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インフルエンザに有効な解熱剤とは

夏なのにインフルエンザ?

世間では8月の終わりから、まだ真夏日や猛暑日が続いているうちからインフルエンザが流行しているようです。
10月に入って急に寒くなりましたが、あなたの体にお変わりはありませんか?

私はそのとき、厚生労働省が毎週公表しているインフルエンザの「定点当たり報告数推移」を眺めながらあれこれ思考をめぐらせていました。

インフルエンザ定点報告数推移
インフルエンザ定点報告数推移その2


東京都では9月中旬に異例ともいえる「インフルエンザ流行注意報」を発表しましたが、減るどころか増える一方です。

インフルエンザの流行は例年1月から3月に多く、過去のデータがそれを物語っていましたが、9月にこの注意報を発令したのは初めてのようです。
その中でも約6割が14歳以下の子供で学級閉鎖、学年閉鎖も増えています。

コロナでは65歳以上の高齢者の感染が連日のようにテレビで報道していましたが、インフルエンザに至っては高齢者より子供のほうが多い。
高齢者だろうが子供だろうが、ウイルスは人から人へ感染します。
昭和の時代からたたきこまれてきた、外から帰ったら「うがい」「手洗い」が令和に入っても引き続き続けていくことがウイルス感染において少しでも有効であることを願いたい。

インフルエンザの症状の特徴

かぜとインフルエンザの症状はよく似ていると言われます。種類は違えど、どちらも「ウイルス」による感染なので症状が似てくるのかもしれません。
しかし、似ているようで明確な違いがインフルエンザにはあります。

・高熱
・関節痛など、体の節々が痛い全身症状

かぜをひいてくしゃみや鼻水は出ても、40度近い高熱は出ません。
かぜをひいたことがある人なら思い出してほしいのですが、「関節が痛い」なんて症状が出たことがありましたか?
他にもいろいろ症状はありますが、まずはこの二つの症状が出たらインフルエンザだと疑ったほうがいい。

インフルエンザに有効な解熱剤とは

37度台ならまだ動かせる体も38度を超えたあたりからだんだんしんどくなってきます。
そこで登場するのが「解熱剤」ですが、かぜとインフルエンザでは使う解熱剤が違うとの声がちらほら耳にします。
通常の痛みを伴う熱ならばイブプロフェンやロキソニンなどのいわゆる「NSAIDs」と言われる解熱鎮痛剤が有効ですが、インフルエンザの解熱にはどうも使わないほうがいいらしい?、などと考えていたときでした。

そのとき勇者が現れた

ロキソニンのメーカーに(お客様相談室?)電話で確認したという勇者が現れました(残念ながら私ではありません)。

担当者曰く、ロキソニンをインフルエンザの解熱目的で使ったことによるインフルエンザ脳症を発症したデータは確認できません、とのことでした。

インフルエンザ脳症とは、インフルエンザ発症後にNSAIDsを使ったことで発症したと思われる脳の炎症です。
インフルエンザの症状は高熱が特徴のひとつです。
高熱になれば体のどこかで異常が発症してもおかしくはない。呼吸が苦しくなればのどや肺の炎症だし、関節が痛ければ関節の炎症が疑われます。

ではなぜNSAIDsがインフルエンザ脳症に関係があるかというと、ロキソニンではないですがNSAIDsに分類される「ボルタレン」と「ポンタール」をインフルエンザ脳症になり使用したことで死亡例が報告されたためです。

そもそもインフルエンザ脳症は年間100件前後の決して多いとはいえない発症報告の内、その大多数は5歳未満の幼児です。
幼児はそもそもNSAIDsを使えませんし、ボルタレンやポンタールは医療用医薬品でドラッグストアでは売っていません。

インフルエンザ脳症は確かに命に関わる合併症ですが、癌治療の抗がん剤やその他命に関わる合併症はたくさんあります。
なぜインフルエンザだからインフルエンザ脳症だと年間100件前後の合併症にここまで過敏になるのか私には理解できません。

それでも高熱はつらい。
そんなときにはカロナールです、アセトアミノフェン製剤です。

●アセトアミノフェン錠「クニヒロ」
アセトアミノフェン300mg
15歳以上1回1錠、1日3回まで
前回紹介した「タイレノール」と同じで、しかもクニヒロのほうが安い。

薬による副作用のほとんどは用法用量を守らない過剰摂取や、数ヶ月間服用を続ける長期連用によるものです。
NSAIDsを使うと、ロキソニンやイブプロフェンを1錠使ったら即インフルエンザ脳症になるのか?
その心配をするよりも、アセトアミノフェンでもイブプロフェンでもいいから少しでも熱が下がったら、体が動けるうちに病院へいきましょう。
市販薬は元々病院を受診するために症状を緩和するためのものですから。

と、私は理解しています。


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