見出し画像

ラジオサービス会社が、音楽配信会社を巨額買収/2018/09/26 The News Masters TOKYO 出演まとめ

自分「パンドラ、買われちゃいますね~」

タケ小山さん「パンドラ。シリウスXMホールディングス?」

自分「日本で言えば、ラジオ局が音楽を配信しているスマートフォンのアプリの会社を買収するような形ですね」

タケ小山さん「雰囲気的には逆なんじゃないかと思ったんですが」

自分「そうですね。音楽を配信しているという会社という意味でいうと、配信すること自体に価値があるわけではなくて、『快適な体験を定額で提供するサービス』を作っている会社を買う、という感じですね」

タケ小山さん「要するに、Apple使っている人は配信元のiTunesからダウンロードして買ったりしているけど、そいういうのではなくて、ラジオ局側が配信元のコンテンツを買って聞いている側に提供する、ということ?」

自分「そうですね。体験を提供する(ということ)」

西川さん「体験??」

自分「今まで、音楽をダウンロードするのにお金がかかっていたじゃないですか。ダウンロードするたびにお金がかかっていたんですけども、定額の月額で買うとずっと色んな曲が聞き放題。今、ネット事業の中でもその定額購読っている流れが、すごくきてるんです。音楽に限らず。

音楽の場合だとダウンロードのたびにお金が発生していたんですけど、それは2012年がピークで、そこからどんどんダウンロードの市場というのは小さくなってきているんです。今は聞き放題の方にどんどんフェーズしていっている」

西川さん「そんな中、パンドラがラジオ会社を買収することによって何が起こるんですか?」

自分「流れとしては、体験を買う、時間を買うっている流れがきているんです。あくまで、今まではダウンロードすることでお金を払っていた。でも、逆にダウンロードしてしまえばもうお金は払う必要はなかったですよね。

例えば500円でダウンロードしたとして(一度ダウンロードした曲は)聞き放題ですけど、ビジネスする側からしてみれば、聞き放題なら、ある意味ひと月ごとに50円払っているともいえる。そうすると、10回以上聞くなら(1回のダウンロードが)500円のところ(を月額制にすれば)権利者にお金が落ちやすくなる…といえるんです」

タケ小山さん「商売で言うと、固定費というか確実にユーザーから定額の金額が落とされていくという意味では、企業側や運営側としては、見込みとしてこれだけお客さんが居れば大丈夫というのが分かりやすい」

自分「そうですね、それが分かりやすいということもあります。それに、ユーザーからしてみれば、月額払うだけでいくらでも体験を得られることができるというのが、大きくなるんですよね」

タケ小山さん「でも、日本ではこんなことできないでしょ?」

自分「もちろん、大元の権利の状況とかもあったりしますが、定額購読という流れは止められないかなと。

例えば、前に違法で漫画が読み放題のサービス『漫画村』というのがありましたよね。もちろん各社、同じように漫画を読むサービスを出しているんですけど、みんなは違法なサービスの方を使っていました。これは何でかっていうと、『使いやすいから』『たくさんあるから』。この“快適さの体感”を提供することの方にユーザーはどんどん行っちゃうんですよ。

昔、音楽の配信とかも違法配信でダウンロードできちゃって、音楽をタダで聞くことができるということがありましたが、ちゃんとした企業がお金を使ってスマートフォンとかネット上のサービスをきちんと構築したら、ものすごく使いやすいんですよ。使いやすくすれば、ユーザーはちゃんとそちらにお金を払って快適な体験を買ってくれるということです」

タケ小山さん「じゃぁ、シリウスXMホールディングスっていうラジオ局は、いわゆるサテライトのラジオ局なんだけど、ここが曲の配信のコンテンツを買ったということは、リスナーに向けて何をやるの?」

自分「“快適な音楽を聞く体験”を提供できるかたちになる」

タケ小山さん「じゃぁ、特定のミュージシャンの楽曲だけ聞きたいという人にはその音楽だけをラジオ局でずーっと流してくれるということ?」

自分「それが使いやすいように。いわゆる複雑な操作なしに、これ選んで、あれ選んでスワイプして、チョイスして…とかやってたら面倒臭いじゃないですか。あくまでも、音楽に対して(お金を)払うんじゃなくて、“音楽を聴く環境”に対してお金を払うかたちになるんですよ」

タケ小山さん「じゃぁラジオと一緒じゃない?」

西川さん「もともとこのシリウスは、自動車向けの有料サービスなんですよね。だからもともとお金払ってる」

タケ小山さん「そうそう。だからサテライトのラジオステーション、インターネットって今WiFiとか電波でとんでるから、カーナビゲーションシステムの中に、ステーションとして入ってきて、要するに自分で選んで聴けちゃうってことなんでしょ?」

自分「そうですね。それで、ラジオとかテレビって体験にお金を払うっていう感触がなかなかないと思うんですよ。なんでかっていうと、無料だし、あと電源を入れるだけで聴けるので。それでラジオもテレビもあとは選ぶだけで操作が2個しかないんですけど。

でも、インターネットのサービスって、起動してパスワードを解除して選んで、曲を選んでって…たどり着くまでにステップ数がすごく多いんですよ。それをいかに快適に動かすかってところに、みんなスマートフォンアプリの会社は注力してるんです。

ある意味(シリウスXMホールディングスは)、それをできる会社を買ったと言えるんですよ。そこがちゃんとしていないと結局、無料で違法で作られている方が使い勝手がよかったらユーザーはそっちの方に行ってしまう。そうするとお金が権利者に落ちない。その結果、その業界そのものがダメになってしまう」

タケ小山さん「もともとパンドラっていうのは、無料の音楽配信会社?」

自分「そうです。もちろん違法じゃなくて、権利とかを契約したうえで行っている会社です。そこに、今度はラジオ局がのっかってくるかたちになります。だから、すでに体験ができあがっているので、そのユーザー体験に対していろんなサービスがのっかってくる。その体験できるサービスを持っている会社が価値を持っている、今回でいうと3900億円の価値を持っているということなんですよ」

西川さん「じゃぁ今までシリウスが発信していた放送はどうなるんですか?」

タケ小山さん「それはサブチャンネルでいっぱいあるから選べるってことなんでしょ?」

自分「そうですね。だからradikoっていうサービスがあると思うんですけど、ここのサービスもほんとはもっと使いやすくなってしかるべしみたいなところがあるはずなんですけど…」

タケ小山さん「そうですよね。あれはステーションしか選べないけど、たぶん曲で選べるような時代が来るはずなんだよ。60年代の昭和歌謡とか、そういうことでしょ?」

自分「そういう放送とかも、もっと選びやすくなる。体験みたいな部分をちゃんとやっているradiko第2みたいなのがあったら、そっちの方が価値があるっていって、みんながきはじめるかもしれない」

タケ小山さん「そっちはボーダレスだから、基本的にはサブスクライブ(予約購読)で定額で980円払うと、日本の音楽、ジャズもロックも全世界の音楽が聴けるんだ!っていうのができる可能性もあるということだよね?」

自分「あります。そういう体験も含めてユーザーに提供する価値っていうのがどんどんインターネット上のサービスでは増えてくるし、それを定額で楽しめる世界になってくると思います」

▼放送後の話

この話もちょっと難しかったなー。放送中でも言いましたが、ラジオって聞くのは一瞬なんですよね。体験的にはむしろ簡単な部類に入るし。テレビに劣ってるところがあるとすれば、電波をあわせなければならないところ。聴かれなくなったのは単にハード普及の問題ですしね。なんで、ハードとしてスマホ、スマートスピーカーは大きい。

パンドラ買収は車普及のUSならではで、日本だとちょっと実感しにくい。ただ、車載のカーナビがたぶんスマホ連結か、そもそもスマートスピーカー的なものに置換されていくはず。

こういうリリースもあって、いかに選ばれるようにするかってのが大事になってくる。ラジオの存在感は増すはず。その時にライブだけでなく、タイムフリー、エリアフリーすら判断してユーザに送出できるようになると思うんですよね。

まだまだラジオはテクノロジーで進化する余地があるメディア。楽しみ。

クリエイターというわけではないですが、受けた支援は自分のモットー「みんなでしあわせになろうよ」のために使います!