プリキュア映画感想乱文

はい。『映画プリキュアミラクルリープみんなとの不思議な1日』観てきました。
https://spring.precure-movie.com/ (※観てね)

やっぱりプリキュアは哲学。

「光」の力で時間の前後の方向性ができて未来へ進むとか、時空と物体と生命の連関を感じさせる描写とか、ちょっとした変化やランダムネスを生み出し続けることが固定性を打ち破って違う結果をもたらすとか、「記憶」「夢」が「想像」「創造」に転化するとか、深いテーマが詰まっておる映画であったぞ。

時間は光である(あるいは光が時間である)という言いすぎかもしれませんが、光と時間の関係は物理学や哲学でも考察されてきたテーマだったはず。
https://museum.seiko.co.jp/knowledge/story_04/

今回の映画には「昨日」を司る「リフレイン」(繰り返す)と、「明日」を司る「ミラクルン」(未来は来る)が出てきます。確かに月日って繰り返されながら進んでいくものですね。12月31日まで来れば1月1日に戻るし、星の運行、潮の満ち引きは繰り返されるけれど、その中で生成変化するものは決して前と同じものではない。四季は繰り返されなければいけないが、時間は前に進んでいかなくてはいけない。

毎日同じことの繰り返しだと思ったら、前よりもちょっと早めに動き始めるとか、パターン化した行動に変化を加えてみると、これは明日だと思えるような明日が来るのかもしれない。
※プリキュアの映画の話をしています

今回プリキュアは今までが繰り返された方が幸せだと思っている者から未来を保護し解放するために闘うんですが、繰り返しが規定された結果を意志と想いによって凌駕した側が過去への理解と癒しをもたらすことで、「繰り返し巡るもの」と「未来」の再統合が果たされるんですよね。

役割を終えたと認識され消失の予定を付与されたために、「時の進行を封印し、未来を到来させずに今までを永遠に繰り返すこと」を望んでしまった者がいる。それでも時間を進めた先に、追憶の場所を保存し、そこに新たな意味付けや役割や「未来の思い出」を付与しようとする人たちの意志が現れる。古いものを残し守っていくこと、循環を続けていくことと、未来に進んでいくことが合わさっていく。戦いの後に和解と共生の哲学が提示されるのがプリキュアのいいところだ。キュア("cure")は「治す」存在なんですよね。

特に当代のプリキュアは「ビョーゲンズ」に対する「ヒーリング」(癒し)で、今の状況にぴったりなんだけど、さすがに企画段階ではCOVID19は影も形もなかったと思うので、文字通りのdiseaseやpandemicにとどまらない世界への洞察と先見の明に基づいた偶然の符合であると言うよりほかない。

「未来」が意味するものは、どのように未来を志向するかによって変わりうる。

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