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夏に、ぷかぷか

コーラを飲み飲みひと記事かく。夏日に恵まれてへらへらと過ごした一日だった。仕事の運転で駅前を通ると人もにぎわい、ニュースを見るとコロナを第2種から5種へ落とすとの話があり、それが僕の浮かれ具合に拍車をかけた。いま事務所の机に座って、ドライブスルーで買ってきたモスのバニラシェイクとコーラのLを両手にもって、PCに向かっている。両の口角にストローを挟み、夏の超能力で書き上げるこの記事はさぞ熱く暑くなることであろう!

夏のコーラとはなんでこんなに美味いのかと感涙を溢れさす。ぽろぽろ滴る涙は光り輝き世に幸福をもたらすという。夏の本場となればスイカ神はお役御免となり鹿田自体が夏の神と化す。敬え、讃えよ夏バカたちよ!とま、一人悲しくやっていても楽しいのだから夏とは最強である。意味の分からぬ者どもを外に追いやっても、近づくことを拒まれてもなんとも思わぬ。しかも夏はまだまだこれからが本番だ!どうなってしまう、鹿田!

鹿田です、よろしくね!
バニラシェイクも飲み終わりタプタプと冷えた胃袋の中はさながらリゾートである、軽井沢である。しかし残念我が内なる軽井沢は生憎の悪天候のようである。外からもゴロゴロぎゅるぎゅると不穏な音が聞こえる。さぞ強大な台風が襲っているに違いない。冷や汗に当人鹿田もびしょ濡れになるのも、もう間もなくかもしれぬ。

ま、それはさておき夏を感じた鹿田はまたあれこれ適当な夏妄想を膨らませては肥大した軽き脳にガスが溜まりぷかぷかと浮いてくる。大地すれすれにつま先が付くかつかないかとなったとき、我が腹の台風は絶頂に達し、軽快な音とともに熱帯低気圧となった。ぶぶぶ。これでは妄想の気流に乗れない、危うし!と落胆したところに再び今度は腹部で炭酸が生産され、ぷくぷくぷくぷくと容量をあっという間に満たすとそれは食道を逆流し口内にせりあがってきたのである。

これはチャンス!鹿田はその逆流し喉の滝を競り上がってきた鮭如くのおくびを口より漏らさずへの字に唇をかみしめてはもう一つ上までガスを送ることに成功した。もとより空洞である。一度上がってしまえばため込むことなど朝飯前、たやすくパンパンにガスの溜まった鹿田は再度、頭より浮上を試みる。(まるで凧みたいで滑稽だな)なんてガスに占領された頭に残った脳みそのカスで考えはしたが、もうどうでもよかった。

ぷかぷか肥大した頭部の下に、中肉中背の鹿田の体がくっついて揺れている。遠目に見たならリアルな人の顔をした気球か凧にしか見えないだろう。異質に気づき果てと双眼鏡を覗いた人は驚きその場に突っ伏すだろう。それはそれで面白い。面白いが脳のカスしか残っていない鹿田はそのユーモアを察知できる能力がもぎ取られているので理解できない。それだけが少し不甲斐ない。ま、しかし空を飛べるんだからそれで満足と思わなくちゃ!

それで兎に角ぷかぷかと夏になりかけの空を浮かんでゆく。へらへらとした鹿田の大きな顔をが空を、どこへともなく風の吹くまま揺蕩っている。時折近場を通る飛行機が驚いては逃げていくが、そんなことどうでもいいくらい、最高の天気なんだよ。ぷかぷか。夏の前の空を漂う僕は、そのまま夏になじんで夏の一部になってしまうかもしれないなあ。本能は残っているので夏のことだけはちゃんと考えることができる。逆にもう他の事、不安や、夏バカを誑かす厄介に旺盛な好奇心と決別できた鹿田は、最高の、純夏バカへと昇華することができたのである。晴れ晴れしい、実に晴れ晴れしいと「ひひひ」と笑ってはやはり締まりのないにやけた顔で涎を垂らし、肥大した空気の頭でぷかぷかと漂っていく。

漂う、という言葉がいい。何処か、ベクトルを見つけて乗り込んで進むのではなく、風任せ、気分任せ、人任せに世界を漂うことができたなら、それはなんて素敵なことだろうと思う。漂わなければ見つからなかった場所の方が、無理やり拓いた新天地なんかよりよほど面白そうだ。そんで飽きたらまたぷくぷくと頭に空気をいれて、浮かんで再び揺蕩う。あへらあへらと笑ってさ。

ああなんて気持ちいいんだ、初夏のそらをゆっくりゆっくりと、まだ生まれたばかりの南風にさ、背中を押されて流れていくんだよ。今年はいつかみたいな、賑やかな笑い声が聞こえるかな。あの吹っ飛ぶような有頂天にまた出会いたいよ!期待しかない。

 

では、また。

それにしても夏だな!

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