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QR注文くん=モバイルオーダーを作ったので広告を出した

モバイルオーダー市場は急上昇中だ。


モバイルオーダーの検索数

チェーン店に行って、タブレットオーダーかモバイルオーダー(スマホオーダー?セルフオーダー?QRオーダー?以下モバイルオーダー)がなければ、最近では違和感すら感じるほどだ。
まだ中規模都市ではチェーン店以外ではほとんど導入されていないが、大阪や神戸、東京ではもはや口頭で注文するのがおかしなくらい。

そこで、モバイルオーダー事業アツいのでは?と思ったのが多分1年前くらい。しかし、サーバーを用意するとか、その辺の仕組みを何で実装するかとか考えると結構面倒だし費用がかかるから、ユーザーに費用を転嫁しなければならない。
これでは結局、エアレジとかスマレジとか何とかレジがやってるQRオーダー事業の劣化版になってしまう。

そんなことをチラッと考えてから数か月後、気分で飲食店を始めた。

モバイルオーダーのことは頭の片隅にありながらも、いずれ・・・くらいに思っていたのだが、実際に飲食店を開くと、モバイルオーダー欲しいなという機会にしばしば遭遇した。
席数30席しかないのにそう思うのだから、世の中の飲食店もそうだろう。

その時には、我ながら結構なスピードでプログラミング系やTCP/IP的な知識、バイナリデータ的な知識を身につけていたので、モバイルオーダー作れるなぁと思った。

もちろん、ユーザーとして真剣にモバイルオーダー導入を考えた。ちょうど食べログ予約に登録したことで食べログオーダーなるものの営業を受けたが、初期費用15万円+機器代金という途方もない数字で驚愕。食べログオーダーを使っている店を見たことは今のところないが、調べたところ無料のエアレジの提供元であるリクルートが提供しているエアレジのモバイルオーダーでもほぼ同様のコストがかかるらしい。月額料金も1~2万円が相場らしく、まぁ営業コストとサーバー運用コストを考えればそんなもんだろうなぁと思ったが、イチ消費者として見ると、個人規模の飲食店では死活問題だ。

正直、スマホやタブレットで注文できないことに違和感を感じるようになってきているし、今後数年でその傾向は強まるだろう。個人店では口頭注文になるとしても、やはり店員を呼ぶのは面倒くさいし、個人・小規模店では画像付きのメニューを用意することもできなかったりするから、益々チェーン店とのクオリティの差が開くばかりだ。

色々検討した結果、店も暇な時間が多いし、作ってみようかなと思いながらテストプロジェクトでアプリを動かしているうちに完成してしまった。

モバイルオーダーは便利だというのはポジショントーク的な部分があったが、実際に店舗で使ってみると、意外と追加オーダーが出るので、月にいくらかは売上に貢献していると言っていいだろう。
これからはじめるハッピーアワーはモバイルオーダーありきのメニューでもある。

モバイルオーダー事業というのは元々考えていたということもあって、当然サブスクアプリとしてリリースした。

実装を工夫したし、営業をする人間もいないので価格は980円に設定した。
この価格設定の意図はいくつかある。

まず一つ目に、現在の平均的な1,2万円での運用では大手と競合してしまうためだ。スマレジ、エアレジ、funfoなんかのモバイルオーダーは大体この価格設定をしている。だから、これより圧倒的に高いか安いかという差別化が必要だった。

3社の名前を挙げたが、実際モバイルオーダー事業を行っている会社は30社くらいある。しかし、ほとんどのモバイルオーダーはあまり広まっていない。なぜならこの価格設定だからだ。
同じ価格で買うなら、よりメジャーなものを選ぶというのは当然のことで、いくら同じ効能があると言われてもバファリンとジェネリック医薬品が同じ価格でならんでいればバファリンを買ってしまう。
このモバイルオーダーは言わばジェネリックだから、もっと安くなければならない。

すでに積極的にモバイルオーダーを入れている方々はそれなりに儲けがある飲食事業者であり、IT補助金の対象にもなっているなど、簡単にはそのシェアを奪うことは不可能だ。
そのレッドオーシャンで戦おうと思えば、ほとんど最低賃金で無限にテレアポを繰り返す脳筋大手にありがちな営業マンが大量に必要だし、あらゆる広告を出さなければ勝ち目がない。

大手以外のモバイルオーダーが導入されているケースも、営業の泣き落としに近いもので、私自身飲食店経営者として、店のアプリ作れとか広告出せとかという打診を大変多く受けた。
営業の強みは、「まだ検討していないところにアプローチできる」という点だ。
広告は調べている人にしか表示されないか、目に留まらないからアプローチできないことが多いが、全くそんなこと考えてなかったよという人に営業をかければ、競合の営業が来ていなければ成約率は高い。

店のアプリを作りませんかという営業を受けて思ったのは、営業を受けると他の製品を調べようと思いにくいということだ。そもそも店のアプリを必要としていないところに来たわけだし、本当に店のアプリが欲しければ色々ネットで調べるのが定石だが、営業が来るとその価格が適正かどうかということを調べることも怠ってしまう不思議だ。

なんにせよ、そのような脳筋営業と広告が出来る資本は無く、すでにピンクオーシャンくらいであることから、その販売価格は不可能であった。

まぁ補足しておくと、モバイルオーダーが無い世界で突然モバイルオーダーいかがですか?と言っても、無料ですら売れない可能性は高い。やはり営業にオススメされるか、大手飲食店が導入するか、皆やってるように見せかけるかしなければ、現在不要なものは導入しない。だからブルーオーシャンであっても勝てるのは営業力がある企業であり、零細企業が成長したければ、大手が作った土俵のニッチで何とか上手くいく低い可能性を掴むまでである。

もちろん、差別化として、キオスク端末までを提供する高額商品という戦略もあるにはあるが、高額であるほど営業力が必要なので安くて手軽な商品を提供するに至った。そもそも自店舗での導入を第一にしていたということもある。

第二に、フリーミアムが濫用されていることで、フリーミアムに対する不信感があるためだ。
要は無料のPOSレジを提供することで、付随するハンディやモバイルオーダーを売ってやろうとか、モバイルオーダー自体は無料だけど一目でテーブル状況を確認するなら月1万円払ってねというビジネスモデルだ。

決済システムの発達やサブスクの一般化により、世の中に無料で使えるものはほとんどなくなってしまった。
昔なら有志が作ったフリーソフトをインストールすればDVDをMP4にするくらい無料で出来たが、今や「無料」=「お試し」であり、いわゆるフットインザドア的にインストールさせたら一定の割合が課金してくれるから、まずインストールさせようという魂胆だ。

フリーミアムも要するに、「無料」という餌に食いついたが最後、あらゆる商品を売りつけるカモとして飼われ続けることになる仕組みのことだ。
最初にフリーミアムをビジネスモデルとして確立させた人は賢いと思うが、今やフリーミアムは手垢の付いた手法であり、無料の次にスタンダードプラン、プレミアムプランと並べられると、無料で使い続けるのは無理なように思えてくる。

それでも尚、ほとんどの人はアホなので無料で使えると期待してフリーミアムの餌食になることは多いが、個人的には回りくどくて古いやり方なように思えるし、フリーミアムに警戒する人はより増えていくと考えているので止めた。
ここでも補足しておくと、無料でもそこそこ価値のあるものを提供するフリーミアムについてはユーザー視点では肯定的な立場である。例えば、AmazonMusicのようなもので、無料ユーザー(Prime会員である必要はあるが)でもかなり使えるのはご存知の通りだ。しかし、最近のAmazonMusicやPrimeVideoがそうであるように、無課金ユーザーの有効範囲はどんどん狭くなり、広告が途中で流れるようにもなってきた。
これが意味するものは、無料で高機能なものを提供するのであれば、フリーミアムは機能しないということである。無料で高機能なものが提供できれば一番いいのだが、サービスの提供にコストはかかる。慈善事業であっても、携わる人は家賃や光熱費を払い飯を食い、時には酒も飲みたいのだ。

980円という価格設定はそのちょうど良いところを取ったつもりだ。
安くても金を払っている以上、無制限使い放題に違和感はないし、それ以上金を取りませんよという明瞭会計を逆張り的にアピールしている。
無料で提供したところで、商品が氾濫している現代でアプリを見つけてもらえるはずもなく、広告費くらいは回収して、一定のユーザーを獲得したら口コミで広がるのを待ちながらアップデートしつつ、安定した売上が得られればいいなという魂胆である。

月額980円に対して、日本の飲食店は70万。個人経営の店は

7万店舗くらいあると予測される。
うち1%の700店舗に導入してもらえれば税込月70万円位の売上がほとんどピュアな粗利として得られるため、まずはそこを目標に考えているが、受動的な広告だけでは難しそうだ。

広告について

Google広告は探している人に効率よく届くとは言うものの、モバイルオーダーという単語には「マクドナルド」「スタバ」が検索候補として出てくるが、このワードでクリックされていた。(既に除外した)
年代も中年層で、絶対に訳が分からないままクリックしたなと思うと遺憾である。
クリック単価は130円ほどだったが、広告の予算設定の時に予測されるクリック単価は20円位だった気がする。
今日のクリック単価は81円だが、クリック数を考えると週のコンバージョン予測に全然満たない。

ページ内での動きは閲覧時間やクリックされたオブジェクトなどをデータベース保存しているが、資料ダウンロードやYouTube閲覧など有効そうなクリックは数件にとどまっている。

広告費というのは、単純なコンバージョン単価で考えることは難しい。
1万円の広告費で1件の成約があれば10か月で元が取れると考えやすいが、実際の購買行動はそれほど単純ではない。
広告は数回名前を見て興味を持ち、さらに数回見て購買を決めるというようなもので、それにはクリックに含まれないインプレッションも含まれるし、他のところで見た広告も含まれるかもしれない。

それらを考えれば、最低でも3か月、半年程度は様子を見て広告効果を考えていかねばならない。

SNSでバズるのが早いんだけどなぁ

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