
◇装備や特記事項
棍棒:アンドレは元野球選手の巨漢であり、その手に握られた棍棒やバットはたちまち殺人武器となる。
アンドレの棍棒には「カタナ」のルールがあてはまる。
ただし、アンドレは通常の近接攻撃か『強攻撃』しか使わない。
◇スキル:『◉突撃』のスキルを持つ。アンドレは戦闘中1回限りこのスキルを使用できる。
『突撃』を行うと脚力の2倍までの距離を移動できる。
ただし曲がることも後戻りもできず、一直線の移動しかできない。
この移動時は一直線でさえあればナナメ方向への移動も可能である。
『突撃』の使用直後に近接攻撃を行う場合、そのダメージは+1となる。
「強攻撃」と組み合わせれば、最大ダメージは3となる。
スミスの横に並んだ巨漢、アンドレが威圧的フルスイングを数回に渡って披露! 風圧がスムーストーンのコケシカットをわずかに揺らした。
スムーストーンは微笑する。入れ替わるようにギャングたちの輪に加わるスミスの背を見やり、フルスイングを続けるアンドレを見上げた。
「ヒヒヒ! あのアマ、内心ビビリ上がってやがる!」「ほどほどにしとけよアンドレ!」「ファックできなくなっちゃもったいねえ!」
ギャングたちの下卑た野次にも、スムーストーンの笑みは変わらない。(スムーストーン=サン、スムーストーン=サンッ)否。背後からの囁きにぴくりと眉を跳ね上げる。カテドラルだ。
(大丈夫ですか? その、必要でしたら変わります!)
(アリガト、カテドラル=サン。けど問題ない。ここは私がやったほうが効果的だからね……ブレイクダウナー=サン?)
(オウ)
(そのユミ、準備しておいてね)
モータルには聴こえぬブリーフィングを終え、ブレイクダウナーらは大人しくバスケットコート外へ。その背にスミスが呼びかけた。
「そっちのスムーストーン=サンとこっちのアンドレの1on1だ! 飛び道具は禁止だぜ!」
それはおそらく、ブレイクダウナーの背負うロングボウとサイバンブーが腰に吊り下げるLAN直結型ハンドガンを見たスミスの即興ルールであろう。体格差は圧倒的。勝負は見えている。
スムーストーンは笑みを深くする。これまでのやりとりでおおよそわかった。このクランの連中はニンジャを知らない。ならば、デモンストレーションが必要だろう。
◇決闘!◇
スムーストーンとアンドレを残し、全員がバスケットコートを囲む。「ハッハァー!」アンドレは変わらず威圧的フルスイングを続行。スムーストーンは微笑し……不意に踏み込んだ。
「イヤーッ!」「ハッ、グワーッ!?」
下段の蹴りがアンドレの膝をムチめいて打ち据える。野次を飛ばしていたギャングたちが一瞬どよめいた。白眼を剥きかけたアンドレが殺意溢れる目でスムーストーンを睨む!
「ハッ……ハァーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!?」
頭部狙いのフルスイングはしかし空を切る! どころかスムーストーンは跳び上がり、バットを踏み台に宙を舞った。見上げるアンドレの頭頂部に強烈なストンピング! 被っていたヘルメットにヒビ!
「イヤーッ!」「グワーッ!?」
さらに横面へ蹴り!「ワッザ……」ギャングの誰かが呆然とした声を上げた。アンドレが目を血走らせスーツ姿の女をホームランしようとバットを振り切る!
「イヤーッ!」「グワーッ!?」
だが当たらない! スムーストーンは再度アンドレの膝へ一撃! その骨が砕けたか、その巨体が崩れ落ちる。バットがすっぽ抜け、乾いた音を立ててバスケットコートを転がった。スムーストーンが笑う。その口元に牙めいて尖った歯が覗いた。
「イヤーッ!」「アバーッ!?」
ナイスシュート! 悶絶するアンドレの頭部がボールめいて蹴り飛ばされる! 数度バウンドした生首が、呆然とするスミスの足元へと転がりこんだ。
vsアンドレ
スムーストーン:移動後カラテ
(2,2,6) アンドレ【体力】5→4
アンドレ:集中強攻撃
(1,3)
スムーストーン回避
(3,3,4,5) カウンター! アンドレ【体力】4→3
スムーストーン:集中カラテ
(1,3,4) アンドレ【体力】3→2
アンドレ:集中強攻撃
(5,5)
スムーストーン回避
(3,4,4,5) アンドレ【体力】2→1
スムーストーン:集中カラテ
(2,3,4) アンドレ【体力】1→0 ナムアミダブツ!
【万札】0→5
「アン……ドレ?」
呆然と呟くスミス。事態の理解が追いつかないのだろう。その周囲で!
「ザッ……ケンナコラー!」
ギャングの一人が突如激昂! 怒りは周囲のギャングへと伝播し、その全員がチャカ・ガンやマシンガンをスムーストーンらに向ける!
◆ギャングスタ・ヤクザ (種別:モータル/ヤクザ) 「G」
カラテ 3 体力 1
ニューロン 1 精神力 1
ワザマエ 3 脚力 2
ジツ ー 万札 1
◇装備や特記事項
チャカ・ガン:遠隔武器、拳銃、ダメージ1
近接攻撃時は棍棒で殴りかかってくるが、特殊ルールはない。
◆マシンガン・ギャングスタ・ヤクザ (種別:モータル/ヤクザ) 「Gm」
カラテ 3 体力 2
ニューロン 2 精神力 2
ワザマエ 3 脚力 2
ジツ ー 万札 2
◇装備や特記事項
オムラ・マシンガン:遠隔武器、小銃、連射3、ダメージ1
◆ギャングタ・ヤクザ・オヤブン 「スミス」 (種別:モータル/ヤクザ) 「ス」
カラテ 3 体力 3
ニューロン 3 精神力 3
ワザマエ 4 脚力 2
ジツ ー 万札 5
◇装備や特記事項
オノミチ・カスタムx2:遠隔武器、拳銃、連射2、ダメージ1、基本射撃難易度:HARD
スミスは基本的に二挺拳銃で攻撃するが、近接攻撃時には棍棒を使う。
スミスの棍棒には「カタナ」のルールがあてはまる。スミスは全ての『戦闘スタイル』を使用できる。
「ハッハハハ! ブレイクダウナー=サン! 出番だ!」
「アイ、アイ……だからこの位置指定か。イヤーッ!」
身を反らして笑うスムーストーンの顔先を一筋の矢が通過! ブレイクダウナーの狙撃だ。狙いは……スミス!「グワーッ!?」肩口に命中!抜きかけていたチャカ・ガンが地に落ちる!
「カテドラル=サン! サイバンブー=サン! ちょっと脅かしてやれ!」
「は、ハイ! イヤーッ!」
カテドラルが腕を振るう。チャカ・ガンを向けたギャングの一人へ鋼鉄の星が飛び、その頬に一筋の赤い線を残した。「マザファカ……!?」何が起きたかわからず、目を瞬かせる。その横で!
BLAM! BLAM! 「アバーッ!?」マシンガンを持ったギャングが死亡! その両眼に弾丸を撃ち込まれたためだ! サイバンブーである!
「カテドラル=サン。譜面通りに脅かさなくてもいいんだよ」
「いえ、その……手が滑ってしまって」
「イヤーッ!」
二人の会話を置き去りにしてスムーストーンが飛ぶ。スミスの眼前へ。歯を剥き出しに笑う彼女は、身を竦めるスミスの頭上へ回し蹴り! 「アバーッ!?」真横にいるギャングをそのまま殺す!
「ぼ……ボーシッ!」「イヤーッ!」
スミスは咄嗟に棍棒を振るう。返ってきたのは異様な手応え。見ると棍棒が半ばから叩き折られていた。砕いたのだ。この女のカラテが。
先ほどの身のこなし。そしてこのカラテ。これはまるで……
「マザファカ!」「サノバビッチ!」「おい、やめ……!」
制止は間に合わない。ギャングたちが怒りに任せて放った弾丸は謎めいた来訪者たちへ殺到! だが!
「「「「イヤーッ!」」」」
カラテシャウトが木霊する。弾丸が彼女たちを傷つけることはなかった。あるいは最低限の身のこなしで回避し、あるいはカラテで弾かれたためだ!
乱闘!
ブレイクダウナー:集中ユミ射撃→スミス
(2,3,3,4,4,4) スミス【体力】3→1
カテドラル:集中スリケン→G
(2,2) 失敗
サイバンブー:集中射撃→Gm
(1.4)(4,5,6) Gm【体力】2→0 ナムアミダブツ!
スムーストーン:移動後カラテ→G
(3,4,6) G【体力】1→0 ナムアミダブツ!
スミス:集中精密攻撃→スムーストーン
(1,3,4,6)
スムーストーン回避:
(2,4)
Gm射撃→ブレイクダウナー
(6)(1)(4)
(3)(3)(3)
ブレイクダウナー回避
(3,4,6)
G射撃→サイバンブー
(2,3,6)(2,4,6)(1,4,6)
サイバンブー回避
(1,1,4,4)
G射撃→カテドラル
(3,5,6)(1,2,2)
カテドラル回避
(4,6)
G射撃→スムーストーン
(1,5,6)(2,3,4)
スムーストーン回避
(4,6)
G射撃→ブレイクダウナー
(4,6,6)(2,3,4)
ブレイクダウナー回避
(2,3,5)
スミス【体力】1により乱闘終了
スミスは震え出した。弾丸が当たらない。アンドレの首を刎ねるカラテ。間違いない。これは……これは……!
「ニンジャ……」「ニンジャ!?」「ニンジャナンデ!?」
ギャングたちが恐慌状態に陥る。それと同時、スミスのニューロンは限界を迎えた、
「ア……アイエエエ!? アイエエエーエエエ!?」
【プリペア・トゥ・ハング・ゼム・ウィズ・ロープ】前編終わり。後編へ続く
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