イタリアのバールを体験するなら大津へ。

バールコマド

良い店★★★★★
エリア:大津 ジャンル:イタリアンバル ランチ:無
元記事:『滋賀の良い店、やばい店 大津編

その外観を見つけた時点でもう有頂天だった。中の見えない小さな間口。控えめな看板。ぼんやりと浮かび上がるような入り口の灯り。まるでミラノの路地裏で小さなバールを見つけたような高揚感(実際は真っ暗な中央大通り)。

扉を開けると好感度はさらに高まった。テーブル2席、カウンター数席だけのこぢんまり空間。そして手書きの黒板メニュー。もうこれだけで十分です。

緑の壁が印象的なキッチン、程よい明るさの照明、ワインに合うアテの数々。一人でも数人でも楽しめる汎用性の高いメニューや席の配置。謙虚過ぎる価格設定。もはやこれは大津が、いや滋賀が誇るべき街場のイタリアン。これが京都の繁華街なら予約は取れず、東京のメディアに目をつけられ、観光客が群がり、たちまちSNSに晒され店がキャパオーバーしてしまうだろう。

しかしここは、日本一暗い県庁所在地の目抜き通り。このポテンシャルで、常連客が気ままに訪れ、各々がゆったりと食事を堪能できる秩序ある空間を維持している。大津という土地にはもはや感謝しなければならない。

店主は先斗町の某イタリアン出身の女性。小さい空間に反比例してメニューはおつまみ、前菜、メイン、パスタ、ピザ、デザートまでてんこ盛り。ピザやパスタだけでもそれぞれ10種近く控えているので、「前菜端から全部」と言いたい気持ちをグッとこらえて、ここは最後のデザートまで堪能したい。

何と言ってもこの店の魅力は「バジルとトマト」のような超オーソドックスなパスタを「また食べたい」と思わせる料理の奥深さ。なので「次は変化球を」と思って再訪しても結局いつものやつを頼んでしまい、この次こそ、を繰り返すうちにいつの間にか常連になっている。

なお、かなりの確率でティラミスが売り切れていることも、再訪してしまう理由の大部分を占めている。

そしてメインに関しても、牛ハラミ、熟成豚、鶏ももから子羊まで、多い時で10種近くもあるそのほとんどが1000円代という奇跡が起きている。ワインと楽しく飲んで食べて、最後にパスタとピザ、もしくはパスタとリゾットを頼もうとも、一人4〜5000円程度。

京都から2駅の大津という土地が、これからも高騰しないことを願ってやまない。

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