会社の詩
こんにちは。GMOペパボ株式会社でデザイナーをしている、鹿といいます。鹿というのは本名ではなく、ハンドルネームです。ペパボは不思議な会社だから、みんなハンドルネームで働いています。だから、ぼくも鹿と呼ばれながら働いています。
ペパボには、かつて『大切にしてほしい3つのこと』という文章がありました。これは、ぼくが入社する前から社員の行動指針として存在していた文章で、コーポレートサイトの「採用情報」のなかに掲載されていたものです。以下に、全文を引用します。
「みんなと仲良くする」なんて、あたりまえのことです。でも、そんなあたりまえのことを、きちんと宣言しているこの文章のことが、ぼくは好きでした。また、こんなふうに、人間をいちばん大切に考えるようなあったかい雰囲気と、それに共感する人たちが集まっているペパボのことが、好きでした。
しかし、この文章には不思議なところがありました。まず、「大切にしてほしい」というタイトルになっているけれど、誰がお願いしているのか。それは会社なのか。または社長なのか。それとも社員がじぶんたちで決めたのか。誰が話しているのかわからないことで、人によっては、なんだか強制されているような印象を受けるのかもしれません。
また、「仲良く」とはどういう関係なのか。「ファン」とは誰なのか。なにをすれば「アウトプット」なのか。ことばがなにを指しているのかわからないことで、人によっては、仲良くしていない、ファンを作れていない、アウトプットしていないと、じぶんを責めてしまうかもしれません。
ぼくが好きなペパボは、人間をいちばん大切に考えるペパボです。それは、多様な人たちが、お互いの多様さを認め合っているような会社のことだと、ぼくは思います。だから、この『大切にしてほしい3つのこと』の内容をよりよいものへ刷新するというプロジェクトがはじまったとき、手を挙げて参加しました。
プロジェクトでは、ディレクターのちょれさんといっしょにスタッフへのヒアリングやアンケートをおこない、解決したい課題を洗い出して、草案を制作しました。この「会社の詩」と呼んでいた草案をもとに、ちょれさん、広報のえみさん・せなさん、常務取締役のいがしまさんとの議論の果てに、最後は社長のケンタロさんにも参加いただいて、以下の文章が完成しました。
まず、タイトルを『大切にしてほしい3つのこと』から『わたしたちが大切にしている3つのこと』へ変更しました。そうすることで、このことばを話している人がわたしたちになり、じぶんのことばになるようにしました。
ことばの定義は以前より抽象的になりましたが、抽象的にすることで、それぞれがじぶんのことばとして受け止めることができるようにしました。また、どんなに多様な受け止め方をしても、ポジティブな意味でしか捉えられないことばを選びました。
この『わたしたちが大切にしている3つのこと』は、東京と福岡のオフィスを中継したペパボで働いている人たちみんなが集まるミーティングの場で、ぼくが朗読して発表しました。静かに聞いてくれて、うれしかったです。
これはただのことばで、ことばを取り替えるだけなんてあまりにもささやかなことではあるけれど、一滴のしずくが静かに波紋を広げていくように、ちょっとだけでもなにかをよくすることは不可能ではないと実感できた、ぼくにとっては大きなできごとでした。
よかったら、 ペパボの採用サイト にも全文を掲載いただいていますので、読んでくれるとうれしいです。また、採用サイトでは、こんな会社でいっしょに働きたい人たちを募集しています。どうぞよろしくお願いします。
この記事は ペパボデザイナー Advent Calendar 2018 の1日目の記事でした。あしたは四コマ漫画家の sizucca_ さんです。お楽しみに!
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