【最後の手紙:朗読】第2幕(前編)

Liner notes

 このプロダクトは3名のクリエーターの合作となり、約4か月にわたる制作期間となった。3ムービー構成となっており、全編で、1時間47分と、およそ映画一本分の尺である。視聴される際は、お時間が取れる休日のお昼時や、就寝時などをおすすめしたい。では、クリエーターの紹介だ。まずは、心情溢れるしっかりとした朗読で、小説内のキャラクターを個性豊かに表現していただいた「小池若菜」さん。次に主題歌MVの調整作業にご尽力くださった「Isamu.y.」さん。そして、私の細かな要望やあいまいな妄想に、ご機嫌なアイデアと技巧、そして建設的なプロダクトマネジメントで、本作を完璧に仕上げていただいた演出の「高木すみれ」さん。最大の賛辞と謝辞をこの場を借りて、3名のクリエーターに。長い間、本当にありがとうございました。さて、振り返れば、昨年(2021年)の春。現在の過度ともいえるデジタル社会を揶揄するかのように執筆し始めた小説「最後の手紙」の一連の作品群は、今春、皮肉にもデジタル社会の多大なる恩恵によって完成を迎えた。
『創作物は細部に神が宿る』と耳にする。上の3名のクリエーターと何百ものメッセージを交換して、このプロダクトに可能な限りの思いを込めた。あとは視聴者の想像力がここに加味されたとき、すべてが完結するのだろう。黙読とはまた違った"ラジオドラマ風"小説の妙を味わっていただきたい。以下、小池さん(朗読)と高木さん(演出)からメッセージを頂いたので紹介したい。

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<以下、小池若菜さん(朗読)>

 ご縁があり、「最後の手紙」を朗読させて頂くことになりました。不思議なつながりを持つ2つの物語で、現在、人と人とのつながりが希薄になりつつあるなぁと私自身も思っていた時に、本作品を朗読することになり、こちらもまた "不思議なつながり” だなぁと感じました。コ口ナ禍になり、今までつながっていた人たちとさえ、なかなか会うことすら難しくなっている昨今、それでも、人と人とのご縁、というか、つながりを求めずにはいられないのかなぁと思います。ようは、さみしいんですかね(笑)。10年経てば、もしかしたらこの状況は変わっているかもしれない。そんな希望も含め、楽しく読ませて頂きました。私自身、ここまで長い小説を朗読したことがなかったので、また一つ、挑戦することができ、このご縁に感謝しております。聴いて下さる皆様が楽しまれますように。そして何かを感じて、心を動かしてもらえたら幸いです。

小池若菜

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<以下、高木すみれさん(演出)>

 トレーラームービーから引き続き、ラジオドラマ風「最後の手紙」の制作にも携わらせていただきました。小説「最後の手紙」は過ぎ去った時代への懐古、新しい時代への葛藤、そして人と人との縁の不思議……。人間の持つ情緒をぎゅっと詰め込んだ大人の作品だと思います。この作品の素晴らしさを、どうやってお伝えするか……。いろいろと悩み、作者の田中様と検討を重ねながら作り上げました。もう十年ほど前になりますが、演劇の師匠に「人の心が動くときに、人の身体が動く」と教わりました。動画・音声編集も同じだと思います。人の心の動きを、効果音やBGMで表現するよう務めました。小池様の朗読は心の機微を声音の変化だけでなく、喉の震えや吸う息、間の取り方などを駆使して表現されています。いただいた音声データの間は、ほとんど触らずに仕上げていきました。私がしたことと言えば、この素晴らしい朗読に彩りを加えた程度のことです。ぜひ、素晴らしい朗読をご堪能ください!最後になりましたが、この機会をくださった作者の田中様に感謝申し上げます。そして、このプロジェクトに関わった全ての方に「お疲れ様!」とお伝えしたいです。ありがとうございました。

高木すみれ

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