訪問看護ステーションのつくりかた ~第3回 カネ~
こんばんは、葛飾区の訪問看護師、重本です。
今回は、訪問看護ステーションのつくりかた第3回、カネ編です。
これまでお話ししてきたように、数年来起業を胸に秘めてはいたものの、毎日の生活、老後の資産形成、たまの旅行……自己資金はほとんど貯められていませんでした。
個人的には、「自己資金がないと起業はできない」という一般通念に風穴を開けたい!、という思いもありました。
いや、貯金できなかった言い訳ではなく。
そこで、起業にあたっての資金をどこから調達するか。
情報収集のなかで、国民生活金融公庫という組織があることを知ります。
通称「こっきん」さん、現在は組織改編で日本政策金融公庫という名前になっています。
調べたところ、ここに融資を申請するには、「創業計画書」という書類が必要になります。
さて、看護師しかしていない私には、そんな書類の書き方はサッパリわからない。
関連書籍を何冊か読み漁り、ネットサーフィンをしていると、東京都の創業支援の一環で、「STARTUP HUB TOKYO」という施設に巡り合います。
丸の内のビルの一角に、フラリと立ち寄って使える共有スペースと、コンサルタントや弁護士など専門家の先生たちに相談できる機会があり、ときどきセミナーも開催している。
これを使わない手はない!とさっそく無料登録、仕事の合間で何度か通ってコツコツ書類作成を進めました。
少しずつですが書類作成が進んでいくと、さてこの書類がどれだけ説得力があるものか、自分では何とも判断しづらい。
ここで私の助けになったのは、このSTARTUP HUB TOKYOの上の階で運営している「TOKYO創業ステーション」が実施しているサービス、創業相談員によるプランコンサルティングです。
専属の相談員が無料で1回1時間ほど相談に乗ってくれ、私はこの相談員さんの助けを借りながら、創業計画書と、さらにそれを深堀りした事業計画書を書き上げることができました。
専門の知識を持つ相談員の支援が無料で受けられたことはもちろん助かりましたが、それにまして、創業準備を進める中で一人で孤独や不安に苛まれていた私の支えが、丸の内に持てたことは、救いでした。
相談員さんと二人三脚で書き上げた事業計画書を、日本政策金融公庫に持ち込んで融資を申し込み、晴れて満額回答を頂くことができたのでした。
ただ、この過程で相談員さんから「自己資金がゼロでは見栄えが悪い」とのアドバイスがあり、親戚に頼んでまとまったお金を借りることになったのは計算外でした。
書類作成と並行して、私は区が行っていた創業支援のセミナーにも参加していました。
セミナーを受講することで公庫融資の自己資金要件が緩和されるメリットもあったのですが、今回は既に親戚からお金を借りられたため利用しませんでした。
やはり物を言うのは、事前の情報収集であり、廃れずに生き残っている一般通念にはそれなりの根拠があるのだと、改めて感じた一件でした。
審査は通ったものの、申請時点でまだ法人登記が完了しておらず申請は個人で行ったため、現在は改めて法人で申し込みをし直すところです。
もし今後、予定通りにステーションが開業に至らないことがあるとすれば、考えたくないですが、ここで何らかの問題が発生したと考えていただいていいかもしれません。
今回の件の中で私がいちばん心に残っているのは、事業計画書を書き上げる過程で資金繰り計画を作っているときのこと。
利用者獲得が順調にいかないと資金がショートして会社が潰れてしまう、という、言われてみれば至極あたりまえのことを、エクセルをいじってはじき出される真っ赤な数字を見て実感しました。
その瞬間。
一人、パソコンに向かう背中に、今まで経験したことがないゾワゾワ、ゾクゾク感に襲われたのです。
会社の社長になるということは、こういうことか、と身をもって思った出来事でした。
次回は、情報。
最後まで読んで頂き、ありがとうこざいました。
重本 誠之
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