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今日も大津で呑む宣言。

エリア:大津 ジャンル:居酒屋 ランチ:無
元記事:『滋賀の良い店、やばい店 大津編

日が落ちた大津駅の一寸先は闇。駅から一番近い商店街の入り口がなぜか一番暗いという不思議な現象が起きている。商店街の屋根に差し掛かると、ちょっとした田舎の夜のトンネルを抜けるような肝試し感さえ味わえる。

そんな商店街の真ん中で希望の光を灯しているのが居酒屋「直」。ここは居酒屋の見本ともいうべき名店であり、大津だからと言って舐めてかかると手痛い仕打ち(満席)を食らう。真っ暗な大津であてもなく彷徨うのは初心者には危険なので、しっかり予約をして行きましょう。

この店を見つけた時点で「勝者」であることはきっと誰もが入り口で悟る。手書きのメニュー、控えめな屋号、ぼんやりとした入り口の灯り。扉を開けた瞬間の活気とカウンターに群がる人々。もう、間違いなく良い店の見本。
そして和食出身の店主の腕はもはや語るのが面倒臭くなるほど本物。

お造り、揚げ物、焼き物、小鍋、そして土鍋ごはん。字面だけで一杯呑んでしまいそうなお品書き。一生眺めていても飽きが来ない、真ん中を射止め続けるメニュー。ここに滋賀の地酒が勢揃いとあれば、これはまさしく滋賀の鏡。

割烹並みの料理を、居酒屋らしい値段で提供し、常にこちらの想像を超えてくる。そんな空間をフラットに、誰にでも提供してくれる。奇跡が起きた。

内容だけでも驚きなのに、お会計時にさらなる衝撃が待っている(この衝撃という言葉は京都ではしばしば逆の意味で使われるが、ここは滋賀)。お造り、揚げ物、焼き物、小鍋、土鍋ごはんを日本酒と呑んで食べても一人5~6000円ほど。繰り返す。お造り、揚げ物、近江牛鍋、土鍋ごはんを日本酒込みで楽しく呑んで食べて一人5~6000円ほど。

ちなみにもう土鍋ごはんの手前で満腹なので、おにぎりにしてもらう。低く見積もって値段の3倍は良い想いをしていると思う。

料理や空間だけでなく、やけに毒づいている面長の店主も親しみ度200%。和食のような緊張感を強いることもなく、客に媚びることもない奇跡のバランス感覚を保っている。

そして何と言っても、このレベルをこの立地、この値段で提供しちゃうところがさすが滋賀。
商店街の入り口が暗過ぎて一瞬時空が歪むものの、冷静に考えて駅から徒歩3分くらい。

店を出る頃には豪語しているはず。
「京都駅で飲むくらいなら大津で飲む!!」と。

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