和製英語
今日は、「そんなに目くじら立てなくても」とみなさんに言われそうな話。私の拙い英語力の範囲内で書いているので、ご容赦を。
おかしな「和製英語」の話題は各所で見かけます。和製英語とは、一種の和製外来語、日本で日本人により作られたものです。英語圏では別の表現がされるため、理解されない場合もあります。それでも、日本人にはなんとなくわかるのが特徴です。代表例としては、「テイクアウト」。「お持ち帰り」の意味で使用されますが、少なくとも、私がアメリカで仕事していた時はあまり聞いたことがありませんでした。「こちらでお召し上がりになりますか、お持ち帰りですか」に相当する英語は、「For here or to go ? 」だったと思います。
コロナ関連でも和製英語かなと思われる用語がいろいろ使われています。
・ピークアウト
病院でのカンファランスでも「この川崎病の患者さんの血小板数はピークアウトしました」などと言う医師がいて、和製英語として定着しそうな勢いです。本来は pass the peak とか、「患者数はピークを越えた → Patient numbers have peaked」のようにpeak を動詞として使う方が一般的のように思います。
・オーバーシュート
私には、「行きすぎる」、「的をはずしてしまう」、「目標地点を越えてしまう ← 飛行機が着陸地点を通り過ぎてしまうような」のように聞こえます。科学用語もいろいろ調べましたが、あてはまりそうなものはありませんでした。爆発的増加というのであれば、単にexplosionやspike をそのまま使うか、あるいはexplosive riseなどかな。英語もどきで言うより「感染爆発」と日本語で言った方がよっぽどわかりやすいかなと思います。たしか、最初はそう言ってましたよね。
注1: 新型コロナウイルス感染症対策専門家会議で、オーバーシュートが「2日ないし3日のうちに累積患者数が倍増し、しかもそのスピードが継続的にみられる状態」という意味で使用されたそうです。公式な和製英語!?
注2: 米国のメディアで「集団免疫に達した後も感染者が増え続ける状態」という意味で使われたことがあるそうです。「ある点より行きすぎて増える」という本来の意味で使用されています。
・ソーシャル・ディスタンス
social distanceも違和感を覚えます。社会の中での他人との距離=心理的な対人距離を表す用語ではなかったかな。感染予防に人との距離を保つことを言うのであればsocial distancingと動名詞にするならいいとは思いますが、「physical distancing = 物理的な距離を置くこと」の方がより的確かもしれません。
・アフターコロナ
ウィズコロナと並んで、なんとなくわかる気がする和製英語。論文などでは、post pandemicやpost COVID-19と書かれているのは見たことがあります。ちなみにウイズコロナは「みんなでコロナに感染」みたいな違和感(ちょっと言いすぎかな?あくまで個人的感想です)、あえて言うなら「Coexistence with COVID-19」でしょうか。
・Go To トラベル
これは説明しなくていいかな。馬から落馬して、頭痛が痛いです(笑)。トラベルって普通、長期、遠方への旅なんだけどなあ。標語としてわかりやすい単語を並べてみたということでしょう。まあ、それはそれでいいか。
それにしても為政者もメディアも英語を使うのが好きですね。正しい英語ではありますが、クラスターは集団感染、パンデミックは世界的流行の方がわかりやすくていいと思います。やたらに英単語を使うと時に滑稽に感じてしまいます。