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いつか過去になるものたち

先日バスに乗っていたら「ポケットサイズ時刻表配布サービス終了のお知らせ」という掲示を目にして、その時は「ふ〜ん、デジタル化の波ね」くらいにしか思わなかったのだが、ふと、自分が高校生だった時分は紙の時刻表をパスケースに入れていたことを思い出した。ダイヤが改定されるたびに、春が来るたびに、新しい時刻表を駅で貰ってパスケースに入れていた。それが無いことには移動の目処が立たなかったからだ。

当時は当たり前のようにしていた習慣が、今はもう無い。青と赤とで印刷された小さな紙切れを、再び目にすることはもうないのだろう。あの頃愛用していた黄色の革のパスケースも、もう持ってない。別にとっておいたからといって、何がどうなるってわけではないのだけれど。


それと関連して、さっき化粧をしていてふと、「あ、この化粧品が大過去になる日がいつか来る」と感じた。

今使ってるアイシャドウやらチーク、流行っているコスメブランド、それら全部が古めかしいものになる日が、必ず来る。


今しがた使い終えたロムアンドのアイシャドウをプラスチックケースへ片したら、そこに添えた自分の手が急速にしわしわになっていく映像が見えた気がした。それはまるで、タイムラプスを観ているかのような、キュルキュルという音をたてて時間が急速に巻き取られていくような感覚だった。

わたしはいつか60歳になる。

幼児は少年になり、少年は青年になり、青年は壮年になり、壮年は老人になる。

君もいつか、大人になるんだね。

今はまだ、しんじられないよ。

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