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サラダバス|ショートショート

「こりゃヒドい有様だな…」

現場に入ってきた警部の那須は、ガイシャに手を合わせた。

「警部、お疲れ様です。ここに被害者が残したダイイングメッセージと思われる血文字が」

那須は、捜査員の根木が指差す方向に目をやった。

「サラダ、バス。なんだこりゃ」

「さぁ、私にもさっぱり…」

死ぬ前の人間というのは、どうしてこうも難解なメッセージを残すのか。

ドラマじゃあるまいし、勘弁してくれよ…と那須は溜め息をついた。

しかし数日後―――

犯人が自首したことで捜査はあっけなく幕を閉じた。

捕まったのは被害者の顔見知りで、同じマンションの831号室の住人だった。

「警部、今回はすぐに解決できて良かったですね。しかしあのダイイングメッセージは何だったんでしょうか?」

「サラダは野菜…831号室のことだろう。バスは…容疑者の男が市営バスの運転手だったらしい」

那須は窓の外を眺めながら思った。

しかし、俺が那須でコイツが根木って…野菜じゃあるまいし、勘弁してくれよ。

了(413文字)

たらはかに(田原にか)さんの【毎週ショートショートnote】のお題を元に書きました。

今回も難題でしたが、原案が浮かんでからは案外早めに仕上げることが出来ました。

やはり大枠とゴールを決めることって大事ですね💦

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