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【保険算定とルール20 歯周治療用装置】

皆さんは、学生時代から”一口腔一単位”と教えられてきたことでしょう。一般診療を始めて、それをまず初めに痛感するのが、複数箇所に要抜歯、要根管治療歯があるようなシビアケースですね。どこから抜くのか、そして、その間仮歯はどうするのか?

厳密にいうと、抜歯後、見た目の改善のために仮歯/仮義歯を入れることは保険では認められていません。しかし、「歯周治療」が目的の場合、仮歯/仮義歯が作成できます。その仮歯/仮義歯を保険制度上、”歯周治療用装置”と呼びます。冠タイプと床タイプがあります。

歯周治療用装置(冠タイプ) 1歯につき50点

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いわゆるTECです。材料も即重レジンです。自分で作っても、外注しても良いですが、TECは外注すると安くても1本1000円はしますので、勤務医の先生は院長に確認してからのほうがいいでしょう笑
形成、印象、咬合採得の点数はありません。また、最終補綴の際のテンポラリークラウンやリテーナーの点数とバッティングもしませんので、両方算定可能です。
病名は最終補綴と同じとなります。(MT(Br)や)

歯周治療用装置(床タイプ) 1床につき750点+人工歯の点数+クラスプ/バーの点数

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普通の義歯と同じ形です。クラスプをかける歯牙をクラウンにしたい場合、
クラウン→新義歯の順で作ると、クラウンの顎位/バイトが決めづらい
新義歯→クラウンの順で作ると、クラウンにクラスプをかけられない
というジレンマが生じます。そこで、まず仮義歯で顎位やバイトを探り、その仮義歯を入れた状態でクラウンを新製し、最後に本義歯を新製するという 仮義歯→クラウン→本義歯という手順が可能になります。
冠タイプ同様、印象、咬合採得、試適、調整の点数はありません。

注意するべき算定条件がいくつかあります。

1、精密検査を行っていること
2、重度の歯周病患者であり、長期の治療期間が予測されること(数ヶ月かかる)
3、目的が”咀嚼機能の回復”か”残存歯への咬合負担軽減”であること(MTがあったほうがいい)

例えば、こんな流れになるでしょう。
8月:初診。精密検査、SCしながら仮義歯(歯周治療用装置)作成
9月:再評価して、SRPを行う
10月:再再評価して、本Brや本義歯作成
11月:安定を確認して、SPTへ

一口腔単位での、C/P/MT複合の治療計画の立案が必要です。

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