あたしにはグリコゲンがあるし

今夏の一大ニュース、椎名林檎のファンクラブに入った

誰がなんと言おうと椎名林檎が好きだな、と最近になってまた実感している。
ここで私が椎名林檎「さん」と呼ばないのは、椎名林檎という存在は1人の人間というより1つのジャンルというか、なんていうんだろうなあ、もう「椎名林檎」という概念があるというか、。「さん」付けをするよりむしろ尊敬を表すために「椎名林檎」と呼ぶことにする。

比較的いろんなジャンルの音楽を聴くが、『その中で一番好きなのは誰なの？』と聞かれるたびに椎名林檎ですと答える
仲が良かった大学の教授に『カラオケで何歌うの？』と聞かれて椎名林檎ですと答えたら『うわー、歌ってそう〜笑』と爆笑されたりした

私が椎名林檎を教祖として崇め、信仰バリに好きな理由は、もちろん曲が最高なのもあるし和装も含めて服装とか髪型がかわいい（椎名林檎のショートヘアにあこがれて永遠にショートヘアを貫いている）のもある　が、
椎名林檎を見ていると、どことなく去年亡くなった師匠を思い出すからだ

原色の服が似合うところ、声が低いところ、セクシーなところ、と、ここまではなんか変態感があるな・・・。が、なんだかリンクしている。歌手とか研究者とかじゃなく、1人の「女性」として存在を確立しているところが、共通する。かっこいい。

そういえば師匠は福岡出身で、いつだったか私が椎名林檎好きをカミングアウトした時「私も古谷さんと同じで、椎名林檎が好きなの。」と言っていて心臓が飛び出るかと思うほどうれしかった。し、例えば「罪と罰」とか「ここでキスして。」とかを聴いている師匠を勝手に想像してドキドキした。（笑）「正しい街」を聴くたびに師匠が育った福岡の街を想像する。

とまあ、そんな浅い理由だけじゃない
椎名林檎と師匠に共通する点、「限りある人生を、自分を楽しんでいるところ」だな、と思う。言わずもがな、椎名林檎は年を重ねるにつれて魅力がどんどんどんどん上がっている。事変が再生して、「緑酒」を聴いたとき、こんな大人になろうと思った。局の節々に、人が生きることの無力さ、時間の儚さが込められていて、けど、だからこそ人生は美しく、輝かしいものだということを伝えてくれている、きがする

わたしの師匠は、去年の今頃亡くなった。病気が分かって1年、あっという間だった　1年たった今でも、師匠のことを考えて全然泣いている
わたしの想像を絶するような苦しい毎日の中で、師匠はいつも前向きだった　良くない言い方かもしれないが、人生を楽しんでいた。
大好きなお酒が飲めなくなって、自分の命の限りを知ってもなお、学生や研究仲間と過ごす時間を誰よりも楽しんでいたように思う。

てゆーか、師匠はずっとずっと楽しい人だったんだよな　ちょーすごい研究者なのに、大学教授らしくなかった　学生よりも酒をガブガブ飲むし、研究の打合せとか、仕事の話とかをしている時もずっと楽しそうだった　こんなに人生を楽しんでいる大人が今まで周りにいなかったから、不思議な気持ちだった
ずっとずっと前向きに、限りある人生を楽しんでいた師匠だったな、私はそういうところが大好きだったなと思う。

だから、椎名林檎の「人生は夢だらけ」を聴くと師匠を思い出す。きっと師匠はどんな状況でも自分の人生を夢だらけだと思っていたと思う。人生を、鱈腹味わおう。富士山のように、椎名林檎のように、師匠のように、年を取りたい。
そして、事変の「スーパースター」を聴いても師匠を思い出すんだ　これから先、どんなにわたしが弱音を吐いて「先生、私はそうすればいいんですか～～」と言ったとて、師匠はきっと「答えは無限大さ、自分で造っていく」と云うのだろう。
私はあなたの孤独に立つ意思を思い出す度に泪を堪えて震えているよ、拙い今日の私でも。

そして、私は椎名林檎の「モルヒネ」に特別な思いを持っている。師匠から最期に送られてきた手書きのメッセージに「モルヒネ漬けで、、、」という文章があった。前向きな師匠の事を思い出すときはいつだって前向きでいたいが、たまには、ひたすら目をつぶって昔の密やかな密やかな夢を見続けてもいいのではないか。師匠は、前向きに強がるけど、自分の弱い部分をかわいがっていたのかな。師匠はモルヒネを聴いたことあったのかな。
師匠を思いながら、後ろ向きになって、悲しくなって、でも強がって「モルヒネ」を聴いて帰る夜を大切にしたい。大丈夫、あたしにはグリコゲンがあるし。

私はこれからも椎名林檎を聴くし、師匠の事を考えるときは「人生は夢だらけ」と事変の「スーパースター」を聴くんだろう。たまに「モルヒネ」を聴きながら。限りある人生を、輝かしく生きていきたい。
だから、これからもずっと椎名林檎に師匠を重ね、師匠に椎名林檎を重ねるんだろう。

もしも逢えた時は誇れる様に