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屍句会報 2020年7月3日(金)

歌舞伎町を歩いていると無数のホストクラブのポスターが貼ってあるが、いくつかは上から「広告募集中」という文字で潰されてしまっている。

区役所通り沿いも「テナント募集」「居抜き」等の張り紙が目に付くようになった。

雨とは言え、往来は少ない。連日テレビから流れる夜の街というレッテルは恐ろしい。

今週のキャッチコピー句はそのままゲンダイの575を使わせて貰った。
圧巻の紙面である。

おい小池、明日はプール開きだぞ/北大路翼
「アウトロー俳句」

明日(7/5)はプール開きどころではなく都知事選挙である。

屍派では例年「膿開き」(海開きのこと)と呼ぶ行事があるが、西新宿の執務室から見れば歌舞伎町はまさしく腫れ物なのかもしれない。今宵も都民ワーストの会が開かれる。

一回戦「小」

二回戦「虫へん」の漢字

引用句・言葉解説

酌婦来る灯取虫より汚きが/高浜虚子
街灯は夜霧にぬれるためにある/渡辺白泉
モナリザに仮死いつまでも金亀子/西東三鬼
※金亀子(こがねむし)
外にも出よ触るるばかりに春の月/中村汀女


日ピン研
日本ピンサロ研究会の事。インターネット黎明期の1998年にウェブサイトを公開し、利用レポートや風俗店の文化について論文、ぼったくり店の情報などを載せている。
風俗関連のウェブサイトはそのほとんどが店舗や業界側によって作られているが、この日本ピンサロ研究会は有志の会員によって、利用客の視点で日本中の風俗店のレポートが網羅されている。
2020年現在もレポートは更新され続け、その数は数万にも上ると思われる。
黒地に白文字が特徴で、令和の時代であってもかつての「テキストサイト」を彷彿とさせる。
https://pinsalo.info/sp/pink.htm

小糠雨(こぬかあめ)
霧雨のこと。霧雨は秋の季語だが、こちらは季語ではないらしい。
一部春の季語というウェブでの記載もあるが情報不足。
小糠雨と言えば句会で『有楽町で逢いましょう』の歌詞の話が出た。

『有楽町で逢いましょう』
フランク永井(歌)佐伯孝夫(作詞)吉田正(作曲)

  あなたを待てば雨が降る
  濡れて来ぬかと気にかかる

ぬれてこぬかときにかかる、は
「濡れて小糠(雨)と木に掛かる」という掛詞らしい。まるで謡曲のようである。
曲を聴くと、確かに「木」と言っているようにも聞こえる。

笈の小文(おいのこぶみ)
芭蕉の俳諧紀行の一つ。1687年(貞享4年)10月に江戸を出て伊勢参り、翌年3月には旅先で再会した坪井杜国(つぼいとこく)を連れて吉野の花見をした。杜国は1690年に亡くなった。

鷹一つ見付てうれし伊良湖崎/芭蕉
昼の空蚤かむ犬のねかえりて/杜国

アンクル・トムの小屋(原題:Uncle Tom's Cabin)
アメリカ合衆国のストウ夫人(ハリエット・ビーチャー・ストウ)の小説。1852年刊行。黒人奴隷トムの波乱に満ちた人生を描く。
「アンクル・トム」は白人におべっかを使う黒人を表す蔑称にもなった。

アンクル・サム
似た言葉で「アンクル・サム」があるがこちらはアメリカ合衆国を擬人化したキャラクター。画像は典型的なアンクル・サム象を用いた第一次世界大戦の徴兵ポスター。

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半夏(はんげ・植物名)
カラスビシャクのこと。

半夏生(はんげしょう)
半夏が咲く頃のこと。夏至の頃を3分割した3つ目、七十二候の半夏生(はんげしょうず)が由来。現在では天球上の黄経100度の点を太陽が通過する日であり、2020年は7月1日。

火取虫(ひとりむし)
夏の夜、灯火に集まってくる虫。

火取虫・火蛾は夜、開け放した窓から室内の灯をめがけて飛び込んでくる蛾を指す。昔の人は、蛾がろうそくや行燈の火の中に飛び込んで火を消してしまうのを見て、蛾が火を取りに来たと考えたのである。火を求めて飛ぶ蛾は、哀れであると同時に、炎に身を焦がす暗い情熱のようなものが感じとれる。

現代俳句歳時記夏 角川春樹編 「蛾」の項より抜粋

会津小鉄会(あいづこてつかい)
京都府京都市左京区に本部を置く指定暴力団。


乞巧奠(きっこうでん)
中国の陰暦7月7日の行事。女子が手芸・裁縫などの上達を牽牛・織女の2星に祈ったもの。奈良時代に日本に入ってきて、民間では七夕行事になった。秋の季語。

虹の語源
虹が虫へんなのは正確な理由は不明だが、「中国で大蛇が天に昇り龍となるときに虹が発生すると考えられていたから」というのが有力。
虹はまれに二本見えることがあり、内側の色が濃い方を雄の龍(虹)、外側の薄い方を雌の龍(霓・蜺、げい)と考えていた。

スカイツリーの高さ
610.6mで計画し、最終的に634m(むさし)となった。
東京タワーの倍の666mの計画もあったが、設計者から低くするように言われたらしい。666じゃあ外国人には敬遠されていたかもしれない。
地盤の海抜はほぼ0(実際には2mくらい)なので、高尾山の標高599mよりも高い。ちなみに東京の最高点は雲取山の2017m。

マムシ酒
精力がつくとか色々言われているが、科学的な根拠は見当たらない。
瓶に入った蛇を実際に見るとビビる。

はちきん
「男勝りの女性」を指す土佐弁。8つの睾丸を手玉に取る女性から。

いごっそう
「快男児」「酒豪」「頑固で気骨のある男」などを意味する土佐弁。
どれだけ酒飲んでいるのかを少し調べると、
国税庁調査(成人一人当たりの酒類消費量・2019)だと高知県は47都道府県で東京に次ぐ2位。
発泡酒は高知県がぶっちぎっての1位。(全国平均6.5リットルに対して、高知市15.6リットル。二位宮崎県が10.3リットル)
別の調査(総務省統計局、県庁所在市及び政令指定都市)から見ても
「(高知市民は)発泡酒や第三のビールを大量に飲む」ということが言えそうである。
https://www.stat.go.jp/data/kakei/5.html
https://www.nta.go.jp/taxes/sake/shiori-gaikyo/shiori/2019/index.htm

メビウスの輪
古代ギリシャ時代には発見されていたかと思いきや、なんと1858年。
ドイツの数学者アウグスト・フェルディナント・メビウスにちなむ。

コウモリ印のカステラ
長崎市の老舗「福砂屋」のカステラのこと。創業寛永元年(1624)

女坂(おんなざか)
高台にある神社・仏閣などへの2本の坂道のうち、傾斜の緩やかなほうの坂。
キツイほうは男坂。現代では怒られそうな言葉である。

ハチのムサシは死んだのさ
平田隆夫とセルスターズの歌謡曲。1972年2月に発売。紅白出場。

小豆洗い(あずきあらい)
川でショキショキと音を立てて小豆を洗うといわれる日本の妖怪。

披講リプレイ

次回告知

次回は7月10日(金)20時 新宿歌舞伎町「砂の城」にて開催。

宣伝

北大路翼第三句集「見えない傷」が発売中。
7月10日にはKindle版も出ます。

手触りが今年の髭になつてくる
アロハシャツ貰つた瞬間から似合ふ
ちよつとした仕草がすべて雪遊び
釣り銭が散らばつてゐる春炬燵
初夢の頰に残りし蹄跡
褞袍着て人生ゲームでも未婚

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