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現場のリアルな声をお届け!現役私学教員インタビュー(No.3)

こんにちは。
今回も私学の先生を対象にインタビューをおこないました。
私学で働くことになった経緯や採用試験の内容、勤務校の実情など、現場のリアルな声をお届けします。

今回は匿名でインタビューに協力いただきました。
以下は簡単なプロフィールです。
教員歴:9年目 
教科:英語
職歴:私立(常勤)➝大学院➝公立➝私学(専任)

Q:どうして公立ではなく、私学の教員になったのでしょうか?
A:公立志望だったが、採用試験に落ちてしまったため。
「小学校から大学まですべて国公立出身で、教員にはなりたかったのですが私立に関しては何も分からなからくて。私立出身の大学の同級生に聞いても卒業生が多いという話を聞いたのと、実際に出身県の私学を調べてみたのですが、採用数があまりなく…。あとは完全な思い込みなのですが、クビになるのでは、というのもあって公立を受けました。ただ試験に落ちてしまい、働き口がないのはさすがに困るので私学に就職しました。」

Q:私学に就職後、公立の試験は受けなかったのでしょうか?
A:性格的に私学でのキャリア形成を選択
「最初は本当に不本意な形で働き始めたんですけど、公立の教員として働くうえでは、ある程度教育委員会の方針に合わせないといけないが、自分はそういう性格ではないと思って。」
「キャリアを積むうえで公立と私立どちらが良いかを考え、自分は私学向きだと思ったので公立の採用試験は受けませんでした。」

Q:最初の私学の採用試験はどのような内容でしたか?
A:書類選考➝筆記試験+集団面接➝管理職面接➝理事長面接
「筆記は小論文と国公立程度の英語の試験で記述もあり、30人以上が筆記試験を受けていました。なので面接は8人~10人が教室に入れらて、同じ質問をどんどんされて。一般的な質問しかなかったので、結構同じような答えが並び、正直どうやって評価するのだろうと思っていました。」
「実は自分に内定が出る前に、スカウトされた他の先生が受かっていたのですが、その先生が他の私学に受かり、(内定を)お断りしたので自分に回ってきたというのがあります。」

Q:環境はいかがでしたか?
A:あまり合わず、他の私学への転職を検討
「お世話にはなったものの、学校の雰囲気や教育方針が合わず、教科指導に注力することが難しく…。ただ、簡単に転職できるものでもないので、最初の学校で働きながら力をつけて、私学のなかで転職を考えました。」

Q:ただ結果的に大学院に進学したのはどのような経緯なのでしょうか?
A:専門性を高めるため。
「学校外などで他の私学の先生と関わる機会が多く、関係する先生から管理職に話がいって3年目に「是非うちで働いてほしい」と、他校からスカウトを受けたのですが、もっと専門性をつけたいと思いお断りし、大学院に進学しました。」

Q:その後、現在の勤務校に就職するわけですが、試験内容はどのようなものでしたか?
A:簡単な筆記試験(小論含む)と面接
「面接のウェイトが大きく、教科の先生全員と管理職がいて、30分以上どういった授業がしたいかなど、提出した小論などをもとに深くまで突っ込んで聞かれたので、そこで実力が評価されるのだと思います。あとは履歴書の英語の資格欄ですかね。何点以下という基準は特にないんですけど、これだとちょっとうちの子たちは教えられないかな、というところも見られるので。」
「採用する側になってみて分かったのですが一発で分かりますね、実力があるかないかは。」

Q:現在の勤務校の環境はいかがですか?
A:「今のところは専門性が発揮できてますね。また、教科指導の自由度が高く、内容だけでなく、補習をやるかやらないかも各教科担当に委ねられています。なので、公立の学校ではできないような内容を自由に教えられるのは嬉しいです。」
「部活動に関しては運動部を持っていますが、活動は少ないですね。平日は週に2日と3日の週があって、土曜日の午前中にもありますが、あくまで先生方の自由意志でといった感じです。」
「夏休み最高です(笑)!自宅研修制度があるので、部活や補習などであまり休まなくても2週間は確実に休めるので。これを味わってしまうと公立にはいけないですね。」 

Q:公立も経験されていますが、私学のメリットについて教えてください。
A:「メリットは校風が合えば本当に楽しいです。専門性を活かすこともできます。公立との違いで言うと、検定外の教科書を使った授業や英会話の授業など、学校の目的に応じて自由度が高いというのがありますね。教科指導に関する自由度も高く、配布する教材、定期試験、評価の観点なども教員個人の裁量が大きいです。」
「あと私学の場合、学校の特徴がはっきりしているので、何のためにスキルアップするのかがはっきりしているのも良いところだと思います。自分の勤務校だと、受験にも対応しつつ英語を使えるようになりたい生徒が多いので、そういう子たちのためにどんなことができるのかを考え続けることができるのは凄くありがたいですね。」

Q:デメリットについてはいかがですか?
A:「合わないと地獄ですね…。すごく良いとされている私学でも転職される先生がいるのが事実なので、合う、合わないっていうのはありますよね。また、私立なので学校の評判や保護者の声に重きを置きすぎる傾向は年々強まっていて、本当にやらなければならない改革や生徒指導がやりにくくなる場面はあります。」
「(職場内の)人間関係のしがらみもありますね。うちの学校は完全にボトムアップの学校なので、そのボトムの中でしがらみがあると何も進まないですね。ベテラン教員は何十年もいるので。勿論トップダウンでも合わないと納得感はないので、デメリットではあるけれどもメリットによるデメリットなので、多少の不満はあるけれどあまり文句は言えないなという感じです。」

Q:現在転職などは考えていますか?
A:一切考えていない。
「そこまで忙しくなく、自由度がとても高いため、仮により学力的に優秀とされる私学に移動すると自由度が下がるというデメリットが生じるのかなと。なので、今の自由な環境で働いている方が自分には合っていると思います。隣の芝は青いで出たとしても、多分後悔するだろうなっていうのはあります。」

Q:私学の教員志望者に対して何かアドバイスをいただければと思います。
A:「自分をしっかり持って、自分の強みを探すことが大事かと思います。例えば、自分の場合だと公立出身というのもあって、今のコミュニケーション重視の英語教育というものを全然受けたことがなく、教員になってからその苦手を克服した経験があり、苦手を得意に変えた経験というのは教える上で役に立つのかなって。」
「自分は私立出身ではなく公立出身で、今教えている彼ら彼女らと(これまでの)出身や環境が違うからこそ、新しい視点を与えることができるっていうのがあって。なので、デメリットだと思ったとしても活かせる部分は結構多いのかと思います。」
「多くの私学が今の学校の中にいない人材が欲しいと思うので、そうした視点も大事になってくると思います。また、これは教科指導重視の私学で働きたい人へのアドバイスなのですが、そうした私学の授業は頭でっかちの知識偏重になることが多いような気がして。例えば今の学校で教えている生徒たちで学問としての英語の道に進む子はほとんどいなくて、英語の道には進まないけれど英語が必要な子たちなので、生徒のニーズをしっかりと把握して、生徒たちの人生に対して具体的な道筋を示しつつ、(学力を)伸ばしてあげらるような教員が重宝されるのかと思います。英語だけに限らず、生徒が求めている専門性(受験)と実用性のバランスをとれる教員になることが大事なのかなって思います。」

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今回のインタビューも共感する部分が多く、中でも最後の専門性と実用性のバランスに関するお話は、自分も過去の記事で取り上げており、改めてその重要性を認識しました。「英語科でこのバランスをとれている人は殆どいない」と話されており、だからこそ貴重な人材として重宝されているのでしょう。

また、昨今公立における教員の人材難が深刻化していますが、知名度があり、待遇が良いとされる私学の倍率は非常に高いのが現状です。今回のインタビューでも筆記試験に30人という話がありました。こうした難関を突破するためにも、お話にあったよう自分の強みを探し、磨いていくことが重要なのだと思います。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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