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「つらいことは、ない」。西陣織工房の職人さんはそう言いきった

バスを降りると、京都の風情を色濃く残す小道。時が止まったように静かで、自然と歩みもゆっくりに。

道を歩くこと5分。突然、明治時代にタイムスリップしたかのような石畳が現れます。立ち止まって、いつまでも眺めていたくなる道。その道を進むと、木で出来た大きな建物が目に入ります。

1906年創業の渡文株式会社の社屋です。

渡文が主に製作しているのは、西陣織の着物の帯。機械織りが主流になる中、渡文の帯はほとんどを昔ながらの手織り。

値段が高くはなりますが、緻密で複雑な文様は、機械には織ることができないものです。また、「軽く・柔らかい」帯になるため、とても扱いやすく、自身で着付けをする着物愛好家の方から強い支持を得ています。

西陣織職人であり、伝統工芸士でもある津田功さんにお話をうかがってみました。

「仕事で辛いことは、思いつかないなぁ」と語る津田さん。

仕事にやりがいを感じるのは、「自分がつくった帯がミスなく完成した時」だそうです。

一本の帯をつくるのには多くの職人が関わっています。そのプレッシャーがあるからこそ、うれしいのだと。また、お客様が自分の織った帯を巻いて工場に来てくれた時には、言い尽くせないほどの喜びを感じるそうです。

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津田さんは、高校を卒業してすぐに西陣織の世界へ飛び込みんだそうです。

「つらいことは、ない」。

そう言い切ります。

綺麗な広い和室を抜けた、扉の向こうが機織り工場です。

扉を開けた瞬間、空気や世界が変わるのを実感することができるでしょう。木造の床は、昔の小学校の廊下のようです。

そして、そこに並んでいる天井まで背が届きそうな大きな織り機。トントン♪と聞こえる織り機の音…。

長年変わることのない、手織り工場の様子を感じてください。自分の手を動かしてみれば、西陣織がいかに多彩な技術の積み重ねで出来上がっているかも実感できるでしょう。

昔の古き良き日本にタイムスリップして、日本文化を感じる西陣織職人の仕事場をのぞいてみたい。

そんなあなたにこの旅を(次回は2021年5月21日開催です)。


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