クライシスアークからのメインクーン

クライシスアークが4/21に発売し、メインクーンにも新しいカードが供給された。今迄から構築が大幅に変更されるため、今回は今までの振り返りとこれからの動きでも書いてみる。

三行まとめ
・今までは連続攻撃がIGOB後に限られてて速度が微妙にマッチしてなかった
・今回のアークゼクスでとうとう連続攻撃が可能になった
・埋められた盤面をひっくり返すのがちょっと大変

◆まずは追加されたカードの確認

今回導入されたアークゼクスから確認していこう。

新しい力

表記上は8コストだが、プレイヤーEXの効果でプレイする前提のため、実質的なコストは2コストだ。パワーは11000と今までの8コストの標準値となっている。プレイして登場した場合にはノーマルスクエアのゼクスを手札に戻しながら手札かチャージから5コストを登場させる。

効果は除去とゼクスの1体の登場に見えるが、実際はもっと複雑な効果だ。まずバウンスする対象を相手のゼクスに限定していない。自身の行動済みゼクスを手札に戻せるため、4回目の連続攻撃に使うことができる。効果で出すゼクスについてはメインクーンには2面展開可能な5コストゼクスが2種類いるため、どちらかを出せば追加の2回攻撃を作れる。
つまりこのカード、2コストで登場する11000で、ひとたび場に出れば追加コスト不要、除去を相手に向けても3回攻撃、自分に向ければ4回攻撃を保障するということになる。

加えて追加されたヴォイドブリンガーがその効果を後押しする。メインクーンの特徴の一つとして、ブレイクが3コストと非常に低いコストに設定されていることがある。これによりメインクーンが多く持っている3コスト以下を登場させる効果で割と頻繁に非ブレイク状態でスクエアに出るわけだが、今回登場したヴォイドブリンガーがそれをさらに後押しすることになる。非ブレイクとはいえスクエアに立てばリリースイベントを使えるわけで、さらにリリースしたトークンは実質2打点だ。もともと強かった展開能力にさらに磨きがかかったと言ってよいだろう。

このように強力な効果が搭載されたアークゼクスだが、これを採用するにはプレイヤーEXを採用する必要があり、つまりIGOBを諦めることになる。IGOBを諦めるということは同時にイデアライズが使いにくくなり、IGOB関連シフトやIGOBを参照するヴォイドブリンガーを諦めることになる。こういったデメリットと釣り合うだけの効果を持っているのだろうか。

◆今までのメインクーンについて

メインクーンは最初にパートナーゼクスとして実装された《ニャインラブス メインクーン》から継続して低コストのゼクスを踏み倒して登場させる効果をコンセプトとしていた。これは最初のIGOB、そしてイデアライズでも引き継がれる。他のプレイヤーが高コストを条件を満たして踏み倒すのに対しこちらは条件が非常に緩く、また1ターンに似たような効果が何度も連鎖して大量展開を可能にしているのが大きな違いであった。

キーカードはやはり《ニャインライブズ メインクーン》と《天満神猫 メインクーン》の二種だ。どちらも3コスト以下を踏み倒す効果を持っている。これらを使ってどんどん追加の打点を出し、早いターンからライフを奪うのがメインクーンの基本戦略になる。自然低コストのゼクスで攻撃することになるため、イデアドライブは使われる前提で動くことが多い。まあ使われてもすぐに後続が空いたスクエアを埋めてしまうのだが。

強力な展開能力に最後の一押しを追加するのが、夢想<イデアライズ>で追加されたIGOBだ。自身の効果でスクエアを空けてメインクーンを展開する活路を開くことができ、またノーマルスクエアを攻撃によらず対処することで起動効果を使用することを許さない。ヴォイドブリンガーの効果はプレイヤースクエアすらも除去できるため、相手プレイヤースクエア次第では確定で3ダメージ取ることができる。
IGOBについて特に重要なのが、これが自動効果である点だ。メインクーンは1体の登場から連鎖する効果が多数あるため、1回のアクションに複数の空きスクエアを要求されがちだ。例えばイデアライズから《天満神猫 メインクーン》を出し、そこから《ニャインライブズ メインクーン》を出す、と連鎖するとこれだけで4スクエア空いていなければならない。この処理中に起動効果やバトルを挟むことはできないため、どうしても相手のゼクスを攻撃してから展開ということができない。IGOBは自動効果による除去を間に挟むことで、スクエアを空けながら空いたスクエアをゼクスで埋めることができる。これがメインクーンの最大の強みであったと言えるだろう。

◆既存デッキの弱点

強力かつ安定した横展開と早期のダメージが魅力的なデッキだが、一方でダメージ量がおおよそ固定されているという弱点を持っている。というのも純正なメインクーンデッキには、一回目のIGOBまでに自身のゼクスを破壊する手段が入らない。故に先手後手関係なく、3ターン目に2ダメージ与え4ターン目に2ダメージ与えて勝つ、というのがメインクーンの基本的なスタンスだ。後手ならばIGOBによって4ターン目のダメージが安定するが、先手の場合は相手ライフのかみ合い次第で大幅に遅れてしまうことが避けられなかった。それを補強するために色を足そうにも、基礎的な挙動にデッキ内の3コスト以下を参照するものが多いため、安定性を著しく低下させる問題がある。

ましてやこれからはプレイヤーEXや新たなゼクステンドドライブの影響で、さらに多くのダメージを稼がなければならないゲームが増えるだろう。1枚分増えたライフの影響は、ライフからイグニッションされる可能性を高める。増えたライフを額面通り1点分と受け取ることはできない。つまり新しい時代において、旧戦略ではダメージを取り切れなくなる可能性が非常に高い。

◆アークゼクスにより向上した攻撃能力

そんな弱点を補強するのが、今回登場したアークゼクスである。前述の通り、このカードは追加の攻撃権を得られるカードであり、連続攻撃の手段を欠いていたメインクーンにとっては福音となる。また、強力なイデアライズとプレイタイミングを奪い合わないのも重要なポイントだ。ブレイクシステムは強力ではあったが、イデアライズのコストが低く効果も強力であったメインクーンにとってイデアライズできないというデメリットは大きすぎた。アークにはそういった問題がなく、どの効果とも組み合わせることができる。
何より重要なのは、アークゼクスは先手6リソースで使用できる。そう、今まで抱えていた「先手取って相手のライフが多少上振れただけで先にIGOBされて詰め切られる」問題を、1ターン早いアークゼクスが解決するということだ。
アークゼクスは、今まで以上に早期ターンでゲームを決めうるコンセプトになる。それだけでなく、1ターンに与えられるダメージの最大値が向上したことで、不利な状況から逆転する可能性が飛躍的に向上した。

とりあえずで埋めるのやめてもらっていいっすか

一方で、IGOBを採用できないというデメリットは確かにある。特に起動効果を使わせずに倒すことができなくなる、IGOB参照ヴォイドブリンガーを採用できないことでプレイヤースクエアのゼクスを効果でどかすことができない、せっかくキー3つの低コストでIGOBすれば確実に使えるイデアライズの弱体化、といった無視できない側面はある。特にアスツァールやネイを相手にするときは、先に盤面を埋められて返せないゲームは飛躍的に増えるだろう。しかし、アークゼクスのもたらす攻撃力はそれらすべてを上回る可能性がある。

◆メインクーンが得たものと捨てたもの
さて、今後の方針が見えてきた。アークゼクスによる攻撃力の上昇とIGOBを排することによる除去能力と安定性の低下、つまり今後のメインクーンは「相手の展開を止められなくなる前に殴りきる」ということが重要になる。スクエアが空いていなければ展開できないというデメリットを速度で誤魔化す、または相手が展開すること自体を咎める必要がある。
というわけで、試用版のレシピを掲載しよう。

IG枠
非IG枠
EX

目指す動きは
1ターン目
3コストで相手のPSを倒す

2ターン目
くれないかニャでスタートカードを落としながらPSを倒す、またはブレイクを超越者【顕欲】メインクーンをプレイしリリースイベントを使い1点取る

3ターン目
5コストのゼクス2種を使って2面展開し1点取る

4ターン目
イデアライズで5コストを探し2体攻撃で1点取る。アークゼクスでPS周りのゼクスを剝がしながら攻撃しさらに2点取る。この過程で超越者【顕欲】メインクーンを出せていればリリースイベントを使用し、リンクの妖精 メインクーンでレンジ2を付与し1点取る。これでうまくいけば相手のアークゼクス前に勝ち切れる。

今までの構築との違いとしては
・スタートカードの変更
今まではメインデッキに4枚積まれていたマーゲイが廃され、メインクーンのご主人さま ニーナが採用されている。ゲーム速度が向上し2回以上使用できる算段がなくなったこと、IGOBを失ってスクエアをこじ開ける能力が必要だったためだ。
・忍猫の増量
忍び猫は以前から積まれていたが、今回3枚にまで増えた。リソースがただでさえカツカツな昨今、少しでも展開に負荷をかけたい。出す位置を後方にしたい関係上プランに組み込む難易度はそこそこ高いのだが、それを補うだけの遅延効果を持っている。すべてのゾーンでコストが下がってしまうため、降臨や破天降臨がかみ合わない限りスタートリソースによる絶界付与を受けにくいのは残念だ。
・IG枠の選択
今まではいかにスタートカードを殴らずキーを貯めるかを重視していたが、今後はそうもいかない。IG枠含めて除去能力を持つカードを採用する必要があり、またキーの獲得自体は諦められない。つまり必然スタートカードを攻撃してキーを得るという動きをある程度肯定しなければならないわけで、それならば攻撃できるように構築したほうがいいという結論に達した。理想的には1ターン目にドロー効果を持つゼクスで殴り、2ターン目にくれないかニャでチャージを除去して殴ってPEXを開ける動きだ。デッキを掘る効果はアークゼクスや各種コンボを探すことにもつながるため有用だろう。これによりチャージを操作する効果を採用しにくくなったため、早期にくれないかニャで5コスト域を展開する動きに期待できなくなった。
・デュナミスの再構築
アルカナシフトの追加は新時代のパワーラインに対応するため。パワー11000をアークゼクスを除くゼクス単体で抜くには、アルカナシフトの5000上昇が必要になる。天満神猫にしろブレイクにしろ、載せるだけでお手軽に11000ラインを超えられアークゼクスを連続攻撃に温存することができる。5コスト域でもPSの7500をブレイクのパワー6500で倒せないときに非常に重宝する。
降臨関連はこのデッキにおいては詰めのターンの行動として最適解になりやすい。以前はIGOBすると確実にイデアライズできたため、他のEXカードを積極的に運用することはなかった。今後はイデアライズが4ターン目のほぼ単発に限られるため、高パワーを出すには降臨を使うしかない。展開能力自体は下がってしまうが、それでもスクエアを空ける能力とパワーは重要だ。
・チャージ操作シフト
IGOBに乗せたとき限定の効果を持つシフトが残っている。というか増えた。実のところこのカードはチャージ操作がメインであり、その役割に変更はなかった。本来打点に貢献しないはずのシフトから1打点増やせたり、破壊されチャージにいるコンボカードを回収できる意外と汎用性の高い1枚だ。

◆キャンペーン
さて、初めてのnoteだったわけだが、実のところこういった文書を個人的にevernoteに書き溜めている。なぜ今回わざわざnoteに掲載したかというと、キャンペーン参加のためだ。

https://note.com/zxtcg/n/nfc53e1ff5fe8

特別仕様の竜の巫女のプレイヤーカードがもらえる。しかも参加者全員だ。クライシスアークのカードを扱うことがテーマとのことなので、今回収録されたプレイヤー参照ゼクスの中で唯一使用しているメインクーンを取り上げてみた。今回のSECの登場でフルレート最高額を更新したであろうリゲルの記事を、過去にまとめたフルレート検証と合わせて載せようかと多少迷ったりもしたが、そちらは誰かが書いてくれそうな気もする。
ゼクスプレイヤー諸氏は是非とも参加していただきたい。テーマはあくまでカードを取り上げることで、ゲームのメカニズムや構築の話である必要はなさそうだ。イラストレーターやフレーバー面でも語ることは多いだろう。自分が読める文章が増えることを願って。

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(C)BROCCOLI

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