冷やし化粧水始めました。

化粧水を冷蔵庫で冷やして2週間が経ちました。『常温で保存』が今までの僕でしたが、今ではすっかり冷水主義者です。手のひらに500円玉くらいの水溜まりを作り、重力に従って滑り落ちないようにほとんどぶつけるような形で頬と化粧水とを接触させるのですが、冷たい水と僕との間には壁があって、基本的に冷たいものは身体と触れあった時にお互いを受け入れずライバル関係が生まれますよね。その時、自分の皮膚は、自分だけの境界線であることがはっきりと意識されます。つまり、これまでにあった『浸透していく体験』を僕は追えていないんです。仕方なく僕はまた手のひらに水溜まりを作ります。それは存在するはずのなかった水溜まりです。だからその時、僕の手のひらには『ファンタジー』が乗っているんです。手相もファンタジーで覆われていて、それを見た占い師はみんな口を揃えて「これまで、よく生きてきたね」と言います。絶対に。僕が『ファンタジー』と呼んでいるそれを再び頬に撃ち込みますと、ようやく肌は内側まで潤い、攻撃的な光を放射する太陽とはまた違った優しさのあるテカり方をします。とても満足げに。その一連の動作が完結したときに僕のいる場所は化粧室から自室に戻ります。なにが言いたいかって、各々の家には必ず、普段はなんでもないようなフリをしているのに、生活のある一点でのみ、化粧室に化ける部屋があるということです。

小さい頃からお金をもらうことが好きでした