見出し画像

東京育ちの弊害

私は東京生まれ東京育ちです。20代後半で初めて関東を抜け、愛媛に移住しました。そして愛媛での体験を通して自分が都会生まれであることを実感した話です。

愛媛では海の横のアパートに住んでいて、家の駐車場を抜けると一面が砂浜と海が広がっていました。私はそこで初めて海辺に沈む夕日をゆっくり眺めたのですが、それを見たとき「テレビみたいだなぁ」という感想が浮かんだんです。ハッとしました。私の自然の風景の原体験は実物から来るものではなく、写真やテレビのような映像を通したものでしかないのだと痛感しました。

ジブリの宮崎駿さんが「都会の人間は自分の夕日を持ってないから、東京出身の美術はあまり信用ができない。自分の風土性がないから。基礎になるものがない。漫画とかアニメーションばかり見てると基礎になるものがなくなる。基礎がトトロでは困る(笑)」と養老先生との対談で仰っていたのですが、本当にその通りだと思います。都会生まれは基礎がテレビやインターネットなんです。その土地特有の本物を知らないのです。

他にもあります。愛媛は家庭菜園をしてる人が多いので、街を散歩しているだけで旬の食べ物を知ることができます。そして夏にスイカが実っていることを見つけ、「あーほんとにスイカって夏にできるんだ」と思いました。スイカって夏に縁側で食べたり、海でスイカ割りする印象から夏の食べ物という知識はありましたが、本当にそれが夏に収穫できることを知らなかったのです。だってスーパーに行けば一年中売ってますから。

あとね、草の緑色は季節によって変化するこも初めて知りました。春は少し薄い緑色なのに夏に向かって緑が濃くなるんです。いつも自然が近くにあった人には当たり前のことなのかもしれませんが、私には新鮮でした。


最近、養老先生の講演をYouTubeで見る機会が多く、東京は人工物ばかりという話を聞いて頷くばかりです。養老先生が都会と田舎を行き来する参勤交代をしてお互いがお互いを知る機会を作ったら良いって話、すごく賛成します。そして私もそういう生活を目指します!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?