#14 ベルンシュタインから考える⑧『動作構築のレベル』その2
前回はレベルAの話でしたが、今回はレベルBの話です。
レベルB:筋-関節リンクのレベル
このレベルBは、もともと移動運動を行う際に発達したと考えられています。
残酷な例ですが、カエルやニワトリの頭を落とされても、その後少しの間は歩けます。この役割を果たすのがレベルBなのです。
しかし、現在は移動運動のレベルではないとされます。大脳の発達により、その役割を終えることになったのです。
では、今はどんな役割があるのでしょう。
レベルBの解剖
レベルBの運動神経核は淡蒼球、感覚中枢は視床とされます。
淡蒼球は脳の最深部に位置し、出力情報を送り出します。また、視床には末梢のあらゆる外受容器からの情報や筋-関節感覚が届きます。
ここで重要となるのが視床の役割です。
こと感覚調整に関しては、他部位は視床に太刀打ちできません。ランニング、ジャンプ、棒高跳び、体操、レスリング、水泳などの動作が可能になるのは視床の感覚調整のおかげなのです。
レベルBの機能
レベルBの機能には、身体のあらゆる筋に関する中央制御の役割があります。さらに、時間経過により運動を組織化することが出来るのです。
つまり、レベルBは運動スキルの形成や自動化と密接に関係しているといえます。
レベルBの例えとして、ベルンシュタインは飛行機のメインエンジンを挙げています。スポットライトが当たるパイロットではなく、内部の動作制御に尽力していることになるのです(ちなみに、パイロットの役割はレベルC)。
また、レベルBの特徴として、レベルAより随意的な介入を行いやすいという点が挙げられます。経験を蓄積し、新たな協応パターンを構築して運動を行うことが出来るのです。
半随意的で半意識的な運動とは非常に面白いですね!
ちなみに、顔の表情は未だにレベルBの制御下に置かれているようです。確かに、表情でうまく誤魔化そうとしても、心理状態が大体分かる気がします。。
ここまで見てきたように、レベルBの役目は、巧みさに必要不可欠な条件を整えることになります。
巧みさは、『身体の巧みさ』と『手の巧みさ、対象操作の巧みさ手のスキル』に分けられますが、この両者にとって必要とされるのです。
さぁ、少しずつ『巧みさ』に近づいてきましたね。次回はレベルCについて見ていきたいと思います!
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