おすすめ語学書『初級ラテン語入門』白水社

本日おすすめいたしますのは有田潤著、白水社の『初級ラテン語入門』でございます。
 およそ三十章よりなるこの本には文法の説明及び練習問題からなる章と簡単な読み物の章とがございます。
 文法の説明は読者の負担にならないよう小出しに行われ、練習問題もその範囲を逸脱することが無いように作られております。
 読み物の章はそれまでの内容の復習と実際の読解の訓練とを目指したもので御座いましょう。巻末の収録語彙一覧を確認しつつ 1、2ページほどの文章を読み解きます。もっともほとんどの単語はそれまでの内容に現れたもので御座いますから、それらをしっかりと暗記していれば難なくスラスラと読みこなすこともできるので御座います。読める喜びは確実に学習のモチベーションを向上させるもので御座います。
 実は当方、以前にも山下太郎著『しっかり学ぶ初級ラテン語』で学習を試みたことが御座います。しかしそのときは圧倒的な情報量ゆえに途中で挫折してしまいました。ラテン語なぞ意識からすっかり飛んでいってしまった頃に出会ったのが今回おすすめする『初級ラテン語入門』でございます。
 『初級ラテン語入門』は徹底して読める体験を提供するよう設計された書で御座います。ラテン語を始めるのに何もキケロの名文から取り掛かる必要は無いので御座います。著者オリジナルの例文は初学者の理解を助け、その読みやすさゆえに我々をなおラテン語の世界へ惹きつけるもので御座います。
 また、これがなかなか大切なことで御座いますが、著者は例文の美しさに細心の注意を払っているようで御座います。詩を読む心地で例文を読めることはなんと幸せなことで御座いましょう。
 世に出て既に半世紀、版を重ね読み継がれる名著『初級ラテン語入門者』、ぜひ読者諸賢にも学習の助けとしていただきたいもので御座います。

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