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インスタblog 「鹿皮で膠作り」-鹿皮の羊皮紙の端で簡単な膠作り-

膠とは、動物の皮や骨や腱に水を加え炊く事で得られるゼラチンを主成分とした物質

牛、豚など身近な動物の副産物として日本画材や楽器・木工の接着剤またマッチ等に利用されている

製法の違いで「和膠」と「洋膠」に分類される

和膠とは、膠材料である皮や骨や腱を石灰漬けし毛や脂などを取り除く。その後、水を加え煮詰め夾雑物を取り除いた抽出液を乾燥させたモノを和膠と呼ぶ。昔ながらの膠作り製法

洋膠とは、工業化された製法で減圧抽出して膠を作り出す。鞣された革から抽出する膠もこちらに分類されるようだ。今回の鹿皮の羊皮紙はこちらに分類されるようだ

近年は、ノリ等は石油由来の製品等に置き代わり「膠」に触れる機会を失った

時代の流れを見ると、今後見直される可能性は十分にある

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鹿皮の羊皮紙端部は、厚さが不均一で平滑ではないため素材として使い難い

そのため均一で平滑な部分以外をトリミングする。すると端部は違う活用方法を模索する事になる。そして僕らは、どうしたものかと考えた末に「簡易にできる膠材料」を試す事にした

膠の製造工程は以下となる

①鹿皮の羊皮紙を細かく切る

②水を入れ、鹿皮の羊皮紙に水分を含ます

③加熱

④抽出液を濾す ※すぐ使う際はこのまま使用

⑤乾燥 ※保蔵用

保蔵した膠を使用する方法は、膠に水分を含ませ加熱し溶かして使用する

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写真説明

pc1:完成した膠。乾燥させ保蔵
pc2:鹿皮の羊皮紙の端。端は厚さがバラつくため膠向き
pc3:鹿皮の羊皮紙を細かくし、水に入れてふやかす
pc4:加熱する。沸騰し過ぎないよう注意
pc5:抽出が終わった鹿皮の羊皮紙。何度か抽出できる
pc6:乾燥待ちの膠。寒天のような固さ


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後日談

完成した「膠」

僕らには膠の良し悪しは分からない。

どうしたものかと考えた末に、膠文化を研究されている方々に意見を伺いに行った(膠文化や成分の知識以外にも多様な膠作りを実践している凄い方々だ)

専門家の意見は、膠の実践経験の少ない僕らにとって多くの学びとなった

画材用膠としてはまだまだ改善出来る点が有ること

この膠の良さは、簡易に皮から膠を作る事の出来る体験を提供出来る事。それ自体に価値がある事を知った

それは、大きな収穫であった

今後もより良い膠作りに挑戦したい

2022/7/9

鹿皮紙プロジェクト代表 カワダ シュウジ


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