第106回日本陸上競技選手権決勝振り返り・2日目

第106回日本選手権(6/9~12、ヤンマースタジアム長居)の結果を、決勝の開始時刻順に振り返ります。

今回の更新は2日目。現地観戦(Sフィニッシュ側上段席)の初日でした。
私の体感では、この日の夜が4日間までの3日間で最も観客が多かったです。

※参加標準はオレゴン世界選手権参加標準記録
※()は生年の下2桁
※順位の選手氏名は敬称略

女子ハンマー投 参加標準72m50 日本記録67m77

優勝 勝冶玲海(01) 61m94
2位 藤本咲良(98) 61m75
3位 小舘充華(98) 60m91

昨年優勝で日本記録に迫っていた渡邊茜選手が個人的にはまさかの引退、混戦ながらも昨年2位の勝山眸美選手が有力と予想していましたが、1投目で60m超の自己新を投げた勝冶選手が、3投目でこちらも自己新で首位となった藤本選手を6投目で上回り初優勝。勝山選手は4位で、私の予想としては全種目を通じて最も外れ具合の大きいものでした。
昨年3位の村上来花選手は昨年末に怪我を負ったとはいえ、試合に復帰し58m台は投げていたため、U20日本選手権を選択したのは意外に思いました。ですがU20日本選手権を制し、U20世界選手権出場権を得たかったというところでしょうか。※その後U20世界選手権代表に内定

女子棒高跳 参加標準4m70 日本記録4m40

優勝 竜田夏苗(92) 4m25
2位 諸田実咲(98) 4m20
3位 那須眞由(96) 4m20

兵庫リレーカーニバルと木南記念優勝の那須選手、水戸記念優勝の竜田選手、昨年優勝の諸田選手の争いと思われた本種目、竜田選手が7年ぶり3回目の優勝。優勝決定後、バーを跳べば日本新記録の4m45に上げたのは、結果につながりこそしませんでしたが素晴らしいと思いました。4m45の試技が男子100m決勝と重なってしまったのはお気の毒でした。近いうちに日本新記録が見られるのではないかと期待しています。

男子三段跳 参加標準17m14 日本記録17m15

優勝 伊藤陸(01) 16m57(+1.5)
2位 安立雄斗(00) 16m22(-1.5)
3位 池畠旭佳瑠(94) 16m14(+0.8)

昨年17mジャンパーとなった伊藤選手が初優勝。怪我により出場できるか否かがポイントの一つだったと推測しますが、体調が万全であれば、オリンピック種目最古の日本記録である17m15を更新することも可能だと思います。その時は変更がなければ世界選手権の参加標準記録も突破することになります。

男子ハンマー投 参加標準77m50 日本記録84m86

優勝 柏村亮太(91) 72m77
2位 古旗崇裕(97) 71m34
3位 中川達斗(98) 70m44

日本選手権20連覇の室伏広治選手が未だに強く印象に残る本種目、柏村選手が自己新(日本歴代4位)で2年ぶり4回目の優勝。2015年以降の日本選手権では最もよい優勝記録となりました。言うのは簡単ですが、72m、73m…といった記録が1人ならず出ることを期待したくなります。

女子400m 参加標準51.35 日本記録51.75

優勝 松本奈菜子(96) 53.05
2位 小林茉由(96) 53.45
3位 久保山晴菜(96) 53.67

松本選手が8年ぶり2回目の優勝。予選を52.74の自己新(日本歴代4位)で走った松本選手と、久保山選手の優勝争いを予想していましたが、昨年優勝の小林選手が本大会に照準を合わせたと見え2位なのはさすがと言えましょう。今年女子4×400mの世界選手権出場に向けたタイムレースが未実施なのは意外でしたが、混合4×400mは出場が決まっており、松本選手と小林選手が選出されるでしょうか。※松本選手はその後52.56の自己新
また、青山聖佳選手が今季試合に出場していないように見え、復帰が待たれます。

男子400m 参加標準44.90 日本記録44.78

優勝 佐藤風雅(96) 45.49
2位 川端魁人(98) 46.00
3位 メルドラムアラン(00) 46.05

ゴールデングランプリで45.40の自己新と好調が伺えた佐藤選手が初優勝。予選でも45.55と唯一45秒台だったことも評価できる点です。昨年優勝で2位の川端選手とともに、ワールドランキングでの世界選手権出場に前進しました。大学生のメルドラム選手が自己新で3位、世界選手権男子4×400mの候補に挙がりそうです。
※予選敗退のウォルシュジュリアン選手がスペインの大会で45.27を出したこともあり、ワールドランキングでの世界選手権出場に滑り込んだと思われるのは、日本選手権終了時点で予想できませんでした

男子1500m 参加標準3:35.00 日本記録3:35.42

優勝 飯澤千翔(01) 3:42.82
2位 飯島陸斗(97) 3:43.17
3位 森田佳祐(95) 3:43.21

昨年日本記録が3分35秒台に突入した本種目。昨年優勝かつ日本記録保持者の河村選手の調子が万全ではないように見え、優勝者が読めませんでしたが飯澤選手が初優勝。質の高い練習を積めているようで、今後の飛躍が期待されます。
※記録面ではホクレン・ディスタンスチャレンジが期待されましたが、参加標準を突破する選手が現れなかったのは少々残念でした

女子1500m 参加標準4:04.20 日本記録3:59.19

優勝 田中希実(99) 4:11.83
2位 後藤夢(00) 4:15.65
3位 道下美槻(01) 4:16.55

田中選手が3連覇。昨年の東京五輪8位入賞は決して忘れられておらず、レースにも出場できているとあっては最有力、レース展開は予想よりもゆったりでひょっとするとひょっとするのかとラスト1周までは思いましたが、終わってみればやはり強かったです。西脇工業高校からのチームメイトである後藤選手が2位、学生記録保持者の道下選手が3位。東京五輪代表の卜部蘭選手が7位というのは意外でしたが、世界選手権のワールドランキング出場はできそうな状況ですので、調子を合わせられることを願っています。

女子100m 参加標準11.15 日本記録11.21

優勝 君嶋愛梨沙(95) 11.36(+0.6)
2位 兒玉芽生(99) 11.40
3位 御家瀬緑(01) 11.55

君嶋選手が準決勝に続く自己新で初優勝。10秒台を目指し、まだまだ上がっていく気持ちがあるのは頼もしいです。予選・準決勝のレースを確認した限りでは、調子を合わせてきたと見える兒玉選手が優勝に最も近いと思いましたが、「スタートが決まれば君嶋」と会場でおっしゃっていた方の見立てが確かでした。とはいえ兒玉選手も決して悪かったわけではなく、今後にも期待が持てるレースでした。3年前優勝の御家瀬選手が3位。女子100mH予選・準決勝と合わせてこの日3本目のレースとなった青木益未選手の4位も光りました。

男子100m 参加標準10.05 日本記録9.95

優勝 サニブラウンアブデルハキーム(99) 10.08(+1.1) 世界選手権代表内定
2位 坂井隆一郎(98) 10.10
3位 栁田大輝(03) 10.19

スタートで飛び出した坂井選手をゴール前でとらえたサニブラウン選手が3年ぶり3回目の優勝、準決勝で世界選手権参加標準記録を突破しており、代表に内定しました。2位の坂井選手も重要な舞台で自己新、地元選手の活躍が会場をさらに盛り上げたことは間違いありません。※布勢スプリントで世界選手権参加標準記録を突破し代表内定 3位は大学生となった栁田選手でした。6位の桐生祥秀選手はレース後に今季は出場しないことを表明。ワールドランキングでの世界選手権代表も射程圏内でしたが辞退しています。いつかパワーアップして復帰することを待っています。

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