自分史的なクリッピング史料
以前ダイレクトマーケティング(広告)のJVに籍を置いていた時に、『データドリブン』なる言葉が社内で流行していた。当時は、「コールセンター」なども各企業のエントリーゲートとして活用されたり、データを収集するという意味合いも含めて、クロスセル・アップセルを担う接点(コンタクトポイントやタッチポイントなる言葉も流行っていた)。そして勤めていた会社では、何と言っても『CRM』というコンセプトを中心に活動していて、結構これもバズワード的に認知されていた(今でも使うのかなぁ?)。
その時に、今後の技術の進展と共に、情報そのものが商品となり、それぞれの分野でキラーコンテンツになるかも知れないと薄々と感じていた20数年前。そういう視線でスタートアップに注視していた。
2012年5月14日 日経 ナビット 福井泰代社長
乗り換え便利マップなどデータ収集
何両目に乗れば降車駅で階段やエレベーターに近いかが一目で分かる便利マップ。と言えば多くの人が起業者が誰というのは知らなくても、その存在自体を知る人は多いはず。これを初めて商品化したのがデータ収集・販売のナビット という企業。社長の福井さんが駅で幼い息子を連れながら迷った経験から生まれたというまさに、必然的な創造でもある。
掲載当時は4万人の主婦たちが「地域の調査員」になりマップのデータを常に更新しているとあって、Websiteで確認するとその調査員は今では6万人超にもなっている様子。ウェザーニュースもそれぞれの地域の方々のリアルタイムでの情報を元にどこよりも細かく正確な情報を提供するというビジネススタイル。どうやら、正確でリアルタイムという情報は今では当たり前だけど、情報の価値っていうのを再発見させられたような気分だった(当時は・・・)。
当時、同社が扱うのは鉄道情報だけでなく、不動産屋給油所の実売価格なども調べるとある。今じゃそのバリエーションは拡張していて、学校情報なども扱っていたりする(当時からあったのかなぁ?)。顧客に代わって、写真撮影やチェーン店の商品陳列の点検なども請け負うとあるから、サービス開発はとどまることを知らない(ミスチルみたいだけど)。
福井さんはお子さんの子育てで在宅時間が長くなった時に、外勤時には気づかなかったところに目がいき、思いついたアイデアをノートにメモするようになったことがきっかけらしい。それはその後も続いているらしいけど。
乳児がおしゃぶりを落とさないようにするバンドやら、トランプの神経衰弱から着想した子供に文字を覚えさせやすくするカードなど・・・。そうしたアイデアを企業に売り込み、乗り換えマップもその一つ。日本能率協会が手帳に採用したことを機に起業したとある。でもお子さんが小さいが故に、ベンチャー企業経営は、時間との闘いだったと回顧されている。結局当然ながら、睡眠時間を削ってのこと。主婦の方々を戦力として活用し始めたのは注文が増えてきた2003年頃とある。そこには自分と同じように「子育て中に自宅にいながら働きたい人は多いはず」という仮説を立て、3年ほどで会員は2万人に達したというから凄い。
勿論、会員の中にはトラブルメーカーもいて、顧客企業からクレームを言われたこともあると。でも全体的にみれば、主婦たちの能力を活用しない手はないという確信があった様子。至極当然。経営者として、直接顔を合わせることがない主婦たちとどう向き合うのか?、その距離感は?というのは課題として挙げているけど、一人の人間の定量的な制限管理能力は決まっているだろうし、どこにでも多かれ少なかれある話。ここでも評価と仕事の割り振りという公平なシステム作りに集約されていく。
こうした主婦たちには、子育て期間(5〜10年)は調査ビジネスの一端を担ってもらい、その後はより仕事の接点の多い業務に再進出して欲しいという願いを込めていらっしゃる。日本では相変わらず先進国の中でも「女性の社会進出」は最下位というし、全体でもその順位は146カ国中118位。
少子高齢化で、働き手の減少をどのようにカバーするのか?という課題と、女性の社会進出とはバランスが非常に難しいなぁと思う。でもそうした課題もさることながら、それぞれの立場で、あったらいいなぁというアイデアは必ず内在しているものだし、それが現実化していくところにダイナミズムも生まれるのかも知れない。最近、100均で便利グッズを買うことが多い。100均でも十分満足の得られる効果が期待できる商品は多い。何よりも商品のラインナップを見ているとなぜか楽しくなる。そうそう、こういう商品って欲しくなるよなぁと思いつつ、台所用品などをみると主婦の叡智が凝縮されているはずだと感心する。
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