2020年8月30日

8月下旬が7月下旬と取り違えられたとしか思えない酷暑だった。

横浜と上野を東海道線で移動する。二階建て車両でたまには下側に乗るのもいい。二等船室の窓か水族館の水槽から外を見ている気分になる。線路がもう街よりも高いところにあるから、見上げるものといえば駅のホームぐらいだ。プラットホームの縁石が断面図で見た水面の役割を果たし、このとき私たちは喫水線から頭だけ出して体は水の下にある。

政治学科に在籍している人の中には、なんとなく選んだ学科なのに「政治に興味あるんだ?」「もしかして政治家目指してるの?」などと訊かれて困ったことのある人もいるかもしれませんが、例えば二人以上の人が連れ立っている中で一人だけマスクをしていないという光景を見かけたら、そこにはもしかしたら力関係の作用や誇示があらわれていないかと考え、またそれは家族や夫婦、先輩と後輩、上司と部下、ジェンダーのような属性関係に付随していないかとも考えてみるような、そんな視点を持っていていただければ、十年ほど前になんとなく政治学科を出た私としても、たいへん心づよくおもうのです。

権力のコードや体系はどこか遠くあるものでも、いわゆる「政治家」や行政の振る舞いだけのものでもなく、むしろ私たちが大部分の時間をその中で過ごし、影響され、目の当たりにしているものです。それを読み解いていく学問が政治学である、ともいえるのではないか、と私は思います。そのようなことをとっくに誰かが言っていたならご容赦ください。

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