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Editors『Black And Gold』

New Division

エディターズのベスト盤。ポストパンク・リバイバルが最高潮に盛り上がる中2005年にデビューしたエディターズ、このバンドこそ個人的にはポストパンクを感じる。1stアルバムの冒頭『Lights』から『Blood』までの3曲を聴く度に私は晴れやかに帰ってきたと天を仰いだ。80年代にタイムスリップしたかのようにジョイ・ディヴィジョンがデビューした時ってこんな高揚感だったのだろうと高揚した。
エディターズがデビューした2005年にはポストパンク・リバイバルを牽引するバンド、ストロークス、インターポール、フランツ・フェルディナンドが2枚目のジンクスを破る傑作をリリースし、一方でそのリバイバルを凌ぐバンドもデビューをしている。アークティック・モンキーズ、ブロック・パーティー、LCDサウンドシステム。
これだけ豪華絢爛なムーブメントの中でエディターズは、普段ロックを聴かないハウス・ミュージック専門のレコード屋の店員が客にこっそり推して盤を広めてもらうようなファン層だったと思う。サマソニで来日した時は共演したバンドもポストパンク・リバイバルの主役達と一緒に来たのだが、ファンもハウス寄りなタイムテーブルが組まれていた気がする。また翌年にサマソニに出た時も2ndアルバム『An End Has A Start』を引っ提げ、冒頭『Smokers Outside The Hospital Doors』の感動といったら他になかった、ライブではそのアルバムのスケールの大きさに合わせマリーンステージでも途中あまりの気温にトムが歌えずに早めに終わったのを観た。
それだけ熱いムーブメントをこのベスト盤を聴きながら思い出す。バンドは3rdアルバム以降本当にハウス・ミュージック寄りなアルバム『In This Light And On This Evening』を発表し、明確に困惑した事まで覚えている。つまり自分には受けつかなかった過去。それでもこのベスト盤冒頭の新曲『Frankenstein』を聴くとまた1stに熱狂していた頃を思い出し3rd収録の『Papillon』がしっくり身体に入ってくる。新曲は他にもM7.M15とすっかりハウスとロックの融合がエディターズだと言わんばかりの出来でトータルで今作を聴くと、心に残るのはひっそり魂を燃やし踊っている自分の姿だけなのだ。

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