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民間航空発祥之地 風景印と記念碑

 千葉県千葉市稲毛区にある稲毛いなげ郵便局の風景印には「民間航空発祥之地」記念碑が描かれています。

民間航空のパイオニア奈良原三次

 民間航空とは軍事航空に対する言葉です。

 1910年(明治43年)に徳川好敏とくがわ よしとし(1884-1963)陸軍大尉が代々木(東京都渋谷区)で購入したフランス製のアンリ・ファルマン複葉機による国内初飛行に成功しました。

 一方、海軍を退役した奈良原三次ならはら さんじ(1877-1944)は1911年(明治44年)所沢飛行場(埼玉県)で自ら製作した飛行機を飛ばすことに日本で初めて成功しました。

 この奈良原が作ったのが稲毛飛行場です。当時は海岸だった場所ですが潮が引くと2~3km近く干潟となり、砂質がしまっていたため、滑走路として利用できたという利点があったためです。

 この稲毛飛行場で、白戸栄之助しらと えいのすけ(1886-1938)伊藤音次郎いとう おとじろう(1891-1971)を指導しました。

 稲毛飛行場は1917年(大正6年)に高潮で壊され閉鎖されました。千葉市が製作した100周年記念漫画の中でもこの偉業が取り上げられています。

記念碑の地図

 稲岸公園にあります。今は埋め立てられていますが、当時はこの辺りまでが海だったということなんですね。最寄り駅はJR稲毛海岸駅か京成稲毛駅です。

碑文

 碑の上部は奈良原が製作した鳳号の翼を模しており、横幅は9メートルあります。碑文を記した伊藤音次郎は奈良原三次の弟子でした。

民間航空発祥之地 笹川良一書

一九一二年五月 奈良原三次氏 この海浜に初めて練習飛行場を創設教官白戸栄之助氏により 飛行士の養成をはじめた
この地がわが民間航空発祥の地である

一九七一年七月
伊藤音次郎 記
航空振興財団

 碑には、「奈良原式4号機・鳳号」複葉機の諸元を記載したレリーフもあります。

航空振興財団

 航空振興財団は合併を経て「一般財団法人空港振興・環境整備支援機構」となっています。また、財団法人日本船舶振興会(現在の「日本財団」)が記念碑設立の補助を行ったことがわかる記録が公開されています。

稲毛郵便局

 風景印は郵便窓口で郵便物を差し出す時に押してもらえる赤茶色の絵入りの消印です。郵便窓口に「風景印を押して出してください」とお願いすれば、差し出す手紙やはがきに押してもらうことができます。また、63円以上の切手を貼ったカードなどに押してもらって差し出さずに持ち帰る(記念押印)こともできます。

 風景印は1978年(昭和53年)9月20日から使用開始されたものです。郵便窓口は平日のみの営業です。



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