見出し画像

【日記】アンカル『昼下がりの思春期たちは漂う狼のようだ』終演致しました

【日記】アンカル『昼下がりの思春期たちは漂う狼のようだ』終演致しました。

東京芸術劇場シアターイーストにて、10月3日まで公演していたアンカル『昼下がりの思春期たちは漂う狼のようだ』を無事に、無事に、終えることができました。ありがとうございました。

ご来場してくださった皆様、気にしてくださった皆様、本当にありがとうございました。満席で、10月に入って客席数を増やしても即完で、連日多くの方が当日券を求めて並んでくださって、でも入れなかった方もたくさんいて、本当にすみません。

演劇というものの力を信じつづけた約2ヶ月間でした。いつ上演中止になってもおかしくない中、このような形で上演できたことは本当に誇りです。

いやはや。いやはや。本当に楽しかった。蓬莱さんはじめ、共演者の皆さん、演出部、制作部の皆さんが本当に良い人たちで、私はとても居心地が良く、純粋に創作のことに没頭できました。みんなで一つの作品を作り上げていく過程が心の底から楽しかった。

去年、ずっと信じてきたもの、生きる意味だと思っていたものが一瞬にして無くなってしまって、ずっとどん底でした。「コロナが終わったら…!」「また元の生活が戻ってくるんだ…!」「苦しいのは皆同じ!」という言葉も私にとっては刃物でしかなくて。本当にしんどかった。オーディションの課題も、上手く言葉にならなくてずっと考えていたし、30秒の映像資料は百回くらい撮り直してよく分からなくなって、陳腐なものになっているんじゃないかと怖くて、マネージャーと何度も何度も相談して、送って、「受かるわけがない」と思っていたので、連絡が来た瞬間本当に嬉しかった。蓬莱さんに選んでいただいたことは感謝でしかないです。

台本が送られてきて、人生で初めて自分の出演する舞台の台本を読んで泣きました。この作品なら信じられる、託せると思いました。

演劇部の部長の落合という役になって、すごく怖かった。ずっと落合の言葉と対峙して、「私はこの言葉を言う資格はあるのか?」と自問自答を続けました。私は落合と違って、ものすごく卑怯な人間だし、ずるいし、弱いし、汚いし、だからちょっとでも足を踏み外したら、演劇をやっている人たちに失礼だし、演劇を観に来てくれるお客様にもめちゃくちゃ失礼だし、全部終わってしまう、と勝手に変な責任感を感じて、蓬莱さんに相談したら「勝つか負けるかは関係ないし、勝つ日があっても、負ける日があってもいい。ただ、絶対に戦いつづけることが大事だ。」と仰ってくださって、そこからだいぶ色んなことに整理がつきました。

お芝居の最初から最後までお客さんに「伝われ!伝われ!」と念じて、ときどき「伝われ!って思うことはエゴかもしれない…落合はもっと優しいはずだ!」とか思ったりしながら、ずっと考えつづけた公演でした。救えたかどうかわからないけど、救いたかった。自分が今まで身につけてきた手癖だったり、経験だったりしたものを全部置いて、またもう一度最初から生まれ直す気持ちで挑みました。

今、全公演が無事に終わって、ホッとしながら、ロスになってて、ゆらゆら帝国聴いたりして、こんな文章を書いたりしています。観たものがすべてだし、私の言葉なんかいらないし、たぶん気恥ずかしくなったら消します。限定公開です。

本当にありがとうございました。出会えてよかった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?