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栞作り

本が好きなので、栞は身近な存在です。
文庫本に付いている出版社の栞はそれぞれ味わいがあるし、本屋さんなどで素敵なものも売っているのだけど、自分で手作りできたらもっといいなとずっと思っていました。好きなイラストを描いたものや、本の内容に合わせたデザインのものを使えたらどんなに楽しいだろう、本好きの友人にも贈ったら喜んでもらえるのではないか・・・と。

先日、そんな願望を叶える機会がついに訪れました。知人が講師を務める”栞作り教室”に参加してきたのです。
作り方は、水面に垂らした絵の具を紙に写し取る「マーブリング」という手法でケント紙に模様を描き、それを乾かして栞に加工するというもの。材料はすべて教室が用意してくれるので、手ぶらで参加できるありがたい教室でした。

マーブリングは基本的に絵の具が作り出す「予想外の美」を楽しむものらしく、なかなか理想の模様や色合いは作れなかったけれど、久しぶりに絵の具に触れてリフレッシュできたし、その後の仕上げ工程──紙をカットしたり穴を開けたり、紐を通してほつれ止めを施すなどの加工作業は、とても楽しいものでした。決して器用なほうではないのだけど、ちまちました作業は結構好きなたちなのです。

そうして何とか栞になったものがこちら…

予想外の美?

模様はまさに「予想外」だし、紐を通す穴の位置がズレていたりして、よくできたとはとても言えない仕上がりだけど、まず自分で作れたことが大きな一歩だな!という気持ちです。
少なくとも加工の仕方は習得できたので、あとは模様を上手に描けるようになれば・・・漱石の似顔絵を描いた栞を『こころ』に挟むとか・・・などと妄想はふくらむ一方です。

ところで教室が開催されたのは、私の住むところから電車で一時間と少しの、隣県の町でした。距離はそれほど離れてはいないのに、「あお」信号はグリーンではなくブルーだし、道の造りやお店の様子なども自分の生活圏とはあきらかに違っていて、ちょっと不思議な、せつないような気分にもなったのでした。夢の中の自分が、現実の自分の知らない町を住人として歩いているときに感じる、あの気持ちに似ていて・・・

夏の終わりってそういうものでしょうか。


お読みいただきありがとうございます。

しじみ

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