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皇居の財布

皇居の売店で売られている財布についての投稿がXでバズっているらしい。

私もXで見た。

もう何十年も前に皇居の見学に行った時に、同じ財布を見た覚えがある。
がま口の金具が金色で皮の色も珍しい色のものが何種類もあったからひとつ記念に買おうかと思ったけど、当時はまだポイントカードのデジタル化など夢のまた夢、当時の私の携帯はiモードだったのではないか。
とにかくポイントカードをすべて財布に入れて持ち歩く時代だったから、カード入れの少ない財布(2箇所しかない)はダメなんだよなぁと諦めた記憶がある。

当時はポイントカードと身分証やキャッシュカード合わせて10枚以上持ち歩いていた。
それが今では数枚である。

時は来た。

皇居の財布に時代が追いついた。

今使っている財布がボロボロになってきたので、何ヶ月も前からネットで二つ折りのコンパクトな財布を探してみたものの、これは!と心ときめくものが見当たらなかった。
どれも悪くはなさそうだけど、決め手に欠ける…とグズグズしていたところで皇居の財布のことを思い出させるつぶやきを見たのは何かの天啓か。

さらに調べていくと2024年7月29日(月)は大安、一粒万倍日、天赦日、母倉日がかさなる吉日で財布を使い始めるには絶好の日らしい。

これは運命だ。
買いに行くしかない。

酷暑だからと甘えている場合ではない。
帽子、サングラス、日傘で完全防備して家を飛び出し、えっちらおっちら電車を乗り継ぎ一路皇居に向かった。

Googleマップで「皇居」「売店」で調べたところ日比谷の方にある楠木正成公の銅像の近く(皇居外苑の中でもかなり端の方)の売店がヒットした。
写真で見ると綺麗で新しい。
私が昔行った売店は皇居の敷地内にあったが移転したのかな?と思いそちらに行ってみた。

売店とレストランが併設された真新しい建物。
すぐ前にある観光バス駐車場には何十台ものバスがずらりと並んでいた。
15時くらいに行ったからか、レストランには誰もいなかった。
売店では数人の客が商品を見ていた。
早速財布をさがしてみたところ、小銭入れしか見当たらない。
バズったから売り切れたのかなぁと思い、諦めて羊羹などを物色していると売店レジの電話が鳴った。
どうやら財布の問い合わせのようだ。

「お財布は大手門の方の売店で取り扱っておりまして…」

え?他にも売店あるの??
早速調べてみたところ、確かに大手門のところにも売店が!
売店の営業時間は16時まで。

「私はそんなSNSでみたからといって急いで話題の品を買いにくるようなミーハーじゃないんですよ、前から知ってましたし、それにいろいろ偶然が重なりましてね…」と、誰に咎められたわけでもないのに心の中で言い訳しながら買う予定のなかったきんつばとお香を買ってそそくさと店を出る。

楠公の売店から大手門の売店まではかなり距離がある。
徒歩18分、1.3kmの道のりだ。
楠公の売店にはノーチェックで入れるが、大手門の売店はお堀の中にあるので入り口で持ち物検査がある。
かばんの中を見られるだけですぐ入れる。
入場…いや、入城は無料。
月曜日と金曜日は閉園日なのでこちらの売店にも入れないらしい。

ようやく売店に辿り着くと入り口入って左側のショーケースに人だかりが。
10人くらいが財布目当てに群がっている。
それを1人の店員さんが捌いていて、サンプルが見たいと言われればをショーケースから出し、見たら仕舞い、会計をし、また次の人に言われると出し…とやっているからめちゃくちゃ時間がかかっている。
他の店員さんもいるが、客を一列に並ばせようともしないし手分けして対応しようともしない。
普段いかに混雑しないかがわかるような光景だった。
しばらくして横のショーケースの店員さんが「お決まりの方いらっしゃいましたら伺います」と言い出すと、私の後に来てたまたまそのショーケース前にいた人たちが先に買えたりしていてとても気分が悪かった。

飛ぶように売れる財布。
これは目の前で売り切れもあり得る状況というところでやっと順番が来た。
もはやイライラもピークに達し、現物を確認したからといって買わない選択肢はない。
ええい、買ってしまえ!という気持ちで、ケース越しに見て決めたグレーの二つ折り財布をカード決済で購入した。
3800円。
20分くらいは待ったと思う。
しばらくは混雑が続くと思うので、売店の方にはせめて並ぶための動線を作ってほしい。

買う直前に現物を手に取った時、グレーだと思っていたのがシルバーであることに気づいたがもう遅い。
他のと比較するのも面倒だったのでそのまま購入した。
実際、グレーとシルバーの間みたいな感じで、ギラギラしていないシルバーというのもおしゃれかもしれんと思い直し、今は満足している。


燦然と輝く菊花紋章
カード入れは2箇所
ここにもカードが入ればもっと売れると思う


中のスナップもがま口の金具もピンクゴールドっぽい色味でかわいい
小銭入れに仕切りがないのは逆に使いやすそう


箱はお土産物用の簡素な白い箱。
素材がどうとか、どこで作られてるいるとかいった説明書きも一切ついていない。
皮は本革、国産というのはネット情報でどこまで本当かわからない。
採算度外視で作っているという、これまたネット情報であるが、正直、造りはあまり良くないように感じる。
素材の良し悪しは私にはわからないので、見る人が見ればこの皮で3800円は破格!となるのかもしれない。
素人目にわかる部分で言うと小銭入れの部分が皮と接着剤で雑にくっつけてあり、強く引っ張ると今にも剥がれそう。
耐久性には不安がある。
値段相応なのでは?と思うがこの物価高騰の折、もはやこのレベルのものでも3800円で販売するのは難しいのかもしれない。
皇室の御紋が入ってることに特別感がある、というのが大きな価値だろう。

29日に使い始めるまで、今は綺麗な布に包んで棚にしまってある。
今までもこうして吉日に財布を下ろしてきたおかげか、いままで財布を無くしたことは一度しかない。
それも交番に届けられて手元に戻ってきた。
落とした財布が赤色だったのでそれから赤い財布は買わないようにしている。
風水も験担ぎも気休め程度に、できる範囲で。

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