自律と自立を育てる教育

マリア・モンテッソーリによって創出された教育方法は、「敏感期」という感受性が特に敏感になる時期を利用し、「知性のエネルギー」を発揮させることで、”じりつ”を育てることである。

2つの”じりつ”

(1)自律
考える力と心をもち、考えるとおりに活動を展開できる力。

(2)自立
自律が前提となって、自信と責任をもって行動する力。

これらを敏感期に育むことが、モンテッソーリ教育のゴールである。

3つの敏感期

(1)秩序感の敏感期
順番、場所、所有物、習慣にこだわる期間。
環境全体をまとめたり、全体の中での部分の相互関係の理解ができるようになる。

(2)感覚の敏感期
五感を洗練していく期間。
将来の芸術性、専門性、道徳性などを身につける土台をつくる。

(3)運動の敏感期
随意筋肉を訓練する期間、全力を出し切ることを惜しまない珍しい期間。
100%を出し切る環境を作り、経験させることが後々の粘り強さにつながる。

知性の働き方

(1)論理数学的
分析、集合、比較、対応といった区別する働き方。

(2)哲学的
抽象化、因果関係、類推といった働き方。

また、知性には、自発性持続性のふたつの性質があり、これらの性質を敏感期のエネルギーとともに十分に発揮させることが重要である。

親がやるべきこと、やってはいけないこと

目的と手段
目的は、あくまで”じりつ”であり、自ら思考し、判断し、行動できるようにすること。何か目の前のことをただやることが目的ではない。

日常生活のことを手段、機会として捉えて、ひとりでできるようにすること。それが親のやるべきこと。

安易な手助けにより、機会を奪ってしまうことなく、子供が集中しているのを見かけたら見守ることが大切。

その先に”じりつ”がある。

子供ができるようになる教え方

(1)対象をひとつだけ取り出す

(2)動作を分析し、順序立てる

(3)難しいところをハッキリさせる

(4)動作を見せる間は、言葉は使わない

(5)正確に実行し、精密なところに心を込める

(6)教えながら教える

(7)自分からする自由を与える

雑感

本書で述べられた教育方法が絶対的に正しいものであるかはともかく、
(1)機会を与えること、(2)機会を与えたら見守ること
この2つは、子育てに限らず、人材育成において、当たり前のことであるが、実践の難しい重要なことであると思う。
この2点を実践するには、本書で述べられているように育てる者自身も「敏感期」であるということを自覚し、かつ寛容な心をもって臨む必要があるといえる。