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実録マッチングアプリ大作戦7

このお話は僕がマッチングアプリで真剣にお相手を探して、本当に恋人ができるのか、あるいはできないのか、のスーパードキュメンタリーです。

初めて読む方はこの話からも楽しめるが、一応こちらの2から本格的に始まってるわ↓



数人の女性とお会いし、楽しいがうまくいかない。

複数人お会いして可愛い素敵な人と実際お会いしたりもしたが何も起こらなすぎる。
noteに書くとしても、
ご飯を食べた。
可愛かった。
楽しかった。
駅でお別れした。

しか書けないくらい何も起きない。
お相手に全然ハマらん時もある。
幸い素敵な人ばかりだが
また改めて結婚とか考え出したら僕も中々踏み込めない。
軽くお付き合いしてみる的な発想でやっていない。
軽くお付き合いしてみる的な発想でやればよかった。
いきなり知らん人と生涯を共にするって正気の沙汰ではないのかも。

これは無理かもと。もはや課金だけは積極的にしつつ惰性でやっていると、一人の女性とマッチングしました。

イリオモテヤマネコさん(仮名) 20代 医療従事者 京都府在住

マッチングアプリには「あなたにおすすめ」的な感じで、僕のプロフィールなどを分析して相性のいい女性を数人ピックアップして紹介してくる仕組みがあるのですが、なぜかやたらと京都府在住の女性を紹介してくる傾向がありました。
京都の人と付き合ったこともなければ何なら友達もいないくらいゆかりがなかったのに。
そんなに京都と相性いいなら教えといてくれや。

イリオモテヤマネコさんは、そのようにおすすめで出てきた京都府在住の方で、プロフィール写真は顔面全身全角度複数枚あり、スーパー人気会員。
加工は本当にお化粧程度。
アイドル好きなぼくの好きな感じとはまた違うのに女性ぽさ満載という、今までにない感じで過去最強と言っていい。
プロフィールの文章も丁寧で非常に好感が持てる。
まさにイリオモテヤマネコくらい天然記念物のような生き物だったので迷わずいいねを送りました。

いくらか時間が経ち、ミラクルマッチング成立。
やりとりが始まり、

真摯に、そして紳士に、1000ラリーほど丁寧なやりとりを重ねた結果お会いできることになりました。
夜景がお好きという事で、夜景の見えるレストランに行くことになりました。
思えば今まで夜景の見えるレストランなど行ったことなかったなと思いました。

そら振られるわと、本当気が利かなくてすいませんと、過去のお付き合いした女性に向けて土下座しときました。

迎えた当日は先に待ち合わせ場所に到着しているイリオモテヤマネコさんの元に急ぎ足で向かいました。
つまりこの時点で来ないという危険はクリア。
いつ敵(顔が全然違う知らん人)が出てくるかわからんと思いヒーローくらいキョロキョロ周りを警戒しつつ確認した所それらしき方がいらっしゃいました。

「イリオモテヤマネコさんですか?」

「そうです」

お会いした率直な感想としては、僕が今まで会ってきた生き物の中でも、こんな可愛い方いらっしゃったけ?というくらい可愛い方でした。

プロフィール画像とも変わりないままの感じ。
加工恐怖症クリア。
神様は見ているのかもしれないと思いました。

これは最後のチャンスだと。絶対に成功しなければならない。今まで女性と会って緊張したことはなかったですが、失敗の許されないマッチングが始まったと緊張しながら、夜景の見えるレストランに行きました

レストランに着き軽い疑問発生。
席は夜景が見える席で、座席が窓際と通路側に分かれておりました。
女性が上座(窓際)に座らせるのが通常ですが、そちらに座ると夜景が見えません。
かといって夜景見える側に座ると通路側(注文などを受け取る)方に座らなくてはなりません。
悩んだ結果、隣の席にカップルがいて、女性側が窓際に座ってたのでそれに習いました。

これ夜景レストランの意味なくない?
女性から見える景色は地上のレストランのそれと同じわけですから。
ちょっと背中が寒くてうるさいくらい。
夜景背景の私を見せてみたい人ってこの世におるん?男としては後ろチカチカしたとこより顔丸見えの方がええねんけど。
どういう意味なのか。


構図としては、僕と若いカップルの男だけが夜景を見ている状態でお食事が始まりました。

「何食べましょう?」

「何がダメなんでしたっけ?」

「僕は火通ってる魚介類全部ダメです」

「私は辛いものがダメです」

「アプリにそう書いてましたね」

たわいのない話をしながら注文を済ませました。

会話の中で
「苗字なんですか?」
と何気なく聞いたら

「初対面で教えるのは・・」

なぜか難色を示されました。
理由を聞けばそれで怖い思いをしたことがあるようなお話しだったので絶対にそうかという大納得理由です。

さすがスーパー人気会員。

つまりいかに今からの食事で信頼を得れるかにかかっている。
なおさら気合い入れて飯食べなければいけないと思っていると、横から気配を感じます。

見てみると、上述した横に座ってるカップルが、こちらをしきりにチラチラ見ながら、信じられんくらいこそこそ話している。何やら口には笑みを浮かべている。

横カップルと僕たちは席間隔が近くこちらの会話がまる聞こえだったので、どうやら僕たちがマッチングアプリで会っている男女という事を察知し、それを笑ってきてるようでした。

何やこいつら。見てくんな死ねや。

この世の夜景が見えるレストランで唯一死ねやと心に思いながらご飯を食べだしました。

一度気になったら全く集中できず、その横カップルの方ばかりに意識が入ってしまいました。

しばらくして横カップルが静かになり、ようやく集中できると思ってちらっと見たら、二人とも携帯を打ち込みながら笑ってました。
おそらくライン上で僕たちの初対面丸出しのぎこちない会話を嘲笑してるようでした。

何やこいつら。携帯叩き割って、QRコード注文できひんようにしたろかなと思いました。

しかし、こちらは一世一代の大チャンス、さすがに横カップルばかりを気にしていられないと、イリオモテヤマネコさんに集中しました。

お話を聞くとさらに好感が持て、さらに信頼を勝ち得なければならないと思いました。

後半ようやく打ち解けてきて
「敬語やめましょうか」

「そうですね。やめましょう」

の第一段階にたどり着いた時、お店の電気が消えます。

ん?

停電?


店員がハッピバースデーを歌いながらケーキを運んでました。

そのケーキは僕たちの席を通り過ぎ、
横カップルのテーブルに置かれました。

横カップルの女は誕生日でした。


生まれてくんなや!!!!!!!!!!!!!!

なんでよりによって俺の大事な時に隣のチラチラ見てくる信じられんくらい袖の短いワンピースを着てる知らん女が今日誕生日やねん!!
死んでくれや!


そう思いながらも店内は拍手に包まれました。
イリオモテヤマネコさんも拍手されてました。
僕は手を拍することはありませんでした。

拍手の中、そのケーキと顔を押さえながら喜んでる女性を、横カップルの男が写真を撮ってました。

その時やっと夜景はこのためのやつかと謎がとけました。
ケーキと夜景と彼女が写った写真を撮るための店なのかと。
思い出を彩る夜景をそえたかったのだと。
どっかいけやと。

「え〜ありがとう」

女性は泣きそうに彼氏に感謝を伝えてました。

ケーキ食べたろかと思いました。

店が明るくなり、ようやく通常の状態になってすぐ、席の時間が終わりました。

イリオモテヤマネコさんの苗字を聞けることはなく、お別れをし、終電より二つ早い電車に乗って帰りました。

帰り道ケーキの口になっていた僕はチョコレートケーキを買って帰りました。普通に美味かったです。



誕生日ケーキとかじゃないケーキを食べているこの時の僕は、イリオモテヤマネコさんともう一度会える機会があるとは夢にも思っていませんでした。

続く

ピン芸人のシゲカズです。常々サポートしていただきありがとうございます。さらにサポートしていただけるとさらに頑張れますのでさらにさらによろしくお願いします。