27歳まで続く日記vol.116『朝5時の男』

11月の中旬のことだった。その男は朝5時にアパートの前に座っていた。僕は彼に『朝5時の男』と名付けた。 

めちゃくちゃ朝早くに用事があって、急いで駅に向かっていたら、大学生くらいの男の人が、2階建ての、いかにもアパマンショップが管理してそうなアパートの階段前で座ってスマホをいじくっていた。

家を出たのは4時半過ぎだったから彼を目撃したのはだいたい5時くらいということになる。

いったいあんなところで何をしていたんだろう。とても気になる。寒そうにしながら座っていた。あのアパートに住んでいるようには見えなかった。朝帰りで鍵を失くした人だったという可能性もある。管理会社に連絡できる時間になるまでずっとあそこで待ち続けるつもりだったのかもしれない。

タイムマシンがあったら、彼を見なくて済むルートで駅に向かいたい。

小さい頃からお金をもらうことが好きでした