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東京都の新型コロナウイルス感染症 新規陽性者数の動向 何が起こっているんだろう? 

東京の新規陽性者数の動向です。年度末~年度初め、GWにより一時的な増加はありますが、ゆるやかな減少傾向です。ここから後はただの仮説、あるいは問題提起といってもいいかもしれません。今日は、さきほど厚労科研の報告書を提出したところで頭がはたらきませんので、だらだらと書きます。適当に読み流してください。

右の図は1月以降の東京都の新規陽性者数、7日移動平均です。左は現時点では仮説です。厳密に計算したわけではないですが、図にあるような複数の波(BA.1の増加とそれに続く子どもの感染、子ども→成人の感染の増加、BA.2による波、そして新しい複数の変異株の出現と再感染によるゆるやかな波)の合算で、今のような曲線になっていると推測しています。感染による免疫獲得が弱いことも、今のだらだらにつながっているかもしれません。3回目ワクチン接種がもう少し進んだら減少傾向がより強くなるかな?

この仮説を検証するためには、BA.1→BA.2などの変異株の移り変わりの詳細データ、子ども→成人感染数、再感染率、ワクチン接種回数による感染率の差異のデータなどがほしいですが、ネット上ではすべては探せませんでした。

ここからは世間話。最近は新型コロナウイルス感染症の動向もかなり変わってきました。無症状者・軽症者が増えたこと、子どもの感染が多くなったことなど複数の要因により、新規陽性者数の解析の意義は相対的に低下し、他のパラメータも合わせた総合的な解析の重要性が増してきました。もちろん、陽性者数に意味がないということではありません。オミクロン株感染総数が大きく増えた地域では以前の株の時よりも死亡者数は増加しましたし、子どもの7割以上が感染したとされるアメリカでは小児が1000人以上亡くなっています。全体的な傾向を知るうえでは今でも大切なデータです。他のパラメータとしては、入院数、重症者数、死亡数、そしてそれらの年齢分布が大事です。ワクチン接種状況と接種回数による感染率、重症化率の差も参考になります。

東京都のホームページより 2022/5/27参照

感染の全体像を把握するには、私はそれに「感染者のその後の経過」が重要と考えます。後遺症が残り、その後の生活に支障をきたしている方は臨床の現場では決して少なくありません(インフルエンザではそういうことはあまりありません)。細胞が老化する、嗅覚の領域や記憶に関する領域の灰白質が減少する、糖尿病が増えるなどと不安なデータもいろいろ発表されています。小児も含めて、広範囲にわたる調査・研究が早急に必要でしょう。

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