「未来」あるコドモ達に公平なチャンスを与えられる様な「モテる」金の使い方ができるヤツらかどうか?がこの実験で見えてくるでしょう。

『――実は亀山さんは寄付を使った壮大な社会実験を計画していて、今日初めてその情報を公開されるのですよね? はい、そんな大層なものではないですが(笑)。もともと私が経営をしているのは、お金を使うとか貯(た)めるとかっていうよりも、商売が好きだからという面が強いのです。これまでもいろいろな商売をやってきましたが、お金もうけも結局は「人を育てる」みたいなところに行きつく部分があります。それで社員を育てているうちに、「もっと若い人を育ててみたい」と思いだしました。それで、「俺が商売を教えてやるからおいで」という感じで、40~50人の若者を集めて「DMMアカデミー」という名前の、起業塾みたいな学校を開くことにしました。まず「稼ぐ術」とかを若い人に教えて、既存の大学や高校とはちょっと違う教育をやりたいと思ったのです。しかし、その塾自体は、自由すぎてあまりうまくいかなかったんです。でもそのときに、アカデミー生の1人が「米国のミネルバ大学を見たい」と言い出したので、行かせてあげたんですが、彼がたまたまフランスの42という学校を見つけてきたんです。これが面白い仕組みで運営されていたので興味をもち、最近私もフランスに行ってきました。――プログラミングのトップスクールですよね? 授業料は全員無料という学校ですね。授業料は無料。フランスの起業家が寄付をして運営しています。ただカリキュラムはちょっと難しいので、ついていけない人も多いそうです。でもそこで2年くらい学ぶと、シリコンバレーでトップのIT企業のエンジニアになれるくらいの教育をしてくれる。それがすごいので、そのカリキュラムを日本に持ってきて、日本の教育を変えてみたいなと思ったんです。だいたい1000人くらいの学生を受け入れると、年間10億円くらいかかるのですが、今の思いとしては、それを5年間くらい支えたいと思っています。どれくらい人が集まるかは分かりませんが。来年には開校の予定なので、興味のある人は資料が出来次第お知らせさせてください。――50億円の寄付をなさるということですね?まあ、実際にやってみないといくらかかるか分からないのですが、とりあえず予算は用意しました。ただ、あまり大げさに思わないでください。「42 Tokyo」は卒業後の進路は自由です。優秀なエンジニアを社会に出せば、たとえDMMに就職しなくても、「DMMは太っ腹だな」ということは覚えてもらえる、会社の評判は上がるでしょう。だからあくまで、「これは長い目で見た投資なんだろうな」と思ってくださって構いません。――それで社会実験とは、どんな内容なのですか? それでも、DMMは民間企業なので、ずっと支えていくという形では限界があると思っています。だから、このプロジェクトに賛同してくれる企業などに、スポンサーをお願いするつもりです。また同時に、入学した学生たちにも「42 Tokyo」を卒業して稼げるようになったら寄付をしてほしい、と言うつもりです。「42 Tokyo」で学べば、入学時に年収200~300万円だった人でも、卒業したら500~1000万円くらい稼げるような人材になれると思うのです。海外では5000万円くらい稼げるようになったという事例もあると聞いていますし、多くの起業家も生まれているそうです。だから入学した人には「将来は君たちが支えてね」と、言っていきたいわけです。もちろん強制はしません。でも毎年1000人受け入れたとして、その卒業生たちが収入に見合う額をいくらか寄付してくれて、それで寄付額が10億円以上集まれば、受け入れ人数を増やせるかもしれませんよね。ただ、もし卒業生があまり寄付をしないと、500人、100人と、どんどん受け入れ人数が落ちていくかもしれない。だから最初の土台は私が作りますが、そこから先は他のスポンサーや卒業生たちに託そうと思います。結果として、受け入れ人数が拡大するのか縮小するのかは、私にも分かりません。日本ファンドレイジング協会は「日本に寄付文化を広げよう」ということで作られたと聞いています。実は僕も若いころユニセフに寄付をしたことがありますが、あまり実感が湧かなかったんですよ。見たことのない遠くの人への寄付というのはなかなか続きませんでした。でも、自分が世話になった学校なら、支えたいと思うかもしれない。「この学校のおかげで自分が大きくなれた」と思えるような学校だったら、寄付とかボランティアとか、「おかげさま」があり得るんじゃないかと思うんです。~――映画「ペイフォーワード」のような世界、物事が良い方に循環する大きな「社会実験」をしたいということですか。まあ挫折して、資金が全部なくなっちゃうかもしれませんけど(笑)。でも、こればっかりは誰にも分かりません。寄付をした人をSNSなどで公開して、寄付がカッコいいと思わせるのもありかなあと考えています。私は男性にも女性にもモテたいと思って生きてきたんですが、できれば「一生モテたい!」と思っています(笑)。金儲(もう)けをしてモテるのか、金を使ってモテるのか、いろんなやり方があると思いますが、モテるための新しい仕組みを自分なりに作ってみたいと思います。――最後に一言お願いいたします。私のように「モテたい」という不純な動機でここにいて恐縮なんですが(笑)。昔はやっぱり「力を得ること」こそが、カッコいいと思っていた時期がありました。一方で、私の友達には社会的に良いことをやろうとしていた人がいたんですが、実際には力が足りずにだんだんと変わっていきました。だから私も「正義と力どっちが大切か」みたいなことをよく考えるんです。でも結局、どっちも大切なんじゃないかと思うんです。良いことをするにも力なりお金が必要になるときもあるし、力ばっかりでもカッコ悪くなってしまう。じゃあどうなればいいかというと、なるべく大きいものというか、「大いなるモテ」を目指せば、結局行きつくところは似ているのかなと。私はいまだに自分の行動が善意なのか打算なのか、イマイチ分かってないんです。ただ、なるべく「大いなるもの」を目指せば、意外と全然違う生き方をしてきた人たちとも話が通じ合うんじゃないかと。そして「何が本当か?」を考え続けながら、最後までたどり着けないまま死んでしまうかもしれないけど、そういうものを求めていきたいなと思っています。長々ともっともらしいことを言ってしまいましたけど、こんなところでございます。すみません(笑)。』

亀山さんの事業には私も初期のころからユーザーとしてけっこうな資金を投じている。その亀山さんの次の投資先が究極の投資先である「ヒトを育てる」という事に成ったのでしょう。「未来」を創れるのはコドモ達しか居ませんのでこういう実験はこれからのヒノモトの金持ちがホントに「未来」を考えているかのか?自分の欲や自分の血縁のコドモ達だけでは無く「未来」あるコドモ達に公平なチャンスを与えられる様な「モテる」金の使い方ができるヤツらかどうか?がこの実験で見えてくるでしょう。

やっぱり「モテたい!」から? DMM亀山会長が“50億円寄付”で仕掛ける「社会実験」
https://www.itmedia.co.jp/business/articles/1912/03/news017.html

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