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#15 ベルンシュタインから考える⑨『動作構築のレベル』その3


今回はレベルCの話です。

これまでのレベルAレベルBでは、無意識下や半不随意という分かりにくい段階でした(>_<)苦笑


しかし、このレベルC全てのスポーツや競技動作に必要な背景調整を担っています。


これまでより、大分イメージしやすいと思います!それでは、早速レベルCを見ていきましょう!!


レベルC:空間のレベル


これまで述べてきたように、遠隔受容器の発達により認識できる空間が広がり、また横紋筋の獲得により遠くまで到達できるようになりました。

ここで必要となったのが、発達した空間のレベルです!



空間レベルで感覚調整を行うには、複雑な処理が必要となってきます。

ここで実体験してみましょう!皆さんも一度は経験したであろう騙し絵です!


何度経験しても不思議ですよね!

目から入る情報も、脳に伝わり認識する過程で処理されているのです。

ここでベルンシュタインは『空間場』という概念を用いています。



空間場とは何か?

空間場とは、すべての感覚器官の協応に基づく正確で客体的な(すなわち実在に対応した)外部空間の知覚である。また、外部空間を利用するための能力の一種である(空間利用能力)。


少し難しい表現ですが、その特徴を見ていきましょう!


1. 広大であること
 私たちがいる空間は広大で、自分の身体を中心にあらゆる方向に広がっている

2. 静止していること
 私たちは空間が静止しているものとして知覚している(目眩などは空間レベルの障害として考えられる)

3. 等質であること
 私たちは空間をどこも完全に均質で、同一のものとして知覚している(生の感覚情報は脳で処理される)



スポーツを行う際に、対象物の方向や角度、距離を正しく判断する能力が必要になってきます。その理解のために、このレベルCが大きく関与しているのです!


レベルCの運動特性


空間レベルの運動は、狙いを定めて対象を移動させる運動とされています。これには、目的があること、そして、結果が現れ評価できることが特徴とされます。


当然、動作には、正確さ精密さが求められます。

例えば、目の前のコップを取る動作を考えてみましょう。多くの方が、何度行っても、コップをこかさず掴めますよね。しかし、その過程はどうでしょうか。

これは自分で行うより、他人の動作を観察した方が分かりやすいでしょう。その動作をじっくり観察してみると、、手や腕の軌跡は毎回微妙に異なります。

しかし、最終的に『コップを掴む』という動作は毎回実施出来るのです。


何故でしょう???


つまり、動作の途中で、目標物への距離を捉え、こかさないように手の形を変え、触れる力量を調節しているのです。



レベルBとレベルCの違い


レベルBでは、主として身体自体に注意を払っています。つまり、外部への目的や目標がない動作になります。

それに対し、レベルCでは動作に目的や目標があり、空間場で動作を組み立てることが特徴です。



具体例として、

①移動動作(歩行や走行など)
②空間内で全身を使う動作(体操競技やダンスなど)
③空間内の目標に向かう正確な動作(ピアノの演奏など)
④力強い動作(ウェイトリフティングなど)
⑤振る-投げる動作(バッティングなど)

が挙げられます。

この様に考えると非常にスポーツに近づいてきましたね。

個人的には、今回の内容は『巧みさ』を考えるヒントが沢山詰まっているのかなと思います。


次回は、動作構築最後の『レベルD』に迫りたいと思います!

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