27歳まで続く日記vol.117『サンタクロースは悲しみを運ぶ老人』
先週、ドラッグストアのBGMがクリスマス仕様になっていた。
『サンタクロース イズ カミング トゥー タウン』
"サンタが街にやってくる"という曲だ。
この曲を聞くと無性に悲しくなる。
そのことをBに伝えると、珍しく共感してくれた。
なんで悲しくなるのか。
この曲はどこかノスタルジックだ。聞くだけでクリスマスの雰囲気になりつつある街の光景を思い出す。両親と手を繋いでいる同い年くらいの男の子が自分とは反対方向に歩いていき、僕はたくさんの電飾が飾られた住宅街を通りすぎてボロ団地に帰る。そこに僕の父親はいない。小さい頃のそんな思い出がよみがえる。
というわけで『サンタが街にやってくる』が流れると悲しい思い出が呼び起こされるのだった。
だから僕にとってサンタクロースは悲しみを運ぶ老人だ。ただ一番悲しいのは、悲しみを運ぶのに付き合わされてるトナカイだ。
僕は昔の記憶を思い出したが、一方Bは、ある光景が思い浮かんだという。
雪降る夜、『サンタが街にやってくる』が流れているクリスマスムード1色の街に、ボロボロのタンクトップを着た体がアザだらけの女の子がいて、その横には小綺麗なニットを着た母親がタバコを吸い、煙を斜め上に吐いている、という光景らしい。
『サンタが街にやってくる』の明るいメロディとその光景の悲惨さがコントラストになり、悲しみがより際立つ。映画の演出みたいに。僕はBに「それ、いつか映像化しよう」と極めて不安定な約束をした。
最後に、
子供にはおもちゃを、大人には悲しみを。
サンタクロースのキャッチコピーはこれで通していきます。(通していきます?)
小さい頃からお金をもらうことが好きでした