自分史的なクリッピング史料

日経の " やさしい経済学 " というコラム(連載もの概ね10回)も大好きな読み物。これは全部が全部をクリッピングしていないけど、基本的にその時々において興味があるもの、関心を寄せたいと思うものを綴じてある。

今朝は小学生の偽ゴールドメダルの販売での事件が取り上げられていたけど先般、金融教育は早いうちから施した方がよいという親が多いというアンケート結果も目にした。金もうけを否定しないけど、人をだましてまでというのはどうなんだろうか。どうしたら自分の人生を豊かにできるだろうかという根本的な精神教育も忘れずにして欲しい。

2020年10月29日~ 日経 やさしい経済学 幸せ中心社会への転換①ー④
慶応義塾大学教授 前野 隆司

前野先生の10回シリーズ。まずは1回目で、2021年の世界経済フォーラム年次総会でのクラウス・シュワブ会長の「人々の幸福を中心とした経済システムへの再考」を冒頭で紹介している。幸福とはハピネスではなくウェルビーイング。身体的、精神的、社会的に「良い状態」のこと。

次いで、名だたる大企業がその推進を図っていることが紹介されているけど昨今問題になった企業もあるので、敢えてここでは具体名は避けて・・・。

ウェルビーイングは従来心理学などの分野が中心であったけど、近年は行動経済学、医学、脳神経科学の分野での研究も進展していて、様々な事象が幸せに影響を与えていると。

人類の歴史を振り返ると、拡大・成長期と定常・成熟期の繰り返しで、現代は後者で心の豊かさを目指す時代と言えそうだとおっしゃている。前野先生は、今は人類が精神面で大きく成長する時代への転換とみなすべきではないかと表されている。でもその後にはロシアのウクライナ侵攻がおき、イスラエルのガザ侵攻があったりとそうした世界的な風潮は退行しているのではないのか?と疑問も沸く。

ここで前野先生は、現代人が戦後の経済成長パラダイムに慣れ過ぎたために心の成長パラダイムに抵抗感を持つのではないかと言われていると解説されている。でもその抵抗感の発露は違った方向に? 戦争というはけ口に向かっているのではないのだろうか。

日本に目を向けると、国連調査による世界幸福度報告では、日本の順位は主要先進国では最低。但し、必ずしも調査が個人主義の欧米と、集団主義の東アジアとは回答に差異があることが認められていて鵜呑みにはできないと注意も。それでも日本の順位が下がり続けていることは要注意。

これとは別に色々な調査もあって、日本の順位も中位にあったりするものもあるので、一つにその評価を偏らせることなく、その他のデータを比較参照することも忘れずにと。総じてGDPが高い国は幸福度も高く、低い国は低くなるという至極当然の考察。でもある一定のGDPに達すると幸福度の伸びは比例的に伸びない。即ち他の幸福要因を満たさないと向上しない。

個々の企業ではどうだろうか? 「働き方改革」「健康経営」そして「幸福経営」といったバズワードに注目が集まっている。

企業の目的は最近ではSDGsやESG投資などの概念が脚光を浴びているけど、企業はマルチステークホールダーの利益の為にその活動をすると言われ始めていて、ウェルビーイング中心社会への価値転換が進んでいるとおっしゃっている。幸せな従業員こそが、その生産性は高く維持できるというエビデンスもあったり、幸せな人はエンゲージメントやレジリエンスも高く出世も早いとも記載されている。出世が早いということの理解はこんなきれいな言葉では表することはできずに、個人的にはもっと意味深なものだと思う。

前野先生は、社員が幸せに働いているか否かの指標も重要で、それこそが科学的・合理的な経営となってきたとコメントされている。自分も現役のころ配下の人たちはそれぞれの幸せ感覚があってなかなか目線が合わなかったという経験もある。それが何かを探ることは放棄すべきとは思わないけど、やはり、会社のミッションや経営者・管理者のポリシー、カリスマ性に大きく依存しているのではないか? とも考えてしまう。

勿論、間違ったカリスマ性で企業の信頼を大きく落とした著名企業もあるしむしろ会社組織の再構築も継続的な大きな課題ではないか?と思う。そんなシンボリックな企業が多く生まれることを期待しながらも、時折社会が罰を与え続けるしかないのかなぁ?

前野先生は幸福経営は科学であり流行ではないとおっしゃっている。ノルマ、収益至上主義、合理的ながらの精神論の跋扈といったものは幸福論・
精神論の科学の前にはその未来は保証されない。それでも多くの企業では目先の短期収益に経営者は目がいきがち。企業自身も人生100年時代に100年企業、200年企業を目指して少しずつステップアップできるような態度の涵養も必要かもしれない。

息子たちをみていると、どうしても経済的な豊かさを求める心が透けてみえる。長男は住宅ローンも抱えていて当然だろうとも思う。でも自分の会社の豊かさと並行して個人の豊かさを涵養して欲しいなぁ。

最近断捨離にはまっているというほどではないけど、時間的な制約に必然と関心が向く。服はある程度ローテーションで好きな服を着ているし、趣味と称したものも徐々に絞られてきている。そして何と言っても自分の健康(精神的にも身体的にも)がベースだということを強く意識せざるを得ない年齢でもある。時間が無制限にあると思う若者世代には、今からバックキャスティングで人生の時間割を作ってみては?とアドバイスするとしても、届かないかなぁ、若い年代には。とにかく、甘いかもしれないけどしっかりと「幸福とは何か」を自分なりにしっかりと考えて欲しいなぁ・・・。

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