此花シカク店内02

シカク運営振り返り記 第0回 はじめに

このエッセイについて

 私、たけしげみゆきが、インディーズの出版物を扱う「シカク」という店を始めたのは2011年のこと。
 当時私は専門学校を卒業したばかりの20歳で、よくある20歳と同様に自意識をこじらせた向こう見ずなアホだった。そんな私が始めた店は、店の概念を悪い意味で覆すような、今思えばとんでもなく稚拙で恥ずかしいものだった。だがそれから、分不相応すぎる素晴らしい方々の応援やご協力や影響を受け、誰が見ても「店だね」と思うぐらいには店となり、現在に至るまで営業を続けてこれている。
 この連載では、私がこの「シカク」をどのように始め、どのようにやってきたかを、精神面と実際的な面(開業とか契約とか流通といった、必要だけどなんか難しくて嫌になっちゃうことも含めて)の両方から時系列で書いていく予定だ。

エッセイを書こうと思ったわけ

 私がなぜお店の振り返りエッセイを書こうと思ったかというと、その理由は単純で、類似した話を他に聞いたことがないからだ。
 シカクと近い業種やスタンスでやっているお店がそもそも少ない。さらにその中で、やり始めた・やっていく経緯として、私に似ているなと思った話を今のところ聞いたことがない。あまりない話であれば、どんなものであれ、記録として書き残す意味があるのではと思った。もっと細かい理由もあるにはあるが、結局はこれに尽きる。
 記録を残すことで、それを誰かが見て、参考にしたり反面教師にしたりすることがあるかもしれない。こういうやり方があるんだなという記憶が脳のどこかに残って、何かのきっかけで役に立つかもしれない。これを読んだあとで、似たような店を訪れたとき、少し理解が深まっていたり優しくしてくれるかもしれない。何もならなくても、暇潰しにはなるかもしれない。そういう期待を込めて、連載を始めてみることにした。

 ちなみに始めにも書いたが、この記録は時系列で書いていくため、手っ取り早く「どうやったら店を始めれるか」「どうやったら軌道に乗せれるか」といったハウツーを知りたい、という人には向いていない。そういう人は1年ぐらい待って、ある程度記事がたまったときにザッとスクロールし、必要がありそうな部分だけ拾い読みすることをおすすめする。もしくは恐らくもっと適した読み物がたくさんあるだろうから、それを探してください。

 この連載のメインはハウツーではなく、私がどう考えてどう行動し、その結果を受けて次はどう考えたか……という、思考と心の動きになる。
 繰り返すようだが、それは私にしか書けないことで、だから私が書く意味があると思うからだ。他の人が書けることならば、もっとうまくできる人がいるだろうから、その人に任せればいい。これはそのまま、私の店「シカク」の根底をなすスタンスでもある。

 前置きはこんなもんにして、次回から本題に入ろう。
 向こう見ずな専門学生の私が、同じく向こう見ずな大学生と出会い、おかしな店の計画を練るところから。

サポートしていただけたらお店の寿命が延び、より面白いネタを提供できるようになり、連載も続けようという気合いに繋がるので、何卒お願いいたします。