2020年8月末の落書

病気が悪くなったから辞めるというならば、
病気が良くなったからやっぱり続けるということもあるかもしれない。
しかし大事なのは首相が誰かということよりも、政権党がどこかということだ。
前者が断絶するか持続するかに気を取られている人は、
後者の持続を忘れ去っている。

首相が変わっても政党が同じなら変わらない。
首相が代わればまともになるならば、もうとっくにまともになり始めていたはずだ。
現首相の健康状態が良くないのは今に始まったことではない。
少なくともこの1年間は、転換を始められる環境が自民党の議員諸氏に与えられていたはずだ。
しかしこの間自民党の議員たちから出てきたのはお肉券やお魚券である。
その間が抜けていること、首相本人と変わるところが何もない。
党員票と議員票の合計で安倍氏を党総裁に選出したのも彼らである。
けだし安倍晋三氏は当代の代表的自民党員であったのだ。

首相の在任期間などは首相個人の実力の卓越に比例しない。
安倍首相が史上最も在任期間の長い首相でいられたのは、
自民党がその間選挙に勝ち続けていたからだ。
もっとも政党の議席の数も実力の卓越に比例しないようではあるが。

選挙権を持つ国民のうちの2割しか自民党に投票していないのだから、
自民党が票を取りすぎているわけではなく、
他の政党の集める票が少ないか、相討ちして自民党に勝利を献上している。

安倍首相の在任期間は、
自民党と比べた野党の相対的弱さを示している数字である。

しかし、もはや安倍氏からは離れよう。
安倍内閣が7年8ヶ月続いたというより、
自民党政権がいま7年8ヶ月続いているのである。
これが1回目の政権交代までにかかった38年間よりも長く続くのか、
それとも2回目の政権交代までにかかった13年間よりも短くできるのか。
気にするべき期間はそれだけだ。

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