「大人試験」と「大人試験に合格した厳選された養父母による子育て」が良いのかも知れない。
『非認知という言葉があまりに漠然としているため、筆者も含めて心理学者は「社会情緒的スキル」という言葉のほうを好む。要は、自分や他人とうまく折り合いをつけるためのスキルだ。ところが最近になって、認知的スキルでも非認知スキルでもない、あるスキルが世界中で注目を集めるようになった。それが「実行機能」というスキルである。非認知スキルの一つとされることもあったが、最近は独立したものとして扱われている。実行機能。字面だけ見てもどのような能力かはわかりづらいが、簡単に言えば、目標に向かって自分をコントロールする力のことを指す。ダイエットという目標のために食べたいものをがまんする力や、夕食を作るという目標のためにある具材を切ったり別の具材を煮たりと柔軟に頭を切り替える力である。大事なのは、「目標を達成する」ために必要なスキルだということだ。〜このように人生にとって極めて重要な意味を持つ実行機能だが、良くも悪くも、子どもが育つ環境によって、その発達に影響が生じやすい。すなわち、家庭の経済格差が直撃するのがこのスキルなのだ。〜経済格差が実行機能を直撃する理由は、この前頭前野にある。動物実験などから、前頭前野の発達はストレスに対して極めて弱いことが示されている。生まれる前に母親が強いストレスを与えられたラットや、生まれてから強いストレスを与えられたラットは、前頭前野の発達が正常でない。〜その結果、低所得家庭の子どもは、実行機能のテスト中に前頭前野を活動させていなかったのに対して、中・高所得家庭では前頭前野の活動が認められた。つまり、前頭前野の発達に経済格差が影響していることが明らかになったのである。これらの結果は、経済格差が子どもの脳発達に重要な影響を与えることを示している。しかも、その影響は就学前という早い時期から既にみられるようだ。〜実は、低所得家庭の子ども全員が前頭前野を活動させていなかったわけではない。裏を返せば、中・高所得家庭でも、前頭前野を活動させていなかった子どもだっている。〜発達の格差を是正するために一つ重要なのは、子どもが強いストレスを感じない家庭環境を作るということだ。その基本は、安心できる親子関係である。発達心理学では、親子の情緒的な結びつきを「アタッチメント」と呼ぶ。経済的に問題を抱えていても、親子関係がしっかり安定していて、子どもが安心感・安全感を感じることができれば、実行機能の発達には問題が起こりにくい。こういう話をすると、わが国の場合は母親に責任を帰すことが多いが、それは間違いだ。母親であろうと、父親であろうと、さらには祖父母であろうと、信頼できる大人としっかりとした関係を築くことができればいい。』
重要なのは『信頼できる大人としっかりとした関係を築く』ことなのだ。核家庭で夫婦だけでの育児は既に無理ゲー化している。ましてやひとり親になれば尚更だ。恋愛(性交)→結婚(性交・生殖)→(性交・生殖)子づくり→子育て(夫婦である親に権利と義務)のパッケージには歪みが出てきている。システム疲労は脆弱なところが一番大きな被害になる。親権と保護者としての権利と義務のバランスが全く機能しなくなっているのだ。「地球(テラ)へ…」の様に「大人試験」と「大人試験に合格した厳選された養父母による子育て」が良いのかも知れない。
経済格差が、子どもの「脳の発達」に影響を与えるという厳しい現実
是正のためには何ができるか
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/66787
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